Allegro Microsystemsの電流センサ集積回路に関するFAQ

Allegro Microsystemsの電流センサ集積回路に関するFAQ



電流センサに関するFAQ

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よくある質問とその回答をご覧ください。

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Allegroの電流センサに関する一般的な質問と回答


1. ホール効果電流センサとは何ですか?

ホール効果とは、電流が流れる導体に外部から垂直磁界を印加すると導体に電圧が発生する現象です。導体、つまりホール素子は定電流でバイアスされています。磁界が変化すると、ホール素子に発生する電圧に変化が生じます。この電圧は増幅され、磁界に対応した出力になるように変換されます。この原理を使用するために、導線内蔵型パッケージ、強磁性コア、またはコアレスバスバーを使用して、磁界をホール素子に対して垂直に集中させることができます。ホール効果電流センサは、マイクロコントローラで監視できるアナログ出力電圧を提供する一方で、固有の絶縁、低電力損失、温度に対する安定性という利点があります。


2. VCCレベルは感度や電流ゼロ時の出力電圧に影響しますか?

部品にはレシオメトリックなものと非レシオメトリックなものがあります。レシオメトリックとは、デバイスの感度がデバイスの電源電圧 V_{CC} に比例するということです。さらに、0A(0アンペア) 時のデバイスの出力は、 V_{IOUT(Q)} とも呼ばれており、通常 V_{CC}\over 2 となります。非レシオメトリックなデバイスは、規定の電圧範囲内の V_{CC} の変動に対して安定した V_{IOUT(Q)} と感度値を持ちます。センサの入力電圧がADC基準電圧と同じ電源上にある場合、レシオメトリックは有用です。非レシオメトリック部品はセンサの入力電圧にノイズが多いまたは不安定なアプリケーションで有用です。部品がレシオメトリックである場合 V_{CC} が不安定であれは出力にノイズが多くなります。


3. Allegroの電流センサのさまざまなタイプのエラー仕様は何を意味しますか?

電流センサの主なエラーは以下の3種類です。

感度誤差:

E_{SENS} = \left(\frac{ Measured\ Sensitivity}{SENS} -1\right)100\%

オフセット誤差:

V_{OE}= Measured \ Q_{VO} - Q_{VO}

トータル出力誤差:

E_{TOT} = \left(V_{OUT}-V_{OUT\ IDEAL}\over (SENS\ IDEAL*I_P)*100\%\right)

このアプリケーションノートで、誤差の発生源と定義についてさらに詳しく説明しています。


4. Allegroの電流センサのMSL定格はどこで確認できますか?

Allegroの電流センサのホームページで、「Part Number Specifications and Availability」に移動します。希望するゲインオプションの「View Data」を選択します。MSL定格は「Materials Declaration Report」に記載されています。


5. MSL定格はスルーホール部品にも適用されますか?

MSL定格は面実装部品に特化していますが、Allegroは標準MSL定格に直接相間する非面実装部品であるスルーホール(THD)の相当品を認定し、提供しています。


6. Allegroの電流センサはどのような絶縁を提供していますか?

ホール効果電流センサの主な利点の1つは、固有のガルバニック絶縁です。一次電流経路と信号回路の間に電気的接続がないため、より高い動作電圧を利用できます。電流センサデバイスのデータシートには、以下のような絶縁パラメータやテストが含まれています。

サージ絶縁耐力 - 立ち上がり時間、幅、および振幅が既知のパルスの印加できる電圧の大きさ

絶縁耐力 - 絶縁破壊に至らない限界の電圧と時間。絶縁破壊が起きていないことを確認するため、漏れ電流を測定しながら一定時間(通常は60秒)試験されます。

分離電圧 - デバイスに連続的に印加できる最大電圧。通常、直流電圧、ピークツーピーク電圧、および実効値電圧で規定されます。

絶縁特性はデバイスのパッケージに依存します。以下は、Allegroが提供する様々なパッケージタイプとその絶縁特性、およびその他の重要なパッケージ情報をまとめた表です。

