この投稿では、Digi-Keyサイトで使用されているACおよびDCファンのさまざまなパラメトリック属性や、定性的性質の異なる属性値(軸受タイプなど)の区別を説明し、ニーズに合うファンを選択する際に考慮すべき一般的なガイダンスを提供します。
このトピックはかなりの情報量があるため、1ページに収めてしまうと必要な情報を探しにくくなってしまいます。そのため、この投稿ではパラメトリック属性の基本的な説明をしています。より深い考察が必要な場合は、その議論がなされている投稿のリンクが関連する属性のところに張ってあります。また、関連する投稿および補助記事へのリンクもこの記事の最後に掲載されています。
ファンの属性
電圧 - 定格
この属性は、デバイスの公称入力電圧を示します。これは、デバイスが設計された意図的な動作条件と、通常、他の掲載されているパフォーマンス特性の測定プロセスで使用される試験条件の両方を記述するものです。他のケースで使用される同様の名称の属性とは異なり、最大許容値を表すものではありません。一般的には、デバイスの動作が確認されている電圧範囲の中央値を表します。
上図:259-1567-NDのデータシートの抜粋(定格電圧と動作電圧範囲をハイライト表示)
サイズ/寸法
当然ですが、ファンのサイズ/寸法属性はデバイスの形状や寸法情報を示します。デバイスの全体的なアウトラインを2次元で表したもので、通常は、ファンのタイプに応じてデバイスの吸気口または排気口から見た寸法です。好まれている形/寸法のデバイスは、取り付け方法に互換性があるため置き換え可能なもの、またはほぼ互換性のある代替品を使用することにより、システムに最小限の機械的変更を加えるだけで、別の性能特性を得られるものです。幅(奥行きと呼ばれることもあります)情報とは別に扱われる理由は、多くの場合この2つの情報は個別の関心事であり、ある意味まったく異なるため、別項目として扱われます。
上図:259-1567-NDのデータシートからの抜粋(サイズ/寸法情報をハイライト表示)
幅
ファンの幅属性は、サイズ/寸法属性では表せないデバイス全体のサイズを3次元で表します。多くの場合、幅属性とサイズ/寸法属性は個別の検討事項と考えられています。取り付け方法に互換性、あるいはほぼ互換性のあるデバイスを使用すると、幅の違いによって得られる性能特性が異なるため、別々に扱われます。
上図:259-1567-NDのデータシートからの抜粋(幅の情報をハイライト表示)
空気流
ファンの空気流属性は、定格電圧が印加されたゼロ圧力(フリーデリバリー)条件下でデバイスが移動させる空気の体積を表します。典型的な値が示されていますが、実際の結果はさまざまな要因、特に印加電圧によって変化します。この値は動作曲線の終点であり、記載されている静圧値はもう一方の終点であることに留意してください。この2つの値は同時に適用されるものではなく、通常、実際には直接適用されません。ほとんどのアプリケーションは、この2つの値で表される極値の間で動作します。正確な試験方法はメーカーにより異なり、そもそもこの量を高い精度で測定するのは容易ではないため、この属性のデータはおおよそのものとして扱うことをお勧めします。その他の関連情報については、ファンとシステム曲線の投稿を参照してください。
静圧
ファンの静圧属性は、ゼロフロー、すなわち出口が塞がった状態においてデバイスが生成できる空気圧の最大量を記述します。これは、エアフロー属性とは逆のデバイスの動作曲線の極限を表し、2つの値は同時に適用されません。ほとんどのアプリケーションはこれら2つの値が示す極限の間のどこかで動作するため、通常はどちらも実際には直接適用されません。その他の関連情報については、ファンとシステム曲線の投稿を参照してください。
軸受タイプ
ファンのベアリングタイプ属性は、ファンの回転部分が機械的に支持される手段を示しています。この属性は、動作寿命、騒音レベル、許容動作位置、およびその他のアプリケーションの懸念事項に対して重要な意味を持ちます。このトピックに関するより詳細な説明は、Fan Bearings & Longevityの記事でご覧いただけます。
ファンタイプ
ファンタイプ属性は、デバイスの一般的なフォームファクタや設計コンセプトを示すもので、吸気と出力の流れの方向や特性曲線形状が異なる、いくつかの基本パターンがあります。このトピックのより詳細な説明は、こちらを参照してください。
上図:(左から右へ)チューブ軸流ファン、遠心力型ブロア、電動インペラの例
特長
