この記事ではADIのワイヤレス振動評価キットVoyager4 EV-CBM-VOYAGER4-1Zを使用して低消費電力を実現する方法について説明します。
設計者はこのキットを使用することにより、機器やテストセットアップに対してワイヤレスソリューションを迅速に導入し、エッジAIアルゴリズムによってモータの異常な動作を検出し、診断やメンテナンスの要求を始動させることができます。
詳細な電力管理により、Voyager4が動作するさまざまな電力フェーズにおいて、バッテリ寿命がどのように影響を受けるかがわかります。この管理方式は、多面的なMAX20355EWO+パワーマネージメント集積回路(PMIC)、電力線通信、および独自のModelGaugeというバッテリ残量ゲージを備えたバックブーストコンバータが中心となっています。
このICは、2つの超低静止電流バックレギュレータと3つの超低静止電流低ドロップアウト(LDO)リニアレギュレータを内蔵しています。各LDOとバックレギュレータの出力電圧は個別に有効/無効にでき、各出力電圧値はデバイスのI2Cインターフェースを通じてプログラムできます。BLEプロセッサは、異なるVoyager4動作モードに対して、個々のPMIC電源出力を有効または無効にします。追加のパワーレギュレーションは、最大350mAを供給する可変出力の単一出力正電圧バックレギュレータであるMAX38642AELT+Tによって提供されます。
動作中、Voyager4の機能はBLEとAIの動作モードに依存し、MAX32666とMAX78000のアクティブまたは非アクティブモードを決定します。これは全体的な電力を最小限に抑えるために重要です。
Voyager4モード | BLEアドバ タイジング |
BLE 接続 |
BLEデータ ストリーミング |
AI 推論 |
ディープ スリープ |
---|---|---|---|---|---|
ディープスリープ | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
トレーニング | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 |
ノーマル/AI | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
ペリフェラル | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
1 = 機能がアクティブ状態 | |||||
0 = 機能が非アクティブ状態 |
全体的な消費電力を最小限に抑えるため、Voyager4は、BLEとAIの動作フェーズに応じて、パワーモード機能をアクティブ状態と非アクティブ状態の間で切り替えます。(出典:Analog Devices)
トレーニングモードでは、BLEのMCUは1時間ごとにブロードキャスト、接続、データ送信を行う必要があり、消費電力は約0.65mWとなります。AIモードでは、1時間に1回起動しても、消費電力は0.3mWに低下します。生データを送信する必要がない場合、消費電力は最大50%削減できます。
生のBLEデータを送信する必要のないセンサは、消費電力を最大50%削減できます。(出典:Analog Devices)
消費電力が0.3mWであるため、1500mAh電池1本で2年、単3形2.6Ah電池2本で7年以上の電池寿命が可能です。最大限の寿命を得るには、これらの単3形電池は、低ベースライン動作電流で周期的なパルス動作のみを想定したタイプでなければなりません。このような条件下では最低でも5年間は動作可能で、一部のハイエンドモデルでは20年以上使用できるものもあります。
関連品番:
ADIのワイヤレス振動評価キットVoyager4 EV-CBM-VOYAGER4-1Z
- MEMS加速度センサ
- マイクロコントローラとエッジAI処理
- 電源管理モジュール