LT3073 は、電流モニタ専用ピン(IMON)、固定比率電流サンプリング、および外部抵抗変換を組み合わせたソリューションにより、高精度な出力電流モニタを実現しています。
電流モニタの原理:固定比率電流サンプリング
LT3073 の電流モニタのコアロジックは、LDOの出力電流(IOUT)を固定比率(1:3000)でスケールダウンし、モニタ電流(IIMON)をIMONピンから出力することです。この関係は次のように表されます。 IIMON = IOUT / 3000
この比例関係は、全負荷範囲(10mA~3A)にわたって安定しており、その精度は内部校正回路によって保証され、標準誤差はわずか±3%(3A時)です。これにより、電流モニタに対するシステムの高精度要件を満たします。
LT3073 の内蔵高精度電流モニタ回路(画像出典:ADI )
ハードウェアの実装:電流/電圧変換
IMONピンは電流信号を出力するので、外付け抵抗(R₍MON₎)を用いてシステムで検出可能な電圧信号に変換する必要があります。具体的な設計では、以下の2点に注意が必要です。
1. 抵抗の選択と接続
高精度抵抗(許容差1% 以下)の使用を推奨します。抵抗の一端はIMONピンに接続し、もう一端はケルビン接続でLDOのGNDピンに接続します(PCBトレース抵抗による誤差を避けるため)。
例: 全負荷電流3Aをモニタする場合、R₍MON₎ = 0.8kΩを選択します。モニタ電圧(V₍IMON₎)は、V₍IMON₎ = 1mA × 0.8kΩ = 0.8Vとして計算されます。この電圧はMCU/ADCに直接接続してサンプリングできます。
2. 負荷電流範囲の適応
負荷電流が3Aより小さい場合、モニタ電圧は比例して直線的に減少します。例えば、
- 負荷電流 IOUT = 1Aの場合:IIMON = 1A / 3000 ≒ 333.3μA、V₍IMON₎ ≒ 333.3μA × 0.8kΩ ≒ 0.267Vに相当します。
- 負荷電流 IOUT = 500mAの場合:IIMON ≒ 166.7μA、V₍IMON₎ ≒ 0.133Vに相当します。
このリニアな特性により、全負荷範囲にわたってモニタ精度が保証されます。
注意事項
1. IMONピンフローティングのリスク
電流モニタ機能を使用しない場合は、IMONピンをGNDに直接接続する必要があります。この場合、LDOは自動的に内部電流制限(標準値:4.5A)を作動させます。IMONピンをフローティングのままにしておくと、モニタ回路が誤動作し、出力の安定性に影響を与える可能性があります。
2. PCBレイアウトの要件
- R₍MON₎ は LT3073 の近くに配置し、IMONピンから抵抗までのトレースを短くすることで、寄生インダクタンス/抵抗による誤差を低減します。
3. 温度の影響
精度は全温度範囲で最適化されていますが、極端な温度下(100°Cを超える場合など)ではわずかな誤差が生じることがあります。デバイスを高温環境で使用する場合は、ソフトウェアに温度補正アルゴリズムを追加することをお勧めします。
関連品番:
- ADIのLDO LT3073
- 開発ボード EVAL-LT3073-AZ
- ADIのDC/DCスイッチングレギュレータ LT8609
関連資料:
- LT3073のデータシート
その他のコンテンツ
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