DigiKeyの従業員であるBrad Scheieが、Luke Andersonと私に、彼のMinnKota製トローリングモータ用ハンドヘルドコントローラのドキュメント作成を依頼しました。オリジナルコントローラの動画へのリンクはこちらです。
彼のYouTubeチャンネルで大きな反響があり、何人かの視聴者からは作り方を尋ねられたので、TechForumでもこの組み立て方を取り上げて欲しいとのことでした。
私たちは、Bradのコントローラを見て、彼の設計を改良することにしました。改良点は、浸水から保護された部品で設計し、防水エンクロージャでケーシングすることです。この改良版を開発したかったのは、水に濡れる環境で主に使用するためです。
Bradのコントローラに使われていたオリジナルパーツは以下の通りです。
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CWI419-ND ロッカスイッチ DPDT(MOM off MOM)
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SR111B-ND ボックス
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RB141D1021-137-ND ロッカスイッチ(on off)
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RV4N152C-ND ポテンショメータ 1.5kΩ 2W炭素皮膜 リニア
私たちは、MinnKota製795MXトローリングモータ用と同じようなハンドコントローラを作ることにしました。これは、Bradがオリジナルで使っていたのと同じモータの古いバージョンだと思います。また、プラグはBradのモータの平らなものとは違い、丸型です。
Bradのトローリングモータのコネクタ
795mxのトローリングモータのコネクタ
私たちは、組み立てに入る前に、フットペダルコントローラがどのように動作するのか知りたいと思いました。フットペダルを開けて回路基板を取り外し、どのように設計されているのかを理解できるようにしました。下の写真がその基板です。
上の写真でおわかりのように、このコントロールボードにはあまり部品がありません。2つの抵抗、ダイオード、3つのワイヤジャンパ、リニアポジションセンサ、5つのタクタイルスイッチが実装されてます。
次に、ボードの裏面の写真を撮り、リード線の接続をより理解するために、対応するワイヤの色でトレースしました。この写真を以下に示します。
トレースがどこにつながっているかを確認することで、部品が何に使われているかが分かりました。
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基板の上部にあるスイッチは、モータの一時動作と連続動作のどちらかを選択するために使われています。
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モータの向きをコントロールする左下と右下にある4つのスイッチは、回転しているモータの回転方向を反転するのに使用されます。
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リニアポジションセンサはメインモータの速度制御に使用されています。
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青い抵抗はリニアポジションセンサのプルダウン抵抗として使用されています。
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一番上の抵抗は、リニアポジションセンサの電流を制限するために使用されています。
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ダイオードは、トローリングモータのメインコントロール基板にあるリレーのフライバックダイオードとして使用されます。
次に、マルチメータを使い、リニアポジションセンサの総抵抗値を測定したところ、このセンサの抵抗値は約850Ωでした。このセンサと基板上の他の2つの抵抗の合計は1400Ω弱だったので、1.5KΩのポテンショメータを使うことにしました。製作中、オリジナル基板と同じように抵抗器を取り付けてみましたが、抵抗器を追加したことでスピードのコントロールが制限され、また、ポテンショメータを完全に下げてもモータが完全に停止しない原因にもなったため、最終的には抵抗器を取り外すことにしました。
左下と右下にある4つのスイッチはモータの向きを変えるために使いますが、DPDTスイッチでも同じことができることに気づきました。これがどのように実現されるのか、より詳しい情報が必要な場合は、TechForumの以下の投稿をご覧ください。