パッケージ名 SOICW-16 SOICW-16 SOICW-16 SOIC-8 SOIC-8 QFN-12 7-pin PSOF 5-pin
LA MA MC LC1 LC2 EXB LR CB
写真 image image image image image image image image
外形寸法 10.3x10.3mm 10.3x10.3mm 11.3x13mm 4.9x6mm 4.9x6mm 3x3mm 6.4x6.4mm 14x22mm
1次側コンダクタ値 0.85 mΩ 0.85 mΩ 0.27 mΩ 1.2 mΩ 0.65 mΩ 0.6 mΩ 0.2 mΩ 0.1 mΩ
絶縁耐力 3600 VRMS 5000 VRMS 5000 VRMS 2400 VRMS 2400 VRMS NA NA 4800 VRMS
分離電圧 870 VDC 1550 VDC 1618 VDC 420 VDC 420 VDC 100 VDC 100 VDC 1358 VDC
616 VRMS 1097 VRMS 1144 VRMS 297 VRMS 297 VRMS 70 VRMS 70 VRMS 700 VRMS

Allegroは、コア有りおよびコア無しの電流センサも提供しています。これらのデバイスは、1000Aを超える電流を検知し、5000 VRMSを超える絶縁耐力を有しています。


7. 最適化された検出範囲外の電流を流した場合、Allegroの電流センサの出力はどうなりますか?

センサ出力は、高飽和点(電流 > IPR)または低飽和点(電流 < IPR) に達するまで増加または減少し続けます。ここで、 IPR は部品の電流検出範囲です。電圧出力ハイ/ロー(VOH/VOL)は、出力飽和電圧(VSAT(H/L))と呼ばれることもあり、電流の増加/減少の結果としてセンサ出力 VIOUTが通り越さない電圧として定義されます。これは下図で見ることができます。感度を変えても飽和電圧は変わらないことに注意してください。

FAQ Line Graph

VIOUTのリニア特性の動作範囲とそれに関連するデータシートのパラメータは、-IPR から +IPRまで有効です。飽和点までフルスケールの測定値を超える電圧を出力することは可能ですが、パラメータはフルスケール測定値を超えては保証されません。


8. Allegroの電流センサは、電源投入後どのくらいで信号を正しく測定できますか?

すべての Allegroの電流センサには、以下の例のようにデータシートで規定された起動時間があります。

起動時間( tPO )は、a)電源が規定の最小動作電圧(VCC(min))に到達してから、b)磁界印加下でセンサ出力が定常状態の±10%以内に落ち着くまでの時間間隔として定義されます。出力と電源電圧の例は、以下のスコープキャプチャで見ることができます。

FAQ v output graph


9. 磁気コア/コンセントレータやシールド材の推奨ベンダーリストはありますか?

Allegroウェブサイトの磁石、コンセントレータ(集磁器)、磁気シールドサプライヤページには、推奨磁石のベンダーリストと概要が掲載されています。このリストには、コア/コンセントレータ(集磁器)および磁気シールドのサプライヤに関する情報も含まれています。


10. Allegroの電流センサは、負と正の両方の電流を感知できますか?

Allegroの電流センサには、双方向型と一方向型の2種類があり、それぞれ品番のサフィックスBとUで識別されます。双方向部品は正と負の電流を感知できますが、一方向部品は一方向の電流しか感知できません。双方向部品の出力は、電流が負方向にフルスケールのとき最小になり、電流が正方向にフルスケールのとき最大になります。一方向性部品の出力は、電流がゼロかゼロ以下の場合に最小となり、電流が正方向にフルスケールの場合に最大となります。双方向性部品は、負のアンダーシュートを検出するのに有効で、電流が両方向に流れるシステムに有益です。一方向性デバイスは、負方向の電流を検出する必要がない場合に、感度を上げるために使用できます。


11. Allegroの電流センサの特別な機能/ピンは何ですか?

すべてのAllegroの電流センサには、V_{CC}、グランド( GND ) 、V_{OUT}、および導線内蔵型センサの場合は検出される一次電流のパス用のピンが含まれています。一部の部品には、機能拡張のための追加ピンが含まれています。これらのピンのリストを以下に示します。

VREF/VZCR - ゼロ電流出力電圧( V_{IOUT(Q)} )をリファレンスピンに供給します。これにより差動測定が可能になり、ユーザーは出力チャネルのゼロ電流電圧 V_{IOUT} を知ることができます。
ACS37002ACS730

FAULT /Over Current Fault(OCF) - オープンドレイン出力で、電流閾値に達するとローレベルになります。フォルト出力は、動作中にラッチまたはアンラッチすることができます。
ACS37002ACS71240ACS720ACS732ACS733A1365

VOC - 一部の部品は、外部電圧を使用して過電流フォルト閾値を選択できます。これは、 V_{CC} ピンに接続されたラダー抵抗器により行われます。(ACS37002ACS720ACS732ACS733

