コンデンサに関するよくある質問:リップル電流と絶縁抵抗

許容リップル電流はどのように測定するのですか。

許容リップル電流の測定方法については、業界標準はありません。TDKでは、すべてのMLCCについて、リップル電流による周囲温度からの最大上昇温度を20℃と規定しています。 実際には、MLCCのESRや熱抵抗を測定すれば、間接的に温度上昇が推定されます。ジュール熱は、リップル電流が流れる限りMLCCを加熱し続けますが、部品もまた熱を放射して部品を冷却します。温度上昇は、この発熱と放熱のバランスで決まります。
単位時間あたりの発熱量と温度上昇の比を熱抵抗といい、MLCCのケースサイズと材料が同じであれば、同じ熱抵抗を持つことになります。したがって、ESRがわかれば、単位時間あたりの消費電力量を算出できます。温度上昇量は、消費電力の数値に熱抵抗を掛けることにより算出できます。許容リップル電流を求めるこの方法で、温度上昇が20℃の場合の許容最大リップル電流を計算します。

コンデンサの絶縁抵抗はどのように測定するとよいでしょうか。

絶縁抵抗(IR)とは、コンデンサの誘電体材料が漏れ電流に抵抗する程度のことです。それは誘電体材料そのものの抵抗値です*1。IRは漏れ電流で測定します。漏れ電流と印加電圧がわかれば、オームの法則に基づいて絶縁抵抗を計算することができます。漏れ電流を測定するには、2 つの基本的な方法があります。まず、コンデンサと電圧源と電流計を直列に接続する方法です(図 1 を参照)。

次は、抵抗と並列に電圧計を接続し、それをコンデンサと電圧源に直列に接続する方法です(図2を参照)。

最初の方法は、通常1uF以下のコンデンサに適用されます。低容量コンデンサは漏れ電流が少ないため、低電流用の電流計で電流を正確に測定することができます。漏れ電流が大きい場合、充電されたコンデンサのノイズや不安定性により、電流計では正確に測定できません。したがって、大容量コンデンサ*2は、第2の方法で測定する必要があります。


図1:コンデンサに直列接続した電流計


図2:抵抗と並列接続し、コンデンサに直列接続した電圧計

MLCCの全セレクションはこちらからご覧いただけます。

*1 “Glossary of Capacitor Terms”, Ray Ostlie (1989)
*2 Keithley Switching Handbook, 3rd Edition, 1995, Page 4-12

TDKのご厚意によりFAQからコンテンツと画像を転載:




オリジナル・ソース(英語)