絶縁型電源トポロジを理解する:設計原理と使用例

はじめに

以前の記事「電源トポロジと設計の考慮事項」 と「非絶縁型スイッチング電源 — トポロジと使用例」では電力変換の基礎を詳細に解説し、スイッチング電源の中核的な概念について説明しました。
その基礎の上に、この記事では以下に焦点を移します。

絶縁型スイッチング電源 —

絶縁型スイッチング電源は、高周波トランスを使用して入力と出力の間を電気的に絶縁します。この絶縁は安全性を高めるだけでなく、設計の柔軟性を拡大し、コンパクトな民生用電子機器から大電力の産業用システムやサーバシステムまで、幅広い用途に適したソリューションを提供します。

この記事では、さまざまな絶縁型トポロジ、その独自の設計特性、そして効率、アプリケーションの範囲、および電力レベルのバランスをどのように実現しているかを解説します。

1. フライバックトポロジ

  • 電力範囲: 小電力アプリケーション(100W未満)に適しています。
  • 機能: 電圧変換および絶縁の両方を提供するトランスを備えたバックブーストコンバータとみなすことができます。
  • 主な特長: シンプルな構造で、携帯電話の充電器や待機用電源などの低電力用途に最適です。
  • 汎用性: AC/DC変換とDC/DC変換の両方に対応しています。

2. フォワードトポロジ

  • 電力範囲: 約50W~300W
  • 機能: フォワードコンバータはトランスを使用するDC/DCコンバータで、(トランスの巻数比により)出力電圧を入力電圧よりも高くまたは低くすることができ、電源と負荷の間に電気的絶縁を提供します。
  • 主な特長: 負荷へエネルギーを直接伝達し、一般的に通信機器や産業用電力システムなどの中電力用途で使用されます。

3. ハーフブリッジトポロジ

  • 電力範囲: 約100W~500W
  • 機能: ハーフブリッジは、DC/AC降圧コンバータであり、負荷電流が両方向に流れることができるため、「2象限コンバータ」と呼ばれます。バックコンバータと同様に、入力電流は不連続であるため、ラインインダクタンスを補償し、入力電流の高周波成分を処理するために入力コンデンサが必要です。
  • 主な特長: 高い変換効率を提供し、サーボドライブ、液晶テレビ用電源、その他の中電力~大電力システムで広く使用されています。

4. フルブリッジトポロジ

  • 電力範囲: 一般に500W以上
  • 主な特長: サーバ電源やUPSシステムなどの大電力システム向けに設計されています。
  • 構造: 2つのハーフブリッジでフルブリッジトポロジを構成することができ、ニュートラル線を使用せずに単一の電圧源から交流出力を生成することができます。
  • 利点: 標準的なコンバータのトポロジの中で、最高のトランス利用効率最大の出力電力を実現します。

5. LLC共振コンバータ

  • 主な特長: 共振ベースのテクノロジを採用し、スイッチング損失を大幅に低減し、全体的な効率を向上させます。
  • 構造: LLC共振コンバータは、インダクタとコンデンサの共振回路を利用して、規定された周波数でエネルギーを効率的に変換するDC/DCスイッチング電源です。
    LLC共振コンバータでは、2つのインダクタと1つのコンデンサが直列に接続され、負荷はインダクタの1つと並列に接続されています。
  • 用途: サーボドライブ高効率電源などに広く使用されています。

その他特殊トポロジ

リニア電源およびスイッチング電源に加えて、次のような特殊なトポロジもあります。

まとめ

絶縁型スイッチング電源は、最新のエレクトロニクスにおいて重要な役割を果たしており、幅広い電力レベルとアプリケーションにおいて、安全性と設計の柔軟性を両立しています。シンプルなフライバックコンバータから高効率のLLC共振設計まで、各トポロジは性能、コスト、複雑さのバランスを最適化するために独自の役割を果たしています。

次回の記事では、特定の設計ニーズを満たす、適切な電源トポロジを選択するための重要な考慮事項について詳しくご説明いたします。

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