SelecのMIBRX PLCのアップ/ダウンカウンタのプログラミング

この記事では、アップ方向とダウン方向の両方向の単純なカウント動作を実行するようにプログラムされたPLC回路の組み立てについて説明します。さらに、PLCの制御に使用するプログラミングについて述べ、カウンタブロックがどのように機能するかを説明します。さらに、この記事では、SelecのSelproソフトウェアにプログラムをダウンロードするプロセスの概要を説明します。

カウンタプログラム起動時のSelecのMIBRX PLC

プロジェクトのハードウェア

この記事で使用する部品は、以前の記事で組み立てたSelec MIBRX-2M-1-0-0-24VDC、1Aの回路ブレーカ、NOセレクタスイッチ、NO押ボタン、NC押ボタン、赤色の22mm LEDパネルライト、作業台、スイッチプレート、およびその他のハードウェアで構成されています。

技術的なヒント: プログラムをダウンロードするために、PLCには、動作しているHMIが必要です。

以下のリンクから、このプロジェクトで使用するすべての部品が入っているカートにアクセスできます。
https://www.digikey.com/short/n0c1jqpw

ハードウェアの組み立て

まず最初に、作業台の上ですべての部品を組み立てます。スイッチ、押ボタン、およびLEDをスイッチプレートに取り付けることから始めます。次に、スイッチプレートを六角スペーサ、ワッシャ付きネジ、およびプラスティック製の蝶ネジを使って作業台に取り付け、スイッチプレートを固定します。さらに、ネジ、ナット、およびワッシャでDINレールを作業台に取り付けて固定します。最後に、PLC、回路ブレーカ、エンドブロックを、作業台に取り付けたDINレールに取り付けます。

配線の接続

すべてのコンポーネントが配置されたら、いよいよコンポーネントを配線して回路を作成します。電源の24ボルトのプラス側から始めます。電源のプラス側から回路ブレーカにワイヤを接続し、回路ブレーカの反対側をPLCのプラス入力に接続します。さらに、すべての入力がシンク構成に設定されているため、赤色LEDの入力側に接続される2本目のワイヤが回路ブレーカに接続されています。赤色LEDから、セレクタスイッチと押ボタンは、入力電源側が互いにデイジーチェーン接続されます。これは、1つの入力スロットに2本のワイヤがあり、1本のワイヤが両側のコンポーネントに行くように、各コンポーネント間に個別のワイヤを接続することで行われます。

すべてプラス24ボルト接続

PLCのアース接続には、特注のワイヤハーネスがあり、電源のマイナス側からPLCのマイナス入力に接続され、リレーモジュール出力の両方のコモン端子(C0とC1)に接続されます。リレーモジュールのコモン接続がアースに接続されている理由は、正電圧が負荷に行き、負荷からの信号がPLCに行き、PLCがアース接続で回路を完成させるソース構成に設定されているためです。

次の接続はI/O端子で、PLCの入力と出力の両方です。これらの接続は、セレクタスイッチ用の内蔵DI_0、緑色押ボタン用の内蔵DI_1、赤色押ボタン用のデジタル入力拡張モジュールのDI_0、および赤色パネルインジケータ用のリレーモジュールのR0です。最後にRS485ケーブルをPLC のRS485の+/-ポートに接続します。赤を+端子に接続し、黒を-端子に接続します。

MIBRX PLCの入出力接続と、グランド接続用の特注ワイヤハーネス

技術的なヒント: 電源はPLCの +/- ポートに接続し、PLCの +/- RS485 ポートには接続しないでください。

プログラムの作成

プログラムのライン1は、DI_0を変数とするノーマリオープン(NO)接点で、DO_0を変数とするコイルに接続します。このラインは、セレクタスイッチがアクティブになると、赤いパネルLEDを点灯させるだけです。

