スイッチング電源設計のAC損失の計算方法

スイッチング電源(SMPS)の電力損失は、主にスイッチング損失と磁気損失によるものです。磁気損失は、設計に使用した誘導性部品の巻線やコアで発生します。SMPSの設計でインダクタを選択する際には、複雑な方程式とコアの特性データを用いてコア損失を推定することができます。また、表皮効果や近接効果による損失を見積もるために、追加の計算が必要な場合もあります。
Wurthは異なるアプローチで、パワーインダクタの損失をDC成分とAC成分として推定するモデルを開発しました。インダクタの巻線に流れる直流電流による電力損失は、「DC損失」として記載しています。コイルやコアの交流磁束の振幅による電力損失を「AC損失」と呼びます。


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Wurthモデルの利点は、実際の部品のデータに基づいていることです。

  • 実証データはリアルタイムのパラメータに基づいており、任意のデューティーサイクルにおける損失を正確に見積もることができます。
  • また、このモデルは広い周波数範囲(10kHz~10MHz)で正確に適用できます。これは、電力方程式の定数が磁束の振幅に対して広い範囲で得られているためです。
  • コア材や巻線構造のわずかな変化も考慮しています。
  • 複数の素材を持つコンポーネントに有効です。
  • 鉄粉やメタル合金の損失を正確に見積もることができます。
  • コアの形状や巻線構造を問わずに有効です。
  • AC巻線の損失を含みます。

このモデルは、Wurthのオンライン設計ツールREDEXPERTに実装され、適切なインダクタを選択し、選択された各部品と指定されたSMPS設計パラメータ(入出力電圧、周波数、電流、トポロジ)に対するAC/DC損失を見積もります。

REDEXPERTを使用したAC損失の見積もりに関する詳細な議論と例は、WurthのJohn Sudol氏が講師を務める REDEXPERT - World’s Most Accurate AC Loss Module Webinar のアーカイブでご覧いただけます。




オリジナル・ソース(英語)