校正が必要なもの、必要でないものは何か?

DigiKeyで最も頻繁に寄せられる質問の1つが、校正に関するお問い合わせです。校正証明書、校正手順書、お客様への製品出荷前の校正依頼などで、これらは往々にして、校正を必要としない部品や、そもそも校正が不可能な部品に対して寄せられることが多いです。理由の1つに、電子機器にあまり精通していない方々の「一部の電子機器は校正されているので、全ての電子機器が校正されていなければならない」という誤解があります。またもう1つの理由は過剰な製造品質管理基準が原因で、存在するかどうかも定かでない詳細な文書を要求されるケースもときどき見受けられます。どの製品に校正が必要で、どの校正依頼が不必要なのか、どのように見分ければよいのでしょうか?

校正が必要なデバイスとは?

一般的に、電子デバイスは回路基板の外側で外部環境と相互作用する場合にのみ校正が必要となります。また、校正に対応するため、出力を変更または調整できる能力を備えている必要があります。

校正の目的は、電子デバイスが設計されたとおりに特定の現象を正確に報告、記録、測定、または読み取ることを保証することです。抵抗器、コンデンサ、ダイオードなど、システム内の電流の流れを制御することのみを目的とするPCB上の受動部品は、決して校正することはできません。これらの製品は回路外の現象と相互作用せず、出力も調整したり変更することができないため、校正対象となりません。これはセンサと無関係な大半のICにも当てはまります。ICは一般的に校正を必要とせず、また校正可能でもありません。部品やデバイスが何らかの形で外部環境を「感知」しない限り、校正は不要です。

ほとんどの統合型センサもこのカテゴリに該当します。なぜなら、それらの出力は変更や調整ができないからです。熱電対、ループ電流センサ、および類似の部品などは、1度製造されると固定されます。これらのセンサを使用して構築されたデバイスは校正の対象となり得ますが、センサ自体は校正できません。センサは仕様範囲内であれば使用可能であり、仕様範囲外であれば使用不可能です。

このことは通常、電子機器全体に拡張できます。 機器は校正できますが、 部品は校正できません。個々の部品ではなく、システム全体で校正することが可能です。

DigiKeyが提供する製品の大部分は校正を必要としません。 センサ、測定機器、特定の種類のハンドツール、またはベンチトップ電源装置などの実験室用機器でない限り、おそらく校正は不要であり、校正文書も用意されていません。

どうすれば確実にわかるのですか?

残念ながら、校正が必要か否かを判断する100%正確なルールは存在せず、校正自体も「校正済み部品を購入すれば利益が出る」というような単純なものではありません。既存の記事「校正および校正証明書」によると、校正要件は製品ごとに、またプロジェクトごとに異なり、校正が恒久的なことはほぼありません。購入後は定期的に機器の再校正が必要であり、これは一般的に避けられません。 校正ニーズはお客様ごとに異なり、プロジェクト間でも変化する可能性が高いでしょう。校正ニーズを把握する最善の方法は、エンジニアリングチームに校正が必要な項目、時期、方法を判断してもらい、そのガイドラインに従うことです。




オリジナル・ソース(English)