ゲインセレクト - 一部の部品は、ゲインセレクトピンに入力されるハイまたはローレベルのロジックによってゲインを変更することができます。(ACS37002

FILTER -外付けコンデンサを取り付けることにより、 V_{OUT} フィルタの極の位置を設定することができます。(ACS720ACS724/5


ノイズ


1. Allegroの電流センサのノイズとノイズ密度はどのように規定されていますか?

ノイズ

ノイズ(入力換算ノイズ [ mA_{RMS}] または出力換算ノイズ [ mV_{RMS}] )は、指定された帯域幅で測定された出力のノイズの二乗平均平方根値です。

Noise\ Input ≈ mA_{RMS}\ at\ bandwidth
Noise\ Output ≈ mV_{RMS}\ at\ bandwidth

ノイズ密度

ノイズ密度(入力信号 [( mA_{RMS})/√Hz] または出力信号 [( mV_{RMS})/√Hz])は、周波数の関数です。

Noise\ Density\ Input ≈ \left(mA_{RMS}\over \sqrt Hz\right)
Noise\ Density\ Output ≈ \left(mV_{RMS}\over \sqrt Hz\right)

ノイズ密度からノイズに近似的に変換するには、ノイズ密度に \sqrt{bandwidth (帯域幅)* \frac{\pi}{2}} を掛けます。(より低い周波数、1kHz以下では、フリッカノイズ、または \frac{1}{f} ノイズが要因となり、全体的なノイズ性能に影響します。すなわち、すべてのノイズがDC入力で除去されるわけではありません)。

Noise\ ≈ Noise\ Density \sqrt{bandwidth* \frac{\pi}{2}}
---
2. Allegroの電流センサの分解能はどのように計算するのですか?

デバイスの分解能は、所望の帯域幅で指定さ れるノイズ入力 [mA_{RMS}] に相当します。ノイズ密度で規定されている場合は、ノイズ密度に \sqrt{bandwidth* \frac{\pi}{2}} を乗じてノイズに変換してください。 デバイスが出力換算で規定されている場合は、感度で割って入力とします。

分解能を計算する際に考慮すべきもう1つの要因は、電流センサ出力が接続されているADCの能力です。センサ出力のADC分解能は、以下の値に等しくなります。

ADC_{RES}[A] = \frac{ADC_{Range}[mV]}{Device\ Sens[\frac{mV}{A}]*(2^{ADC\ ENOB[bits]}-1)}

例として、有効ビット数11.5 の5VのADCを使用して、1MHzの帯域幅におけるACS732KLATR-20AB-Tの分解能を計算します。ACS732のノイズ密度は
55 mA_{RMS}/ \sqrt{Hz} となります。

この値に \sqrt{1MHz*\frac{\pi}{2}} を乗じると、69mARMSのノイズとなり、これがセンサ出力の分解能となります。

次にADCの分解能を計算します。

Resolution = \frac{5000mV}{\frac{100mV}{A}*2^{11.5}-1}

この結果、ADCの分解能は17mAになります。システムの総分解能を計算する時、これら2つの計算の最大値、つまりこの場合69mAを取ります。


3. Allegroの電流センサの出力にRCフィルタを付けるとどうなりますか?

Allegroの電流センサ出力のローパスフィルタはノイズを減少させますが、デバイスの帯域幅を狭くします。特定のノイズレベルまたは分解能が必要な場合は、次の式で帯域幅(BW)を求めます。
desired noise = noise density * √(BWπ/2)

FAQ Allegro CS Illustration

次に、希望の帯域幅を生成するRとCの値を選びます。RCフィルタの帯域幅は 1 / (2πRC) になります。ADCの読み取りに影響を与えないように充分に低いR値を使用することが重要です。ADCは一般的に入力インピーダンスが高いため、一般的には約1KΩかそれ以下の値が望まれます。


4. デバイスの出力にデータシートで示されている以上のノイズがありますが、この原因は何でしょうか?Allegroにトラブルシューティングのヒントがありますか?
  • データシートでノイズがどのように規定されているかを確認してください。例えば、以下の仕様のようにノイズがVOUTに接続されたコンデ ンサによって左右される場合があります。