Polarity Reversal using a DPDT Switch - #2 by Ryan_2724
フットペダルでは、モーメンタリ/コンティニュアススイッチがオンオフスイッチと同じように機能するため、IP65定格のSPSTオン-オフスイッチを選びました。
私たちはまた、自動車用トレーラコネクタの露出をなくしたいと考えました。これを実現するために、ボックス内に収まるパネルマウントのIP68規格のコネクタを選びました。
最後に、IP規格のポテンショメータを探したのですが、適切な仕様のものは見つかりませんでした。ポテンショメータの防水性を高めるため、回転軸シールを選び、可能な限りIP定格のポテンショメータにしました。
以下が使用部品のリストです。
SC268-ND | パネルマウント 8極オスコネクタ |
SC277-ND | フリーハンギング 8極オスコネクタ |
SC259-ND | フリーハンギング 8極メスコネクタ |
EG5120-ND | モメンタリ-オフ-モメンタリ DPDT IP67 16A ロッカスイッチ |
CW137-ND | オン-オフ ロッカスイッチ IP65 20A |
RV4N152C-ND | ポテンショメータ 1.5kΩ 2W |
36-8568-ND | ツマミ |
335-1016-ND | ロータリシャフトシール 灰色 |
377-1118-ND | エンクロージャ 4.528インチ x 2.559インチx 2.165インチ |
641-1310-1-ND | ダイオード 50 V 1A DO-41 |
WM13569-ND | クイックコネクト 0.110インチ(2.79mm) |
WM6238-ND | クイックコネクト 0.250インチ(6.35mm) |
https://www.digikey.jp/short/p27vj8fd | これらのワイヤキットのうち1つを使用して接続します。 |
ワイヤを除いた全部品のご購入をご希望の場合は、こちらのカートに全部品を入れています。
DigiKey - Fast Add
また、以下のものも必要です。
- はんだごてとはんだ
- 熱収縮チューブ
- ドレメルのような、ボックスの開口部をカットするもの
最初のステップは、部品用の穴を切り抜くことです。私たちはそれにドレメルを使いました。切り抜きのサイズは、各コンポーネントのデータシートまたは図面に記載されています。カットはフリーハンドで行いましたので、すべてのカットがまっすぐできているとは限りません。可能な限り防水性を保つため、パネルの切り抜き寸法に近づけるようにします。Lukeは時間をかけて、一度組み立てたパーツが動かないようにしました。防水性を確保したい場合は、ポッティングコンパウンドで部品を囲うことをお勧めします。
コントローラの配線を分かり易くするため、Scheme-Itで配線回路図を描きました。それを以下に示します。
これがコネクタへの配線です。手元に黄色と茶色のワイヤがなかったので、青と2本目の白のワイヤを使うことにしました。2本目の白色ワイヤは、もう1本の白線と区別するために黄色の蛍光ペンを使うことにしました。
トローリングモータに差し込むコードに接続するフリーハンギングメスコネクタには、SC259-NDを使用しました。コントローラのボックスへの取り付けには、品番SC268-NDを使用しました。私たちはブーツの代わりに熱収縮チューブでこれを囲むことを選択しましたが、どちらでも使用できます。下の写真は、熱収縮チューブを使用したコネクタの仕上がりです。
!フットペダルをコントロールボックスと交換可能にするため、フットペダルケーブルに品番SC277-NDを追加しました。
以下は、コントローラの配線写真です。注意点として、トローリングモータから来るケーブルのコネクタは、正しい接続をするために、キーイングとは逆方向に配線します。また、センターピンが使われていないことにも注意してください。
コントローラで最初に行った接続は、黒いアースワイヤの接続でした。このケーブルの接続が一番多いので、そうすることにしました。まず、コネクタからの黒のワイヤと一本の短い黒線を、0.250インチのクイックコネクトに圧着しました。このクイックコネクトをロッカスイッチの5番ピンに接続しました。次に行った接続は、ロッカスイッチ5番ピンからの短い黒のワイヤと、もう一本の短い黒のワイヤを、ポテンショメータの右端子にはんだ付けすることでした。ダイオードのアノードのリード線も、短い黒線と一緒にはんだ付けしました。この接続が完了したら、短い黒のワイヤの端に0.110インチのクイックコネクトを追加し、オンオフスイッチの中央のクイックコネクトに取り付けました。下の写真は黒のワイヤの接続を示しています。
次に接続したのはオレンジのワイヤです。これはポテンショメータの左側に接続します。ダイオードのカソードリードも、ワイヤと一緒にポテンショメータの左側のはんだラグ端子にはんだ付けします。ダイオードのバンド表示がオレンジのワイヤ側にあることに注意してください。この接続は、上の写真を参照してください。
