Varistor の仕様について: TVS - Varistors, MOVs

TVS-バリスタ、MOV仕様

バリスタは、比較的大きい過渡電流とエネルギー定格を備えた非線形の双方向電圧依存保護デバイスで、ナノ秒からミリ秒の範囲で動作します。応答時間が高速であるため、このデバイスは過渡応答電圧、サージ電圧、スパイク、過電圧イベント、およびESDから電子回路を保護するために使用されます。これらの現象は通常、回路の前段の入力ラインで発生し、ときには回路の後段の出力ラインで発生することもあります。バリスタは通常はオープンの状態ですが、過電圧が印加されると抵抗が指数関数的に減少し電圧をクランプします。

ほとんどの過電圧状態では電圧値が不明なので、バリスタがその制限内で使用されたかどうかを知ることは困難です。ただし、バリスタは、仕様の範囲内で動作する場合、通常、時間の経過とともに劣化の兆候を示すことはありません。しかし、電圧イベントが発生した後は、時間の経過とともに経年変化で抵抗値が大きくなっていきます。バリスタは最初、ほぼ短絡した状態で故障しますが、電流の流れを制限するサーミスタまたはヒューズが直列に接続されていない場合、過剰な電流または熱のためにオープンになります。

いくつかのバリスタには、過剰な熱をより迅速に検出するために、内部に感熱素子が内蔵されています。またこのことによりボードスペースを節約できます。これらのバリスタのパッケージには2つまたは3つのリード線がついており、その3番目のリード線は通常、外部インジケータ回路にバリスタの内部状態を出力するための「出力インジケータ」です。1つのパッケージに複数のバリスタを内蔵することもできます。

ほとんどのデータシートには、パルス定格曲線または繰り返しサージ機能チャートが含まれており、それらが処理できるイベントのタイプが記載されています。これらのイベントの仕様を超えると、デバイスが仕様を満たさなくなる場合があります。仕様が正しく選択されていないと、バリスタが機能しなくなったり、ライフサイクルが低下したり、完全に故障したりする可能性があります。バリスタの仕様を決めるためのテスト方法はバリスタによって異なっている可能性があるため、使用するアプリケーションに正しいバリスタが選択されているか、事前にデータシートを確認することが重要です。

用語:
バリスタ電圧(最小): バリスタ内の抵抗変化が認められるおよその最小電圧、または「導通開始」電圧。この値は通常、指定された制御回路または電気条件下で決定されます。

バリスタ電圧(標準): 標準的なサージ電圧、または最小バリスタ電圧と最大バリスタ電圧の間のおよその「中間点」電圧。これは多くの場合、最小電圧と最大電圧の中点から得られる一般的な値です。

バリスタ電圧(最大): クランプ電圧(最大)と呼ばれることもあります。仕様内で動作した場合、デバイスの損傷を引き起こさずに、バリスタが指定されたピークパルス持続時間にわたって導通(または回路に通過)するおよその最大電圧です。この値は通常、指定された制御回路で動作させることにより、または最大クランプ電圧@クラス電流などの電気的値で決定されます。

サージ電流耐量: 指定された特定の電流波形に対して、定められたピークパルス持続時間内導通可能な最大ピーク電流。デバイスに損傷を引き起こさずに印加できます。デバイスはこのサージに対処できますが、ほとんどの製造メーカは、部品の交換を推奨する前に、サージ電流が1回しか発生しないと見なしています。

エネルギー耐量: 指定された特定の電流波形で、定められたピークパルス持続時間内にバリスタで消費することができるジュール(またはワット秒)の最大量。この値は通常、指定された制御回路および電気的条件の範囲内で動作させて決定されます。バリスタはこの最大値に1回だけしか対応できな可能性があるため、イベント後に交換することをお勧めします。このイベントの後でもバリスタが機能しているように見えることがありますが、正しく機能しない場合があります。

最大AC電圧: 定常的にバリスタに印加できる最大RMSライン電圧。この値は、実際のRMSライン電圧よりわずかに高くなるように選択します。正弦波のピーク電圧が最小バリスタ電圧とオーバーラップしないようにして下さい。バリスタの寿命を縮めてしまいます。ありがたいことに、通常製造メーカは業者はこれを考慮して仕様を作成しています。

最大DC電圧: 定常的にバリスタに印加できる最大DCライン電圧。この値は、実際のDCライン電圧よりわずかに高くなるように選択しますが、多くの場合、製造メーカーはこのマージンを仕様に組み込んでいます。

適切なバリスタを選択するプロセス

  1. バリスタに通常印加される連続動作電圧を決め、最大AC電圧または最大DC電圧でこれに一致するか、わずかに高いバリスタを選択します。多くの場合、電源ラインには電圧変動の許容誤差があるため、実際のライン電圧よりも10〜15%高い最大定格電圧を選択するのが一般的です。多くの場合、バリスタはこの比率を電圧値に組み込んでいます。起こりえる最小電圧の保護よりも、むしろ非常に低い漏れ電流が重要である場合には、さらに高い動作電圧のバリスタを検討してください。

  2. イベントが発生したときにバリスタによって吸収されるエネルギーを決定します。 これは不明な値になる場合がありますが、環境およびデータシートの仕様内で使用されるイベント中において、バリスタのすべての絶対最大負荷値を使って決定されます。回路が生成するイベントによって要求されるエネルギー消費と少なくとも同等か、または理想的にはそれを超えるエネルギー消費定格を持つバリスタを選択することが重要です。バリスタは、定格エネルギー耐量に1回だけしか対応できないため、イベント後は交換することをお勧めします。このイベントの後にコンポーネントが機能しているように見えることがありますが、正しく機能しない場合があります。

  3. バリスタを流れるピーク過渡電流を計算します。 これはサージ電流とも呼ばれ、指定された期間と波形内でバリスタを通過できる最大電流です。適切な動作を確保するために回路が生成する可能性のあるイベントに必要な電流定格と同等か、または理想的にはそれを超えるサージ電流定格を持つバリスタを選択することが重要です。バリスタはこのサージに対処できますが、ほとんどの製造メーカーは、サージ電流を1回限りの発生と見なして、イベント発生後は部品交換を推奨しています。

  4. 消費電力要件を決定します。 回路が生成する可能性のあるイベントによって要求される電力処理量と同等、または理想的にはそれを超える電力定格を持つバリスタを選択することが重要です。一般に、電力、サージ電流、およびエネルギー定格は、予想されるよりもはるかに高くなります。通常、これらのディレーティング係数は、限度内の繰り返しストレスに必要な耐性よりも少なくとも50倍大きくなります。イベントの要因が不明な場合は、より高い電力、サージ電流、およびエネルギー定格のデバイスを選択する方が安全です。

  5. 必要なバリスタ電圧(最大)を提供するモデルを選択します。 これは、クランプ電圧(最大)とも呼ばれ、デバイスはイベント中に回路の入力または出力で確認できるおおよその最大電圧値に基づいて選択する必要があります。回路がこの電圧を処理できることを確認する必要があります。つまり、この電圧は回路が処理できるおおよそ最大の電圧です。ただし、バリスタはほぼバリスタ電圧(最小)から導通を開始します。これにより、実際にクランプ電圧になる前から、多少のクランプの効果が生じる場合があります。

Digi-Key TVS-バリスタ、MOVリンク
https://www.digikey.jp/short/z9hzqh

追加のリソースについては、以下を参照してください。







オリジナル・ソース(英語)