  • VOUTのコンデンサの容量を増やします。データシートには、以下の仕様のように、VOUTに接続できる最大の出力コンデンサの値が記載されています。

  • コンデンサ容量を変更しても問題が解決しない場合は、レイアウトを調べる必要があります。VOUT信号がADCまたは測定器まで長い経路をたどっている場合、出力信号に影響を及ぼす他の信号が存在する可能性があります。電流センサの出力のできるだけ近くにオシロスコープを取り付け、電流センサ出力のノイズを直接測定します。
  • もう1つの潜在的な問題は、電流センサへの不安定な入力電圧です。レシオメトリック部品は、ノイズの多い入力電圧をデバイスの出力信号に伝達します。電流センサのVCCピンを観測して、不安定な入力がないか確認してください。適切な値のバイパスコンデンサが使用され、PCB上の電流センサにできるだけ近い位置に配置されていることも確認してください。
  • また別のノイズ源は浮遊磁界かもしれません。浮遊磁界の軽減については デザインサポートセクションの質問2を参照してください

データシート


1. Allegroの電流センサのデバイスデータシートに記載されている選択ガイドはどのように使用しますか?

各デバイスのデータシートに記載されている選択ガイドは、通常2ページまたは3ページにあります。デバイスセレクションガイドに記載されている内容はデバイスによって多少異なりますが、選択ガイドの主な項目は、品番、感度(Sens)、最適化された電流範囲(導線内蔵型センサにのみ適用)、動作温度(TA)、パッケージタイプ、電源電圧(デバイスに5Vと3.3Vのバリエーションがある場合)です。この表は、アプリケーションに電流センサを選択する際のガイドとして使用できます。

例:

デバイスデータシートに記載のコアベース(ACS70310)選択ガイド:

デバイスデータシートに記載の導線内蔵型(ACS71240)選択ガイド:


2. Allegroの電流センサの品番はどのように解釈され、表示されるのですか?

Allegroの電流センサには、基本的に2つの命名方式があります。1つは導線内蔵型センサ用(ACS71240、ACS724、ACS37002など)、もう1つはコアベースセンサ用(ACS70310、A1365など)です。

導線内蔵型およびコアベースのセンサに共通する命名の構成は以下です。 Allegroの電流センサは、ACS(ただしレガシーデバイスA1363/5/6/7を除く)で始まり、3~5桁の品番が続きます。品番の後には、センサの動作温度範囲を示す文字が続きます。温度範囲の指定に続いてパッケージの指定があり、これは2桁または3桁になります。パッケージの指定に続いて、導線内蔵型センサには利用可能な梱包/出荷オプションのための2文字の指定があり、コアベースのセンサにはリードフォームオプションのための2文字の指定があります。次に、導線内蔵型センサには2/3桁の電流レンジ値があり、コアベースセンサにはトリミングされた感度値があります。次に、センサの極性(双方向(B)または一方向(U))が続きます。次に、デバイスの公称電源電圧レベルです。部品名の最後に含まれるのは、カスタム機能(カスタム故障レベル、極性設定、カスタマプログラマブルなど)です。デバイスの品番の詳細については、デバイス個別のデータシートを参照してください。ACS722/ACS723、ACS724/ACS725、ACS732/ACS733などのレガシーデバイスには、名称に双方向または単方向の指定がなく、公称電源電圧の指定もないことに注意してください。3.3Vと5Vで異なる品番が作られています(つまり、ACS724は5Vデバイスで、ACS725は3.3Vデバイスですが、これらの部品は同じ機能を持ちます)。

命名の構成例:

コアベース(ACS70310):

ACS70310 Naming Convention

導線内蔵型(ACS71240):

FAQ Naming Specifications

レガシー導線内蔵型(ACS724 ACS725の比較、選択ガイドに電源電圧の指定がないことに注意):


3. 電流センサのデータシートに記載されている誤差仕様の限界値と標準値はどのように使うのですか?

最小/最大リミットは、Allegroの工場から出荷される際に、どのデバイスも最小/最大値を下回ったり上回ったりしないことを保証します。標準値は平均値±3シグマです。これは、99.7%のデバイスが標準値内に収まり、指定された動作温度範囲、入力電圧、またはその他のテスト条件内で最小/最大制限値から外れるデバイスがないことを意味します。

また、感度誤差(ESENS)および総合誤差(ETOT)は、所定の電流(通常はフルスケール電流またはハーフスケール電流)で指定されることに注意することも重要です。印加電流が異なると誤差の結果は異なる場合があります。この主な例は、低電流での総合出力誤差です。例えば、ある部品のフルスケールレンジが20Aで、最大5%の感度誤差と最大1Aのオフセット誤差がある場合、最大合計出力誤差 = 20A * (5% / 100) + 1A = 2A、またはフルスケール印加電流20Aの10%です。同じ感度誤差とオフセットで印加電流が5Aの場合、合計出力誤差 = 5 * (5% / 100 ) + 1A = 1.25A、またはフルスケール印加電流の25%です。



1. システムの要件はXアンペアです。Xアンペアを測定し、それに耐える最適なパッケージは?

