ADIとともに学ぶ、制御ループを表示するためのボード線図


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ADIとともに学ぶ、制御ループを表示するためのボード線図
Analog Devices Inc. のFrederik Dostalによる技術解説記事

概要

本稿では、電源制御ループの伝達関数を示すためにボード線図が使用される理由について説明します。時間領域では負荷過渡試験が行われますが、その結果からは、ボード線図で示される制御ループに関するその他の重要な情報を確認することはできません。読者は、このような違いを理解するとともに、ボード線図を計算、シミュレーション、および測定することが有用である理由を学びます。

はじめに

電源には、安定化された出力電圧を生成することが求められます。電源回路を評価するには、さまざまな負荷電流およびさまざまな入力電圧における出力電圧を測定し、生成された出力電圧が所望の許容範囲内に収まっているかどうかを見ます。このような電源の基本的な確認は重要ですが、それだけでは電源の特性の一部しか分かりません。動作中に負荷電流または電源電圧が変化した場合でも、生成される電圧は可能な限り維持される必要があります。図1に、負荷過渡および入力電圧変動を伴う電源( LT8642S )のブロック図を示します。

図1. 負荷過渡および入力電圧変動(ライン過渡)を伴う電源のブロック図

電源を動的に評価するために、さまざまな過渡的な負荷変動およびさまざまな入力電圧変動の条件で生成される出力電圧を調べることができます。一般的に、その結果は図2に示すような出力電圧波形として表されます。電源の出力における負荷電流は、500nsの遷移時間で1Aから7Aへ変化させています。過渡的な負荷変動は赤色で示されています。出力電圧波形は青色で示されています。図に示されるように、時刻ゼロにおける正方向の過渡的な負荷変動によって、生成される出力電圧は33.2mV低下します。その後、電源の制御ループは約10μs後に出力電圧を再び安定化させます。100μsの時点では、図2に示すように、負荷電流を7Aから1Aへ戻す過渡的な負荷変動が加えられます。出力電圧は、公称出力電圧よりも約31.4mV高い値まで短時間のオーバーシュートを示します。

図2. LTpowerAnalyzerハードウェアを使用して測定した、一般的な電源の過渡負荷試験

このような電源制御ループの評価は有用であり、制御動作に関する多くの情報を得ることができます。しかし、このような負荷過渡応答測定だけでは不十分な場合が少なくありません。例えば、出力電圧波形の挙動が、主として出力容量の大きさによって決まっているのか、それとも制御ループの伝達関数の応答速度によって決まっているのかを明確に判断することはできません。制御ループの応答が遅い場合でも、出力コンデンサを追加することで、その一部を補償することができます。

また、過渡負荷応答試験では、制御ループの安定性について明確な情報を得ることはできません。図2に示すような測定結果が、かろうじて安定している制御ループから得られたものである可能性もあります。その場合、部品の許容差、温度の影響、あるいは動作条件のわずかな変更といった小さなパラメータの変化によって不安定な状態へ陥ることがあります。そして、生成される出力電圧は一定値に保たれなくなり、大きな振幅で発振するようになります。

一方で、図2の電圧波形は、高い安定余裕を備えた電源から得られたものである可能性もあります。この場合は、前述したような回路のわずかな変化が生じても、発振には至りません。

図3. 電源の制御ループの動作を詳細に把握するためのボード線図

図3は、図1の電源について測定したボード線図を示しています。ここでは、ゲイン(赤色の曲線)が0dBラインを横切る点から、制御ループの応答速度を確認できます。この交差周波数が高いほど、制御ループの応答速度は高くなります。通常、0dB交差周波数は、スイッチング周波数の10分の1から5分の1の範囲にあることが目標とされます。図3では、交差周波数は約100kHzとなっています。この周波数に加えて、DCゲイン(低周波数におけるゲイン)も制御ループの応答速度に影響を与えます。このゲインが高いほど、制御ループはより高速に応答します。

さらに、ボード線図は電源の安定性マージンに関する情報も提供します。0dB交差周波数における、位相余裕としても知られる位相オフセットは、青色の曲線から読み取ることができます。上記の例では、この位相余裕は約59°です。位相余裕が45°より大きいシステムは安定していると見なされます。

まとめ

ボード線図は、制御ループの動作について重要な情報を提供します。制御ループの応答速度を表示でき、他の電源と比較することも可能です。また利用可能な安定性マージンの指標とともに、電源の安定性も示されます。これらの貴重な情報のいずれも、単純な負荷過渡応答試験から直接読み取ることはできません。

著者について

Frederik Dostalは、この業界において20年以上の経験を持つ電源管理の専門家です。ドイツのUniversity of Erlangenでマイクロエレクトロニクスを学んだ後、2001年にNational Semiconductorに入社し、フィールドアプリケーションエンジニアとしてカスタマプロジェクトにおけるパワーマネジメントソリューションの導入経験を積みました。National Semiconductor在籍中には、米国アリゾナ州Phoenixでアプリケーションエンジニアとしてスイッチング電源の業務にも4年間従事しました。2009年にAnalog Devicesに入社して以降は、製品ラインや欧州のテクニカルサポートでさまざまな役職を歴任し、現在は電源管理の専門家として、設計およびアプリケーションの幅広い知識を生かしています。Frederikは、ドイツMunichにあるADIのオフィスで勤務しています。




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