ライン2はアップ/ダウンカウンタブロックへの入力を開始するもので、DI_1を変数とするNO接点がカウンタブロックのアップ入力に接続されています。ライン3は、DI_3を変数とするノーマルクローズ(NC)接点がカウンタブロックのダウン入力に接続されています。NO接点ではなくNC接点が使用されているのは、赤い押ボタンがNC接点であるためです。ライン4は、DI_0を変数としてカウンタブロックのリセット入力に接続されたNO接点で、DI_0はこのプログラムで2回使用されています。ライン6には、カウンタブロックがどれだけカウントできるかを制御するためのグローバルな整数変数があります。

カウンタブロックの出力側には、カウント値を格納するために使用されるグローバル整数変数が1つだけあり、これを使用してHMIにカウント値を表示できます。

The counter block program in Selpro

Selproのカウンタブロックプログラム

カウンタブロック

SelecのSelproソフトウェアには、3つの主要なカウンタブロックがあります。アップカウンタ、ダウンカウンタ、アップ/ダウンカウンタです。SelecのSelproソフトウェア内には他にも特殊なタイプのカウンタがありますが、これらは主要なカウンタです。各カウンタは、その名が示す通り、アップカウンタはカウントアップのみ、ダウンカウンタはカウントダウンのみ、アップ/ダウンカウンタはカウントアップとカウントダウンの両方を実行できます。

SelecのSelproソフトウェアのすべてのカウンタは、カウンタブロックのカウントとリセットの入力にブール型のデータを使用します。アップカウンタとダウンカウンタのカウント変数のデータ型は、符号なし整数型と符号なし長整数型です。上記の2つのカウンタとは異なり、アップ/ダウンカウンタはカウントのデータ型として符号付き整数型と符号付き長整数型を使用します。これが意味するのは、アップカウンタとダウンカウンタが正の数でしかカウントできないのに対し、アップ/ダウンカウンタは正の数でも負の数でもカウントできるということです。

HMI

MIBRX-DSP-2M-7-1-04-Aは、SelecのSelproソフトウェアのHMIドロップダウンメニューで直接プログラムを行います。ドロップダウンメニューでHMIを選択すると、新しい画面が表示され、右側にプログラム作成時に選択したHMI、左側にPage Propertiesタブが表示されます。このPage Propertiesタブでは、ページの名前、ページの説明、ローカルイベントの設定、LEDの設定を行うことができます。

HMIのページを編集するには、画面の左上にあるEdit Pageボタンをクリックします。これにより、HMI画面の最初のページに変更を加えることができます。編集モードでは、Local LEDセクションをクリックすると、HMIのLEDを変更できるポップアップウィンドウが表示されます。このウィンドウでは、各LEDのグローバル変数や、LEDを点灯させるか点滅させるか、また設定した速度で点灯させるかを設定します。7セグメントディスプレイの画像をクリックすると、左側の情報タブが変更され、7セグメントディスプレイを編集できるようになります。このタブでは、ディスプレイに使用する値の設定、表示設定のフォーマット、ディスプレイに使用する文字の種類を設定します。

ページの編集が終了したら、Save Pageボタンのアイコンをクリックして、HMIのそのページで行った編集を保存します。HMIにさらにページを追加するには、「Add a New Page」を選択します。これは、ページの左上にある緑色のプラス記号をクリックするか、ページの編集が終了したら緑色の矢印をクリックすることで実行できます。これにより、そのページに施した変更が保存され、HMIに新しいページが追加されます。

技術的なヒント: HMIプログラミングページには2つの保存ボタンがあります。1つはプログラムを保存するボタンで、もう1つは編集中のページを保存するボタンです。

LED

HMIにカウントを表示するだけでなく、HMIの下部にある6つのLEDにもカウントを表示するように設定されています。これを行うには、各LEDに独自のグローバルなブール型変数を設定し、メインプログラムで呼び出されたときにLEDをアクティブにする必要があります。メインプログラムの次のステップは、HMIプログラムで使用される LED変数ごとに1つずつ、6つの個別のイコール(比較判断)ブロックを設けることです。LED変数をアクティブにするには、カウンタブロックからの出力がプリセットの数値変数に等しいときに、その出力をアクティブにするようにイコールブロックを設定します。この数値変数は、PLCのHMIでLEDの上に表示さ れている番号と同じになるように設定されます。