以下のアプリケーションノートは、Allegroの電流センサパッケージの特性データを提供します。このアプリケーションノートには、Allegroのデモボードで取得されたデータが含まれています。ドキュメントは、特定のアプリケーションおよび電流要件に適したAllegroの電流センサパッケージを決定する際に有用です。


2. Allegroの電流センサは検出範囲外の電流を印加した場合、破損しますか?

パッケージを流れることのできる電流の絶対最大量は、デバイスが感知できる電流の範囲とは異なります。最大許容電流はパッケージとPCBレイアウトに依存し、周囲温度の関数です。Allegroの電流センサの最大許容電流の決定についての説明は、FAQの熱セクションの質問1を参照してください。デバイスの出力は、最適化された電流検出範囲を超える電流が流れると飽和します。出力の飽和に関する詳しい説明については、FAQの一般的な質問セクションの質問7を参照してください。


3. ジャンクション温度はどのように推定されますか?最大ジャンクション温度を超えないアプリケーションはどのように設計したらいいですか?システムの最大電流レベルはどのようにして求めることができますか?

このアプリケーションノートでは、Allegroの導線内蔵型電流センサのジャンクション温度を評価する最良の方法について説明しています。このアプリケーションノートの実装セクションでは、最大ジャンクション温度を超えないようにする方法と、システムの最大電流レベルを決定する方法について説明しています。


4. 一次導体経路は温度によってどのように変化しますか?

Allegroの導線内蔵型電流センサは銅の伝導経路を持っています。銅の温度ドリフトは、IPパスの温度ドリフトの近似値として使用できます。この値は1°Cあたり+0.393%です。


デモボード


1. ASEKとは何の略ですか?

A – Allegro
S – Sensor
E – Evaluation
K – Kit


2. Allegroのデモボードの注文方法を教えてください。

Allegro Microsystemsのホームページに移動します。Allegroの電流センサデモボードの品番は、「ASEK」で始まります。例えば、ACS37800KMACTR-015B5-SPIを評価するためにASEK37800KMAC-015B5-SPIデモボードが必要な場合は、Allegroのホームページ右上の「在庫確認」検索バーでASEK37800を検索してください。

FAQ Disti Parts

「ASEK37800」を検索すると、利用可能なすべてのASEK37800デモボードの結果が表示されます。カートのアイコンをクリックすると、Digikeyのウェブサイトへ移動し、ご購入いただけます。


3. デモボードのガイドはどこにありますか?

デバイスのホームページで、下図のように「Design Support Tools」のリンクをクリックします。

FAQ Design Support Tab

デモボードにユーザーガイドがある場合は、下図のように「Design Support Tools」からダウンロード可能です。

FAQ Design Support Tools


4. デモボードには最大電流と温度定格がありますか?

デモボード上のすべてのコンポーネントの定格は、テスト対象の電流センサの最大温度定格以上です。デモボードの定格電流は、電流センサのパッケージと周囲温度によって異なります。このアプリケーションノートには、さまざまな周囲温度におけるAllegroのデモボード上の電流センサパッケージの特性データが記載されています。


パッケージ/レイアウト


1. レイアウトファイルやデモボードの回路図はどこにありますか?

各Allegroの電流センサのデバイスホームページには、ウェブページの最下部近 くに「Design Support」のセクションがあります。ここには、そのデバイスのASEKデモボードのガーバーファイルを含むzipファイルがあります。ガーバーファイルとは、PCB設計の基板の各層の情報を含むファイルのことです。

ガーバーファイルフォルダを解凍すると、FABドキュメントがあります。このFABドキュメントには、デモボードのレイアウト、銅の厚さ、PCBレイヤ数など、デモボードの属性情報が含まれています。

FAQ PDF Selection


2. PCBレイアウトに関する資料はありますか?

各デバイスのデータシートには、そのデバイスとパッケージに特化したPCBレイアウトと熱アプリケーションのセクションがあります。

関連アプリケーションノートは以下です。

  1. Managing External Magnetic Field Interference When Using ACS71x Current Sensor ICs
  2. Techniques to Minimize Common-Mode Field Interference When Using Allegro current sensor ICs(ACS724 and ACS780)
  3. Common Mode Field Rejection in Coreless Hall-Effect Current Sensor ICs

