はんだ付け後のE-Switchのタクタイルスイッチに関する問題

E-Switchのタクタイルスイッチ(TL1270F160GYQBT)は、自動はんだ付け工程後に丸いボタンが溶けていることがあります。E-Switchのキャップ付きタクタイルスイッチを自動はんだ付け工程で処理する場合、何か手順漏れがあるのでしょうか?

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E-Switchのタクタイルスイッチ(キャップやボタンを含む)の大半は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)で成形されています。このプラスチックは、成形性と表面仕上げに優れており、キャップやボタンはユーザーの目に触れる「最初の表面」であるため、仕上げの品質が非常に重要であることから選ばれています。また、ABSは幅広い色の顔料を使用することができ、一般に必要とされる「スナップオン機能」の成形を含む良好な汎用の機械的特性を持っているため、キャップやボタンに適した材料となっています。

しかし、ABSは軟化温度と溶融温度が低く、一般的にそれぞれ約100°Cおよび120°Cです。連続使用温度である70°Cは一般的に、ABSが耐えることができる最大温度です。つまり、ABSはウェーブやSMTの自動はんだ付けには適さないということです。ウェーブはんだの一般的なプリヒート温度はおよそ150°C~160°Cで、はんだウェーブ上を通過する際に基板上面温度が高くなります。この場合、キャップが歪んだり、溶けたりしますので、ウェーブはんだ処理後にキャップを取り付けることをお勧めします。SMTはさらに高温になりますので、ABSは決してSMTでは使えません。

ABSの種類によってはウェーブはんだ処理に耐えられるものもありますが、これはお客様の装置と処理パラメータを使用して個別に評価する必要があります。 難燃剤の添加により軟化温度や溶融温度を上げることができますが、これもお客様のプロセス設備で評価していただく必要があります。

まとめると、ABSは成形性や外観に優れているためキャップに使用されていますが、一般的に100°Cを超える自動製造プロセスや、70°Cを超える最終用途には適していません。スイッチキャップなどのABS製アクセサリは、自動はんだ付け工程の後に取り付けた方がよいでしょう。




オリジナル・ソース(English)