ワイヤはんだと、その長さの計算

ワイヤはんだと、その長さの計算

はんだのスプールを探していて、スプールの製品の長さが分からないのでイライラしたことがあるのなら、それには理由があります。業界では通常、はんだを長さで販売するのではなく、重量で販売しているからです。

製品の量がイメージしにくい場合、この値で計算することができます。知っておくべきことが3つあります。

  • 製品の重量(パッケージを含まない)
  • ワイヤの直径
  • ワイヤの組成(密度を求めることができる)
変数 内容 単位
W 重量 g
D 密度 g/cm³またはKg/m³
d 直径 mm
L 長さ cm

Lを求める式

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待って!まだ諦めないでください。確かにこの数式は少し恐ろしく見えますが、実際よりも難しく見えているだけで、あなたにも計算できます。

以下は、最初から最後まで通して実行できる実際の例です。


例1:

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メーカー品番        4900-35G
Digi-Key品番 473-1116-ND
メーカー MG Chemicals
詳細な説明 鉛フリー無洗浄型ワイヤはんだ 錫96.5 銀3 銅0.5(96.5/3/0.5) 20 AWG、21 SWG チューブ、0.60 オンス(17g)
データシート こちらをクリック

まず、これらの変数を整理してみましょう。

W (重量) 17g

上記の部品の説明にあります。はんだは通常量り売りなので、そこに記載されていることが多いのです。

d (直径) 0.8mm

説明では20AWGのワイヤとなっていますが、計算には、mmの単位である必要があります。データシートを見ると、そこに数値が記載されています。.

D (密度) 7.38 g/cm³

すべての元素にはそれぞれに密度があります。つまり、ある物の中にどれくらいの量の何かが存在するかさえ分かれば、密度を計算することができます。この合金の場合、もうすでに分かっているので、計算の必要はありません。その前に、まずは密度というものを理解しておきましょう。

この合金はSn96.5/Ag3.0/Cu0.5と記載されています。錫96.5%銀3.0%銅0.5%からできています。 これらの元素を正確に組み合わせた物があれば、いつでも密度は同じになります。これは物理学です。

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では、どうやって密度を調べたらよいでしょうか。通常はデータシートに記載されていますが、そうでない場合は、合金と密度という単語をグーグルで検索すると、その数値が分かる資料が見つかることが多いです。本投稿を下にスクロールしていくと、最も一般的なはんだとその密度のリストがあります。

さて、必要な値が得られたので、式に代入して、この製品の長さを計算してみましょう。

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まず、この式を簡単にすることから始めましょう。

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そして、今度はほんの少しだけ。

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フィート表示にしたい場合は、この答えに0.033をかければいいだけです。

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例2:

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メーカー品番        4865-454G
Digi-Key品番 473-1108-ND
メーカー MG Chemicals
詳細な説明 鉛入り無洗浄型ワイヤはんだ 錫63 鉛37(63/37) 20 AWG、 21 SWG スプール、1ポンド(454 g)
データシート こちらをクリック
W (重量) 454g
d (直径) 0.81mm
D (密度) 8.40 g/cm³

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一般的な値

以下に既知の合金の組成とその密度の一覧を示しましたので、計算の際にご利用ください。

組成 密度
Alloy Composition g/cm³
Bi57Sn42Ag1 8.57
Bi58Sn42 8.57
In100 7.31
In52Sn48 7.3
In97Ag3 7.38
Pb60Sn40 9.28
Pb70Sn30 9.72
Pb85Sn15 10.47
Pb88Sn10Ag2 10.73
Pb93.5Sn5Ag1.5 11.02
Pb95Sn5 11.03
Pb97.5Ag1.5Sn1 11.26
Sn50Pb50 8.87
Sn60Pb40 8.51
Sn62Pb36Ag2 8.42
Sn62Pb38 8.37
Sn63Pb37 8.4
Sn95Ag5 7.4
Sn95Sb5 7.25
Sn96.5Ag3.0Cu0.5 7.38
Sn96.5Ag3.5 7.37
Sn96.5Ag3Cu0.5 7.37
Sn96Ag4 7.38
Sn97Ag3 7.36
Sn97Cu3 7.33
Sn99 7.28
Sn99.3Cu0.7 7.26

この式が、はんだにのみ使えるというわけではないという点を指摘しておきます。この式は、さまざまな場面で有効です。数式を少し操作すれば、求める値を変えることができます。

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Microsoft Excelなどのデータベースアプリケーションで使用する数式はこちらをご覧ください。

To find Weight

=Density*Length*PI()*POWER(((Diameter/2)/10),2)

To find Density

=Weight/(Length*PI()*POWER(((Diameter/2)/10),2))

To find Length

=(Weight/Density)/(PI()*POWER(((Diameter/2)/10),2))

例3:

ここで、違うタイプの例を挙げます。改造中のボートにPVC(塩ビ)のパイプを通そうと思います。重量制限を超えたくないので、何を積んだか集計しているところです。目の前に実物があれば、長さを測って、適切な長さでどれくらいの重さになるのか計算できるのですが、今は何もありません。また、これに使うような立派なスケールも持っていません。どうしたらいいんでしょうか?もちろん、買いに行って調べることはできるでしょう、それとも...

PVCの密度をグーグルで検索すると、1.38/cm3の密度があることがわかりました。計算したところ、2インチのパイプを約100フィート通す必要がありそうです。

ここに情報を与えてくれるチャートがありました。

このような寸法になりました。
OD = 2.375 in (60.325 mm)
ID= 2.047 in (51.9938 mm)

変数 内容 単位
W 重量 W g
D 密度 1.38 g/cm³またはKg/m³
d 直径 60.325 mm
L 長さ 3048 cm

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ここまでパイプの重量を計算すると、

W = 120220g
W = 120.22Kg
W = 265.04lb

少し重く感じるのは、パイプの内側が空洞であることを計算していないからです。内径の値でもう一回計算をして、上記の値から引く必要があります。

W = 89307g
W = 89.30Kg
W = 196.88lb

計算で得られたパイプの重量は、

W=30913g
W=30.91Kg
W=68.15lb

100 フィートの2インチPVCパイプは、約68.15 ポンドの重さになります。上のチャートから、1フィートあたりの重量は0.720(ポンド?)で、100フィートで72ポンドとなることがわかります。 どちらの値が実際の重量に近いのか、興味深いところです。






オリジナル・ソース(English)