浮遊磁界を軽減する方法については、デザインサポートFAQの質問2を参照してください。


3. Allegroの電流センサパッケージの重量やその他の重要なパッケージ情報はどこで確認できますか?

特定のAllegroの電流センサデバイスのホームページで、「Part Number Specifications and Availability」に移動します。ご希望のゲインオプションで「View Data」を選択します。パッケージの重量は「Materials Declaration Report」に含まれています。

FAQ Package Weight


4. Allegroの電流センサパッケージのSTEPファイル(.stp)はどこにありますか?

希望するAllegro電流センサのデバイスホームページには、ウェブページの下部近くに「Packaging」セクションがあります。「Packaging」セクションには、通常、デバイスが収納されているパッケージの画像があります(デバイスが複数のパッケージで提供されている場合は、複数のパッケージの画像)。デバイスパッケージのSTEPファイルは、ここで見つけることができます。

STEPファイルがデバイスホームページにない場合は、Allegroのホームページのパッケージングホームページを参照してください。

FAQ Packaging Web Page Section


5. UL認証済みとはどういう意味ですか?

UL認証の取得は、Allegroの電流センサが適用規格に準拠した試験を受けたことを示します。ULは、この業界で製品を認定する能力が世界的に認められています。MA、LC、MC、LAおよびCBパッケージに収納されたAllegroの電流センサは、関連するUL規格60950-1第2版および62368-1第1版(MAのみ)の認証を受けています。


6. 適合証明書とCB証明書とは何ですか?

Allegroの電流センサのデバイスホームページには、MA、LC、MC、LA、およびCBパッケージに収納された電流センサのUL適合証明書およびUL CB試験証明書が掲載されています。

適合証明書は、デバイスがUL規格60950-1およびUL規格62368-1(MAのみ)に従ってULにより試験されていることを証明するものです。CB試験証明書には、基礎絶縁定格および強化絶縁定格のUL認定動作電圧と最大定格絶縁電圧が記載されています。


7. Allegroの電流センサのはんだ付けはどのようにすればよいですか?

Allegroウェブサイトのアプリケーションノート「Soldering Methods for Allegro Products」をご参照ください。こちらからダウンロードできます。


8. Allegroが提供する3種類のSOIC16パッケージ(LA/MA/MC)の違いは何ですか?
  • LAはホール素子が導線に最も近く、感度が最も高いです
    • リードフレームに最も近いダイ上部にフィルチップを配置します
  • MAは高い内部絶縁性を持ちます
    • 2層のポリイミド絶縁層と3層の絶縁接着層接着剤
  • MCは内部導体抵抗が最も低いです
    • 高い使用電圧のための長い沿面距離

パッケージの詳細については、FAQの一般的な質問のセクションの質問6も参照してください。


デザインサポート


1. 特定のアプリケーションに最適な電流センサを選ぶにはどうしたらいいですか?

製品選択を始めるにはいくつかの方法があります。第1の方法は、必要な絶縁またはパッケージサイズに基づくものです。以下の表は利用可能なパッケージの概要です(フィールドセンサは除いています)。

パッケージ名 SOICW-16 SOICW-16 SOICW-16 SOIC-8 SOIC-8 QFN-12 7-pin PSOF 5-pin
LA MA MC LC1 LC2 EXB LR CB
写真 image image image image image image image image
外形寸法 10.3x10.3mm 10.3x10.3mm 11.3x13mm 4.9x6mm 4.9x6mm 3x3mm 6.4x6.4mm 14x22mm
導線の抵抗値 0.85 mΩ 0.85 mΩ 0.27 mΩ 1.2 mΩ 0.65 mΩ 0.6 mΩ 0.2 mΩ 0.1 mΩ
絶縁耐力 3600 VRMS 5000 VRMS 5000 VRMS 2400 VRMS 2400 VRMS NA NA 4800 VRMS
分離電圧 870 VDC 1550V DC 1618 VDC 420 VDC 420 VDC 100 VDC 100 VDC 1358 VDC
616 VRMS 1097 VRMS 1144 VRMS 297 VRMS 297 VRMS 70 VRMS 70 VRMS 700 VRMS

他の製品選択の流れとして、必要な電流検出レベルから始めることもできます。Allegroには、以下のようなさまざまな電流検出レベルの選択ページがあります:

電流センサイノべーションでは、さまざまな製品ファミリの利点も紹介しています。


2. アプリケーションの浮遊磁界をどのようにテストし、軽減しますか?

