ヒートパイプの凍結/融解サイクルと動作温度

ヒートパイプや蒸気チャンバを使用する場合、極端な温度にさらされた時に製品の損傷や機能の低下が懸念される場合があります。水ベースのヒートパイプは一般的な例であり、航空便で輸送する場合でも凍結の危険性があります。

動作温度

ヒートパイプの動作(機能)温度限界と構造限界の違いに注意することが重要です。機能温度限界は、製品の形状、材質、内部設計、使用する作動液の種類によって決まります。例えば、水ベースのヒートパイプは、水が凍結すると、通常の機能を失います。もはや気化したり凝縮したりして一方の端から他方の端へ熱を伝えることができなくなります。構造的限界とは、製品が一定の温度を超え時間が経過することにより物理的に損傷を受ける可能性がある場合です。もちろん、この2つの限界は同時に発生する可能性があります。

メーカーは、内部流体の物理的特性に関連した制限を含めずに、有効動作範囲(有用効率パーセンテージ)のみを記載する場合があります。例えば、以下の製品仕様書では、特定の製品の蒸留水の温度範囲は、30℃~120℃と記載されています。

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その場合、ヒートパイプ内の作動液の凝固点以下での低温の影響がもっともな懸念事項となります。

凍結/融解サイクル

しかし、この情報は、発熱源が高温であるにもかかわらず、作動液が蒸発/融解を介して正常な熱伝達を行っていない高温(沸点以上)で発生する可能性のある損傷が主な懸念事項であるため、メーカーの説明書には記載されていない場合があります。そこで、懸念事項があり、データが表示されていない場合は、(Digi-Key経由で、または直接)サプライヤに質問を送ることで、明確にすることができます。主に質問としては、以下が考えられます。(01)「出荷時の凍結の可能性は製品にリスクをもたらすか」、(02)「製品に関する凍結/解凍サイクルのデータはあるか」

正式な文書やテストデータは公開されていないかもしれませんが、少なくとも、製品履歴やメーカーのデバイスに関する顧客対応の経験に基づいて、ある程度の確証は得られるかもしれません。例えば、Advanced Thermal Solutionsの水封式ヒートパイプに関する最近のお問い合わせには、「当社のヒートパイプの凍結についての正式な資料はありませんが、凍結しても破損することはありません。製品は無限の凍結融解サイクルを耐え抜くことができます。ヒートパイプにダメージを与えるのは、200℃以上の温度にさらされることです。」との回答がありました。これは、出荷、さらには設計や使用法のほとんどの計画を進めるのに十分な情報です。

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参考文献:

ATS社の資料ATS Engineering eBook
ATS社の資料Heat Pipes:Heat Super Conductors
ATS社の資料Thermal Performance of Heat Sinks with Heat Pipes or Vapor Chambers for Servers
Wakefield-Vette社の資料Heat Pipe Selection Guide




オリジナル・ソース(英語)