ArduinoのUNO R4とRenesasの次のステップ:SeeedのXIAOとArduinoのPortenta C33の紹介


APDahlen Applications Engineer

20年前、Arduino UNOの基礎が築かれました。人気のAtmel(Microchip)のATMega328pマイクロコントローラをベースに設計されました。

疑いもなく、このオープンソースプロジェクトはマイクロコントローラ教育やDIYエレクトロニクスのあり方を変えました。

このプロジェクトは、成長を続けるコードベース、教育資料、そして日々増え続ける関連ハードウェアの数により、コミュニティからの絶大な支持を受けています。

昨年、Arduinoは、64ピンのLFQFP(10x10)SMDパッケージに封止されたRenesas R7FA4M1AB3CFM#AA0を搭載した従来のUNOの最新版を発表しました。新しいUNO R4 WiFiとUNO R4 Minimaは、従来のUNOのフォームファクタを継承しつつ、強力な32ビットへのアップグレードを提供することで、間違いなく成功を収めるでしょう。

この技術概要は、UNO R4の性能に限界を感じ、Renesasファミリに留まりながらも次のレベルへの移行を望む上級学習者のためのガイドとなります。Seeed XIAO RA4M1を使用した小型のソリューション(図1)と、よりパワーのあるArduino Portenta C33(図2) の2つのソリューションを紹介します。

図1: ブレッドボードに取り付けられたSeeed XIAO RA4M1の写真

技術的なヒント: ここで少し時間を取って、RenesasとArduinoのコミュニティに関わる大勢のプログラマーに感謝しましょう。その努力にどれだけの膨大な時間が捧げられてきたことでしょう。私たちは皆、彼らの仕事から恩恵を受けているのです。

図2: サーボモータの制御に使用される強力なArduino Portenta C33の写真

なぜRenesasファミリに留まるべきでしょうか?

重要なポイントは、Arduinoコミュニティ全体の成果を活用することです。8ビットのATmega328pは完璧な例です。この小さなマイクロコントローラは、非常に多くの注目を集めています。したがって、以下のとおりです。

  • バグは特定され、解決されています。

  • 豊富な教育資料が利用可能です。

  • フォーラムは豊富な情報を提供しています。

  • 何万ものプロジェクトが構築され、その多くがインターネット上で詳細に説明されています。

要するに、ATMega328pはコミュニティに受け入れられています。

Renesasプロセッサでも同様のことが起こるでしょうか?その疑問の答えは、今後10年のうちに出るでしょう。現時点では、その方向に弾みがついていると言えるでしょう。

この取り組みの例を図3に示します。ここでは、Seeedのマイクロコントローラを使用して1組のRC(ラジコン)サーボモータを駆動しています。この例では、RCサーボライブラリをRenesas RA4M1に移植したコミュニティの成果を活用しています。

図3: 1組のRCサーボを制御するSeeed XIAO RA4M1の写真。ドライブ波形の観測にはDigilent Discovery ADP2230を使用

より小型のフォームファクタへの移行

図1と図3に示すSeeed XIAO RA4M1は、ArduinoのUNO R4に代わる小型の製品です。ほぼ同等品のRenesasのR7FA4M1AB3CNE#AA0を48ピン48-HWQFN(7x7)SMDパッケージに搭載しています。このプロセッサは、ArduinoのWiFiやMinimaに搭載されている64ピンLFQFPと同じコアを搭載しているようです。速度、フラッシュメモリ、RAM、EEPROMについても同じです。しかし、大型デバイスの49ピンと比べ、I/Oピンは31ピンです。これは、小型フォームファクタへの移行を望んでいることを考えれば、さほど重要なことではありません。
さらなる情報はSeeed RA4M1 Wikiにあります。ここには、ArduinoのIDEからボードに直接プログラムできるようにドライバをインストールするためのガイドが掲載されています。

技術的なヒント: ArduinoのUNO R4のピン端子の出力電圧は5.0V DCですが、SeeedのXIAO RA4M1の入出力電圧は3.3V DCです。それに応じて回路を必ず調整してください。

さらなるパワーアップへの移行

ArduinoのPortenta C33(図2)は、RenesasのRA6M5プロセッサに類似したものを希望する方に利用可能です。

厳密に言えば、RenesasのRA6M5はRA4M1と同じファミリではありません。しかし、経験上、RenesasとArduinoはデバイス間で似たようなパターンをとります。言い換えれば、ボンネットを開けて基盤となるソフトウェアとハードウェアを調べると、類似点が見つかります。これらの類似点は、コミュニティ全体が相互の互換性のある設計ソリューションを作るために活用できるはずです。

C33については、ブラシ付きモータのコントローラなどの以前の記事で説明しました。より強力だと言ったのは、C33はFreeRTOS、Ethernetサーバ、シリアルインターフェース、DCモータを制御するPIDコントローラを同時に実行し、高速直交エンコーダに応答していたからだと理解できるでしょう。

正直に言うと、プログラミングはあまり私の得意とする分野ではありません。むしろ電子工学全般に詳しいほうです。それでも、Portenta C33はもっと大きなプロジェクトが可能だと思います。例えば、C33をプログラミングして、三相モータコントローラを動作させるのも面白いでしょう。

技術的なヒント: ARMマイクロコントローラには、ネスト型ベクタ割り込みコントローラ(NVIC:Nested Vectored Interrupt Controller)と呼ばれるハードウェアデバイスが搭載されています。NVICは、各割り込みの優先順位を決定する役割を担っています。例えば、FreeRTOSのタイムティックが、状態変化のあったピンの割り込みよりも重要かどうかを判断します。

このような些細な、しかし重要な細部に対するコミュニティのサポートの重要性は、いくら強調してもしすぎることはありません。Arduino UNO R4とRenesasプラットフォームへの関心が高まるにつれて、知識ベースが拡大し、それによってこれらのデバイスがさらに使いやすくなることが期待できます。

おわりに

Arduino UNO R4はArduinoの最新製品です。強力な32ビットRenesas RA4M1プロセッサを搭載しています。今後、従来のフォームファクタに対するコミュニティのサポートのレベルが高まることが予想されます。

開発者がArduinoコミュニティを活用しながら、Renesasのエコシステム内にとどまることができる選択肢があることを知っておくのは良いことです。これには、Seeed XIAO RA4M1のような小型デバイスや強力なArduino Portenta C33が含まれます。

用途に適した選択が重要です。

この素晴らしく複雑なテーマについての考えや経験をお聞かせください。

ご健闘をお祈りします。

APDahlen

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著者について

Aaron Dahlen氏、LCDR USCG(退役)は、DigiKeyでアプリケーションエンジニアを務めています。彼は、技術者およびエンジニアとしての27年間の軍役を通じて構築されたユニークなエレクトロニクスおよびオートメーションのベースを持っており、これは12年間教壇に立ったことによってさらに強化されました(経験と知識の融合)。ミネソタ州立大学Mankato校でMSEEの学位を取得したDahlen氏は、ABET認定EEプログラムで教鞭をとり、EETプログラムのプログラムコーディネーターを務め、軍の電子技術者にコンポーネントレベルの修理を教えてきました。彼はミネソタ州北部の自宅に戻り、このような記事のリサーチや執筆を楽しんでいます。




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