浮遊磁界を検査する場合、デバイス個別のデータシートの機能ブロック図をチェックして、センサがシングルホール方式かデュアルホール方式かを確認します。

シングルホールと浮遊磁界:

Allegroの電流センサはホール効果を使用して電流を測定するため、測定される電流以外のホール素子で検出される付加的な磁界はセンサの出力に影響します。これらの付加的な磁界は、一般に浮遊磁界または共通磁界と呼ばれます。浮遊磁界の最も一般的な原因は、電流センサの近くに大電流が流れるトレースまたはワイヤが存在することです。電流を流すワイヤによる誤差を近似するには、トレースの磁界を無限ワイヤとしてモデル化しB = µ* (I / (2π×d))とします。

Bは磁束密度で単位はガウス(G)、μはガウス表記での自由空間の透磁率で4π*0.001に等しくなります。Iは電流で単位はアンペア、 dはワイヤ上の点からワイヤに垂直なホール素子までの距離で単位はメートルです。磁界が分かったら、磁気結合係数[G/A](ほとんどのデータシートに記載)を掛けると、絶対誤差(アンペア)が得られます。誤差が推定されたら、浮遊磁界を発生させるワイヤまたはトレースを取り除いて、センサ出力を再テストすることでテストを実行できます。ワイヤやトレースを取り除けない場合のもう1つの解決策は、センサを基板から引き離し、原因となる電流が流れていると思われるワイヤから離れるよう、基板から離れてその部品を配線することです。最後に、センサの周囲に鉄材を配置し、浮遊磁界を遮断するシールドを利用することができます。

このアプリケーションノートでは、磁界干渉とシールドの影響についてさらに詳しく説明しています。

デュアルホールと浮遊磁界:

Allegroは、浮遊磁界誤差を低減するために、デュアルホール素子を備えたセンサも提供しています。2つのホール素子を差動で使用し、電流ループの反対側に配置します。これにより、共通磁界が除去され、出力電圧が共通磁界の影響を大幅に受けなくなります。デュアルホール素子は浮遊磁界誤差を最小限に抑えますが、浮遊磁界によって誘発される誤差の可能性を完全に排除するものではありません。デュアルホールセンサを検査する際にも、前項と同じテスト/低減テクニックを使用することができます。

このアプリケーションノートでは、デュアルホール素子を備えたセンサを使用する際の共通磁界の推定方法と低減方法について詳しく説明しています。


3. Allegroの電流センサ用のLTSpiceモデルはどこにありますか?

Allegroでは、ほとんどのAllegro社製電流センサのLTSpiceモデルを提供しています。以下のリンクから、Allegroの電流センサ用スパイスモデルの全ライブラリを含むzipフォルダをダウンロードできます。LTSpiceでAllegroの部品を使用する場合の開始方法と使用方法の詳細については、zipフォルダ内の 「ALLEGRO_ACS_LT_Guide.pdf 」をお読みください。


4. コアレスバスバー設計に関する参考資料はありますか?

このノートでは、バスバーを使用した設計の概要、ガイドライン、およびシミュレーション結果について説明しています。

Allegroは、コアレスソリューションのバスバー設計を支援するonline interactive modeling toolも提供しています。


5. 磁性体コア/コンセントレータ(集磁器)の設計に関する参考資料はありますか?

このノートでは、Allegroの磁界センサと組み合わせるコア/コンセントレータの設計の概要とガイドラインを示しています。


6. Allegroの電流センサの出力が正しくありません。何が原因でしょうか?

以下は、Allegroの電流センサの適切な出力を確認するためのチェックリストです。

  • 入力電圧は、データシートで指定されている最小値以上、最大値以下ですか?データシートに記載されている標準的なVCC値に合うように入力電圧を調整してください。
  • 入力電流はデータシートの標準値と一致していますか?電流が予想より低い場合は、入力電源とセンサの間にオープン回路がある可能性があります。電流が予想より大きい場合は、入力側に電流を引き込むものがあり、デバイスが適切にバイアスされるのを妨げている可能性があります。部品への電源接続を確認してください。
  • デバイスは正しくバイアスされているが電流が流れていない場合は、デバイスの出力はどうなってますか?この状態の時、デバイスの出力がデータシートに規定されているゼロ電流出力電圧(VIOUT(Q))と一致していることを確認してください。一致しない場合は、出力からグランドまでの抵抗を測定し、何も出力をローに引っ張っていないことを確認してください。また、センサを再はんだ付けするか、別の部品と交換してみて、問題が解決しないかどうかを確認してください。これにより、問題が部品に起因するものなのか、アプリケーションに起因するものなのかを確認することができます。
  • VIOUT(Q) が正常な場合、デバイスの感度はデータシートの仕様内ですか?感度を短時間でテストするには、0Aを印加してVIOUTを測定し、次に既知の電流を印加してVIOUTを再測定します。この2点の傾きがmV/A単位の感度となります。感度の問題をトラブルシューティングするには、検出される電流経路の抵抗をオーム計で測定して、その抵抗が予想通りであることを確認します。はんだ付けの不良やトレースのばらつきは、被測定導体を含む抵抗値を低下させ、誤差をもたらす可能性があります。

