APDahlen Applications Engineer
Digilentは最近、混合信号USBオシロスコープ/ファンクションジェネレータのAnalog Discovery Pro(ADP2230)を発表しました。この技術概要では、この新製品のProとAnalog Discovery 3(AD3)を比較します。図1に、両測定器を並べた画像を示します。
ADP2230とAD3は、機能と全体的性能の点で密接に関連しているため、有意義な比較を提供するのは困難です。ここでは、重複する仕様に目を向けるのではなく、一歩下がって各測定器のハイレベルな属性を明らかにします。これらの属性が明確になれば、ニーズに合った測定器を選択するのに役立つでしょう。
図1: Digilent Analog Discovery Pro APD2230(左)とAD3(右)を並べて比較
DigilentのAnalog Discovery 3の紹介
Digilent AD3は、高校から大学3、4年生までの学生に適しています。アナログとデジタルの両回路が混在したシステムに最適です。フライワイヤによりブレッドボードへの接続が容易です。
AD3を拡張可能なエコシステムとして捉えることが重要です。AD3の実用性は、図2に示すように、以下のような様々なモジュールによって強化されています。
図2: AD3エコシステムの一部として提供されるモジュールのコレクション。新製品のパワーアナライザモジュールは含まれていません。
DigilentのAnalog Discovery Pro ADP2230
ADP2230は、アナログとデジタルの混在した実験が行われる電気工学の入門クラスから上級クラスまで、あらゆるクラスに適した測定器です。ADP2230とAD3の違いを理解するには、この測定器を連続体として捉えると役立ちます。ADP2230は、一般的にオシロスコープと捉えられているものに近く、より大きなデバイスで、オンボードバッファリングとフィルタリング容量が増加しています。
ADP2230の最も重要な特長は、改良されたアナログフロントエンドでしょう。最大50MHzの帯域幅に対応します。これは、高度なRF信号解析やアナログ回路の限界を探る上で重要かもしれません。ADP2230には、AC/DC カップリングのための従来のオシロスコープ機能も含まれています。AD3のBNCアダプタ(図3)モジュールでは、0.1インチのヘッダジャンパを用いて、使用者がAC/DC入力カップリングを設定する必要があり、これは歓迎すべき追加機能です。
技術的なヒント: ADP2230とAD3は、図3に示すように、ユニークなピン配置で異なるコネクタを持っていることに注意してください。従って、AD3モジュールはADP2230と接続できません。
お客様に最良なのは、どちらの測定器でしょう?
その答えは、個々のニーズによって異なります。新しいADP2230の利便性とオシロスコープのような操作感を高く評価するユーザーもいらっしゃるでしょう。また、AD3のエコシステムを高く評価するユーザーもいらっしゃるでしょう。例えば、インピーダンス測定モジュールを紹介した投稿や、トランジスタテスタモジュールを紹介した投稿を参考にしてください。
どの機能があなたのアプリケーションにとって最も重要かを決める必要があります。
ソフトウェア
ADP2230とAD3は同じWaveformsソフトウェアを使用します。 これにより、オシロスコープ、スペクトラムアナライザ(FFT)、ロジックアナライザ、電圧計、プロトコルアナライザ、波形発生器、電源制御、およびインピーダンス測定やトランジスタテストなど多数の専用テスト測定用インターフェースを含む、使いやすい測定器用インターフェースが提供されます。
マルチワイヤの接続
ADP2230とAD3のフライワイヤ接続は似ているように見えますが、同じではありません。ADP2230は32ピンコネクタ(図3左)ですが、AD3は30ピンコネクタ(図3右)です。ワイヤの色の割り当てが異なることに注意してください。例えば、ピンクのワイヤはロジックアナライザのD0入力です。ADP2230ケーブルでは、このワイヤは左から2番目のワイヤとして2番目のアッパーデッキに配置されています。AD3ケーブルでは、このD0入力ワイヤはアッパー デッキの左から8番目のワイヤとして配置されています。
図3: Digilentのフライングリードの画像。左が32ピンのADP2230用、右が30ピンのAD3用。ワイヤの色の割り当てが異なることに注意してください。
技術的なヒント: 長年DigilentのAnalog Discoveryの歴代機種やAD3を使用してきた私ですが、ADP2230に乗り換えた時に問題が発生しました。図3において、アッパーデッキの左から7番目のワイヤがピンク色であることをご確認ください。私はこれがD0入力だと勘違いしていました。 ADP2230のピンク色のワイヤ(左から2番目のワイヤ)がD0入力であることに気づくまでに、しばらく時間がかかりました。
おわりに
この限定的な記事では、重複するADP2230とAD3の仕様について表面的に少し触れただけで、ほとんど検討できていませんが、まずは出発点として、AD3エコシステムの汎用性とADP2230の高度なオシロスコープ性能のバランスを取ることにより、お客様のニーズを慎重に検討する必要があります。
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ご健闘をお祈りします。
APDahlen
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著者について
Aaron Dahlen氏、LCDR USCG(退役)は、DigiKeyでアプリケーションエンジニアを務めています。彼は、技術者およびエンジニアとしての27年間の軍役を通じて構築されたユニークなエレクトロニクスおよびオートメーションのベースを持っており、これは12年間教壇に立ったことによってさらに強化されました(経験と知識の融合)。ミネソタ州立大学Mankato校でMSEEの学位を取得したDahlen氏は、ABET認定EEプログラムで教鞭をとり、EETプログラムのプログラムコーディネーターを務め、軍の電子技術者にコンポーネントレベルの修理を教えてきました。彼はミネソタ州北部の自宅に戻り、このような記事のリサーチや執筆を楽しんでいます。