負の電流サージを発生させるDC/DCコンバータ

モジュール型の電力変換デバイスを用いて設計する場合、すべての製品がプリバイアス起動に対応しているわけではありませんので、ご注意ください。言いかえると、デバイスの出力に電圧がある状態で入力電源を接続すると、デバイスが破損することがあります。例えば、軽負荷時に入力電源が瞬断し、出力フィルタのコンデンサが十分に放電されないまま入力電源が再投入された場合などです。

Digi-Keyのお客様で、最近この問題に悩まされた方がいらっしゃいます。主な症状は、起動時にコンバータのフル定格出力にほぼ等しい負の電流サージを発生させることでした。つまり、電源の出力がわずかな間、極性を反転させていたわけで、これはDC出力の電源としては好ましいことではありません。

この例では、出力コンデンサに電荷がある状態で入力電源を接続すると、デバイスが破損する可能性について、デバイスのデータシートには記載がありませんでした。 メーカーの説明では、プリバイアス起動のサポートは「機能」として考えられており、データシートには製品に含まれない機能は記載されていないとのことでした・・・
この話の教訓は、モジュール型電力変換デバイスがプリバイアス起動に耐えられると仮定してはいけないということです。一般的な用途では、極めて一般的な機能であり、生き残るための必須条件であるにもかかわらず、それを許容しない部品が存在し、しかもその事実を明確にしないのです。

特に、高効率、高出力電流、低出力電圧のコンバータによく見られる「同期整流」を採用していると記載されているデバイスは要注意です。これらのデバイスは、スイッチングサイクルの一部で電流を流すために、ダイオードの代わりにアクティブ制御のトランジスタに依存しており、この種の問題の影響をより受けやすくなっています。




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