その他の潜在的な問題としては、ノイズ(FAQのノイズセクションを参照)や浮遊磁界(FAQのデザインサポートセクションを参照)があります。


7. シャント+電流検出アンプを導線内蔵型ホール電流センサに置き換えることはできますか?

基本的に、すべてのシャントソリューションは、外部シャントの代わりに導線内蔵型電流センサを通して電流トレースを配線するだけで、導線内蔵型ホール効果センサに置き換えることができます。導線内蔵型ホール効果センサにとって実用的でない可能性のある数少ないシャントソリューションには、超低電流分解能(uA単位)または超高速(>1MHz)などがあります。

シャントソリューションから導線内蔵型ホール効果ソリューションに切り替える主な利点は、絶縁の向上、レイアウトサイズの縮小、および設計の複雑性の低減です。ほとんどのシャントソリューションは、外部絶縁回路を必要とする絶縁アンプを使用しなければ、コモンモード電圧が100Vを超えることはできません。ホール効果電流センサは、電流経路から信号ピンまで本質的に絶縁されています。ホール効果センサに切り替えると、外部シャントと入力フィルタも不要になります。これにより、レイアウトスペースが削減されるだけでなく、設計の複雑さも軽減されます。


8. 電流センサにはどのような種類がありますか?また、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?

システムの電流を測定する方法は数多くありますが、次の表は主な電流検出ソリューションの特徴と比較です。


ソフトウェア


1. カスタマプログラマブルな、Allegroの電流センサをプログラミングするためのソフトウェアツールはありますか?

Allegro Customer Portalには、Allegroのカスタマプログラマブルセンサ用のプログラマGUI/DLLがあります。カスタマプログラマブルデバイス用のプログラミングソフトウェアに加えて、Allegro Customer Portalには、ユーザーガイドや対話型設計ツールを含む有用な設計ツールもあります。


2. ASEK20とは何ですか?また、どのような場合にAllegroの電流センサのプログラミングに使用するのですか?

ASEK20は、カスタマプログラマブルなAllegroの電流センサのプログラミングと評価に使用するデバイスです(ASEK20 は、角度位置、リニア位置、およびデジタル位置センサに使用できます)。ASEK20は、デバイス専用のドーターボード(ASEK20とは別に入手可能)と組み合わせて使用します。ASEK20は、Allegroの電流センサの性能評価と理解に役立つベンチトップ検証およびプログラミングツールです。ASEK20は、現場でAllegro電流センサを校正する際にも便利です。デバイス専用のソフトウェアアプリケーションは、Allegro’s Software Portalでご覧いただけます。

ASEK20で使用可能なカスタマプログラマブルなAllegroの電流センサ

  1. ACS70310
  2. ACS70311
  3. ACS71020
  4. ACS37800
  5. A1363
  6. A1365
  7. A1367

品質と環境

1. 「RoHS」とはどういう意味ですか?

品質と環境に関するFAQ「What does ‘RoHS’ mean?」をご参照ください。


2. RoHS規制対象外とはどういう意味ですか?

品質と環境に関するFAQをご参照ください。


3. 電流センサのRoHS適合宣言はどこで見ることができますか?

Allegroのウェブサイトの「品質基準および環境保証について」のホームページに移動します。「Policies and Declarations(方針と宣言)」と題されたセクションの中に、「Declarations and Statements(宣言と声明)」と題されたセクションがあります。ここにRoHS適合宣言があります。


DigiKeyのウェブサイトでこの製品ラインをご覧になるには、
以下のリンクをクリックしてください。

センサ、トランスデューサ | 電流センサ | DigiKey Electronics

この「よくある質問」はAllegroから提供されています。

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オリジナルのFAQをご覧になるには、以下のリンクをクリックしてください。
Current Sensors FAQ | Allegro MicroSystems




オリジナル・ソース(English)