LEDに使用できる別のプログラムはバイナリカウンタで、このLEDプログラムと同じ考え方を使用します。違いは、各ブロックに1つの出力しかない代わりに、各イコールブロックに対して同時にいくつのLED変数を呼び出すかということです。

PLCのプログラミング

プログラムが書き込まれたので、次のステップはそれをPLC自体にダウンロードすることです。PLCをコンピュータに接続した状態で、PLCの電源を切り、HMIのENTボタンを押したまま、PLCの電源を入れ、3秒待ってからENTボタンを離します。これを行う必要があるのは、PLCをブートローダモードにしてプログラムをダウンロードできるようにするためです。

次のステップは、プログラムをコンパイルしてPLCにダウンロードすることです。これには2つの方法があります。最初の方法は、CompileボタンまたはF5を使用してプログラムをコンパイルし、次に、ドロップダウンメ ニューを使用してプログラムをダウンロードするか、F3を押す方法です。もう1つの方法は、DownloadドロップダウンメニューでCompile and Downloadを選択するか、F7を押す方法です。

ダウンロードが開始されると、HMIの7セグメントディスプレイにDNLD(Down Load)と表示され、HMIの6つのLEDが通常のステータスバーのように左から右に移動するので、ダウンロードの進行状況を確認できます。ダウンロードが完了すると、HMIとそのLEDが、ダウンロードされたプログラムのホーム画面に合わせて変わります。プログラムがダウンロードされると、PLC は自動的にブートローダモードを終了して通常のランモードに戻るため、PLCを再起動する必要はありません。

技術的なヒント: 各HMIはブートローダモードに入る方法が異なるため、使用するHMIの操作説明書をお読みください。MIBRX-DSP-2M-7-1-04-A operating instructions

完成したプロジェクト

プログラムのダウンロードが完了したら、プログラミングケーブルをPLCとPCから取り外します。HMIを見ると、7セグメントディスプレイに0が表示され、6つのLEDはいずれも点灯していないはずです。すべてが正常に動作していれば、緑のボタンを押すとカウントアップし、HMIの6つのLEDが左から右に移動し、HMIの数字とLEDの数字が一致します。赤いボタンを押すと、カウントダウンし、HMIの6つのLEDが右から左へ動き、HMIの数字とLEDの数字が一致します。セレクタスイッチをオンにすると、7セグメントディスプレイが0にリセットされ、HMIの6つのLEDがすべて消灯し、赤いパネルライトが点灯します。

ダウンロードしたプログラムでは、カウントアップと
カウントのリセットが表示さ れます。

まとめ

この記事では、Selproソフトウェアで使用できるさまざまなカウンタブロックの違い、各カウンタブロックの動作、およびカウンタブロックが使用する変数について説明しています。また、Selproで基本カウンタプログラムを作成する方法と、そのプログラムをSelec MIBRX PLCにダウンロードする方法についても説明をしています。この記事では、SelproソフトウェアでHMIをプログラムする方法と、メインプログラムとHMIプログラムの間で変数を使用する方法について説明しています。今後の記事では、さまざまなSelec MIBRX PLCモジュール、Selproソフトウェアでのさまざまなファンクションブロックの使用、Selec MIBRX PLCへの入力にさまざまなタイプのセンサを使用する方法について説明します。

著者について

Anthony Fish氏はエレクトロニクス業界で5年の経験を持つ、情熱的で熟練した技術者です。Northland Community & Technical Collegeで電子技術とオートメーションシステムの学位を取得し、現在DigiKeyのオートメーションおよび産業用制御システムの分野でエレクトロニクス技術者として働いています。電話やチャット、またはこのフォーラムを通じて、お客様の技術的な質問にお答えするチャレンジングな仕事を楽しんでいます。




オリジナル・ソース(English)