特長属性はファンに組み込まれた補助的な機能や機器を列挙するもので、速度制御とフィードバック機構が最も一般的です。利用可能なファン機能とその機能のより詳細な説明は、Fan Featuresに関する投稿でご覧いただけます。
ノイズ
ファンのノイズ属性は、メーカーによって特徴づけられた、動作中のデバイスによって発生する音量を表します。試験方法はさまざまですが、一般的には無響室においてゼロ圧力(フリーデリバリー)状態で定格電圧を印加し、試験用マイクロフォンをファン吸気口から特定の距離だけ離してファンのノイズを測定する方法がとられています。このような方法は、アプリケーションの変数から切り離された状態でファン自体によって発生するノイズを評価するものです。実際に測定されるノイズレベルは、ファンとそれが設置された装置の組み合わせによって影響を受けます。259-1567-NDのデータシートから抜粋した、メーカーのテストセットアップに関する図を以下に掲載します。ノイズ関連の考慮事項の詳細については、こちらを参照して下さい。
電力(ワット)
ファンの電力属性は、メーカーが定義した一連の試験条件下におけるデバイスの消費電力を表すもので、一般的には定格電圧の印加とフリーデリバリー(ゼロ静圧)状態を用います。この値は、デバイス自体に直接印刷された同様の値とは異なる場合があり、また観測された値は実際の適用条件によって変化します。この変動は、ファンの動作曲線上のすべてのポイントが同量の機械的入力電力を必要とするわけではないこと、および通常動作時にファンが消費する電流量がローターロック(故障)状態下で消費する電流量と異なる場合があることに起因しています。記載されている値はあくまでも概算値として理解し、消費電力が懸念事項である場合は、特定の応用条件下でデバイスの消費電力の特性を評価することが推奨されます。
RPM
ファンのRPM属性は、メーカーが定義した一連の試験条件下でのローター回転速度を表すもので、これには通常、定格電圧の適用と自由空気(ゼロ静圧)送風条件が用いられます。実際の値は、適用される速度制御入力や、デバイスが送風される実際の電源電圧および静圧によって明らかに変化します。大まかに言えば、低い動作速度は、騒音レベルの低下と動作寿命の延長に関連する傾向があり、また、高い回転速度で動作する装置と同等の気流を供給するには、物理的に大きな装置が必要になります。AC入力のファンでは、この数値は通常60Hzの入力に対して指定されており、50Hzの電源で動作させると15~20%減少する可能性があることに注意してください。
終端
ファンの終端属性は、電源および該当する信号接続の方法を説明するもので、通常、存在するリード線の数や使用するコネクタの基本的なスタイルで示されます。一般的な終端スタイルの例を下図に示しますが、利用可能なオプションについてのより詳細な説明は、こちらをご覧ください。
防塵防水
ファンの侵入保護等級は、固体や液体の侵入などの環境要因に対する耐性を表すもので、通常IEC60529の下で確立された基準に従っています。これらの定格はデバイスの電子/モータ構造部分とデバイス自体への侵入にのみ適用され、ファンが使用されるシステムまたは環境には適用されないことを理解する必要があります。
上図:IP定格を満たさないファンの例。モータの構造で、はんだ接続部や回路基板が露出していることに注意。
動作温度
ファンの動作温度属性は、デバイスが短期的な誤動作や損傷のリスクなしに動作可能な周囲温度の範囲を示します。場合によっては、より広い保管温度範囲を記載するメーカーもあり、動作していない状態でデバイスがさらされてもよい最大範囲の最高温度が記述されます。ファンの期待寿命は、ファンの動作環境の温度(基本的には動かされる空気の温度)に強く影響されることに注意してください。
承認機関
承認機関属性に記載されている機関が、規定したスキームに従ってデバイスを評価、認証、承認、または他の官僚主義的な手続きが完了していることを示しています。
下の画像は、Digi-Key品番1053-1205-NDで、この製品が取得している承認マークが強調表示されています。
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Digi-KeyではSPAL VA37-A101-46S(5.2 "P/12V/SUM)の代替品のファンで、12Vではなく24Vのものはありますか?
よろしくお願いします。
Kristin
Robert_1552 DigiKey Employee
残念ながら、このサイズや電圧でお客様のニーズに合致するファンは取り扱っておりません。