青のワイヤ(回路図では茶色)は、次に取り付けるワイヤです。ポテンショメータの中央のラグ端子にはんだ付けされます。回路図では、トローリングモータからのケーブルのワイヤの色に合わせて茶のワイヤで示されていることに注意してください。茶のワイヤがなかったので、次善の策として青を選びました。
次に白のワイヤを接続しました。ワイヤの先端に0.110インチのクイックコネクトを圧着し、オン-オフスイッチのピン1に取り付けました。
次に接続するのは赤いワイヤです。このワイヤの端に0.250インチのクイックコネクトを圧着し、ロッカスイッチのピン2に取り付けます。
上記の接続に関する疑問点については、黒のワイヤの接続の説明の後にある写真を参照してください。
次に緑のワイヤを接続します。このリード線の先端に、2本目の短い緑のワイヤをねじります。そして、2本のワイヤをはんだ付けし、外れないようにします。次に、0.250インチのクイックコネクトをワイヤのこの接続部に取り付けました。短い緑のワイヤの他端に、別の0.250インチのクイックコネクトを圧着します。最後に、一方のクイックコネクトをロッカスイッチのピン1に、もう一方のクイックコネクトをピン6に取り付けます。参考に下の写真をご覧ください。
黄(または白地に黄色のストライプ)のワイヤは、最後に接続するワイヤです。このワイヤも緑のワイヤと同様に、黄の短いワイヤとコネクタからのワイヤを0.250インチのクイックコネクトに圧着します。また、新しい短い黄のワイヤの他端に、別の0.250インチのクイックコネクトを取り付けます。これら2つのクイックコネクトをピン3と4に接続します。以下は、この接続の写真です。
これで、コントローラに必要なすべての接続が完了しました。慎重にカバーを閉じ、ネジを取り付けてボックスを密閉します。カバーがうまくはまるように、クイックコネクトを少し曲げる必要がありました。
以下は、モータコントローラが動作している動画です。
左が新しいコントローラ、右がBradのオリジナルコントローラ
左が新しいコントローラ、右がBradのオリジナルコントローラ
完成品
kuwona
ペダルのコントローラがなくなったMinn Kota製Genesisモータで同じことをやりたいんです。ペダルにつながっていたワイヤの切り口を見ると、ワイヤが4本しかありません。ペダルにはいろいろな機能がついていたことを考えると、このミッションを不可能にしている電子回路があるのでしょう。何かアイデアはありますか?
Travis_Foss DigiKey Employee
kuwonaさん、こんにちは、
それが実現できることは間違いないと信じていますが、Genesisのマニュアルを少し探しても何も見つけることができませんでした。
最善の策は、ペダルを見つけて分解し、ペダル内部のコントロール基板を見つけることでしょう。上の写真にあるように、私たちはペダルがどのように機能するかを正確に理解するために分解して確認しました。
Genesisのペダルは、Terrovaが使っているフットペダルと似ていることに気づきました。そこから想像すると、ヒールアンドトゥの方向転換や左右のボタンなど、いくつかの機能は同じ接点で機能します。もうひとつは、モーメンタリボタンが押されたときのためのモメンタリ電源ラインでしょう。また、オートパイロット用のワイヤもあると思います。
しかし、4本のワイヤしかないので、これがどのように機能するのかわかりません。もしペダルか、あるいはペダルのコントロール基板があれば、どのワイヤがどの機能を制御しているのかがわかり、そこから組み立てることも可能だと思います。
もしこのプロジェクトをやると決めたときは、進行状況を知らせてほしいし、何か疑問があれば遠慮なく質問してほしいです。
amsugg
可能です。パワードライブのフットペダルについては、こちらのリンクを参照して下さい。
現在、Terrovaのフットペダル用に改造中ですが、まだ準備が整っていません。
もちろん私もDigiKeyの部品を使用しました。
Travis_Foss DigiKey Employee
とても素晴らしい製作です!この方法で上手くいけるかもしれません。
気になったのでお聞きしたいのですが、そのテスト手順書はどこで見つけられたのですか?私たちの製作用に似たようなものを探してみたのですが、古いモータを使用していたので、入手できたかどうかわかりません。
全体的に素晴らしい出来です!
amsugg
正直なところ、Minn Kotaの誰かが手順書を間違って私に渡してしまったのだと思います。なぜなら、他のトローラーについても同じ情報を求めたのですが、持っていないと言われたからです。ネットで適当なサービスマニュアルのピンアウト情報を見つけましたが、それは必要な情報ではありませんでした。それ以外は、リバースエンジニアリング(皆さんのように)して、たくさんの導通テストをしました。トローラーを持っていたので、テストに行くことができたのも助かりました。そのドキュメントが多くの時間を節約する鍵でした。