ときどき、Digi-Keyから購入したパワーインダクタ本体に、目に見えるクラックが入ったものを入手することがあるかもしれません。これは問題でしょうか?これらのインダクタはどうやってこんなに損傷したのでしょうか?答えは、ほとんどの場合、全く損傷していないということです。
Würth ElektronikのWE-LHMIシリーズなど一部のパワーインダクタのコアは単一の固いフェライトの塊ではありません。成型された粉末インダクタです。これは鉄粉と樹脂バインダーの混合物でありこれらはインダクタコイルのまわりに圧縮されます。
きれいな外観が期待されますが、これらの部品の成型に伴う製造プロセスのため、完璧な外観を維持するコア材料の能力には限度があります。成型粉末インダクタは、熱衝撃、機械的衝撃、端子強度、振動、湿度、耐湿性、耐用年数などのテストを含み、目に見える欠陥があるかどうかにかかわらず、すべての業界標準テストに合格しています。これらの欠陥はまた、製品の信頼性や性能にも影響しません。
以下に目に見える一般的な欠陥の例を示します。
ヘアラインクラック
成型プロセスには樹脂バインダーと鉄粉を一緒に硬化させるプロセスを含むため、コアの周囲のクラックをなくすことはほとんど不可能です。このプロセス中、部品を取り出す際の壁面摩擦により小さなクラックが生じます。フェライト粉末インダクタとは異なり、小さいクラックから中程度のクラック、大きなクラックまで発生するかもしれませんが、製品の性能には影響しません。
ヘアラインクラックの長さは端子の左右の「H」の1/3未満でなければなりません。そうでなければ欠陥と見なされます。「H」は上図で定義され、ハンダ端子と部品の側面の間の距離を示します。
端子の外観上のクラック
この図は端子の左側にある許容できる小さなクラックを示します。
この図は端子の右側にある許容できる大きいクラックを示します。
上の2つの図は目に見えるクラックを示していますが、クラックは高さ「H」の1/3未満であるため仕様の範囲内に入っており、まだ使用できます。他のすべてのクラックは許容される高さH未満でなければなりません。
マーキングのある表面のクラック
インダクタの上面に現れるクラックは、どんなものでも許容できないとみなされます。
パッド表面のクラック
パッド表面近くの底面にもまた、クラックが生じる場合があります。クラックの長さが2mm未満であれば、部品は許容できるとみなされます。
さらに知りたい場合は、Würth Elektronikのアプリケーションノートをごらんください。
ANP020: 成型されたパワーインダクタのクラック(英語)