アプリケーションに必要な ハイブリッドリチウムイオンスーパーキャパシタ(LiC)の計算方法は?

APDahlen Applications Engineer

スーパーキャパシタは比較的最近開発されたものです。このデバイスは、数十から数百ファラッドという大きい静電容量を備えています。電力密度の点で優れた性能を発揮するリチウムイオンハイブリッドキャパシタ(LiC)もあります。

この記事では、代表的なアプリケーションを紹介し、コンデンサが実現可能なソリューションであるかどうかを確認するために、ランタイム計算を探求します。

技術的なヒント: このEatonブランドLiCのようなハイブリッドリチウムイオンスーパーキャパシタは、充電された状態で出荷されます。端子が短絡してコンデンサが破損しないように注意する必要があります。このような状況を軽減するため、コンデンサはこの写真のようなプラスチックのキャリアに入れて出荷されます。

代表的な例

スーパーキャパシタの有用なアプリケーションの1つに、産業機器のライドスルー(電源異常時の運転継続)のバックアップがあります。このアプリケーションでは、コンデンサ、または直列接続されたコンデンサのバンクは、数分間アプリケーションに電力を供給することができます。一次電源が設定時間内に回復しない場合、システムは正常にシステムシャットダウンを実行することができます。

例として、1.0Aで公称24V DCを2分間連続的に必要とするシステムを想定してみましょう。電圧は、この設定値+2から-1V DCの範囲の変動を許容するとします。要求される公称エネルギーの合計は、次のようになります。

Energy = Power x time = 24 VDC x 1.0 A x 120 seconds = 2,900 Watt seconds = 2,900 W \cdot s

コンデンサの要件

システム要件がわかったので、適切なコンデンサを探すことができます。以下のようないくつかの制約があります。

  • 電圧: 典型的なLiCの使用電圧は3.8V DCです。この電圧はコンデンサが放電するにつれて低下します。24V DCシステムでは、7セル(7s)の直列接続を選択します。用途や構成部品の入手可能性、そしてコストによっては、7直列セルの2並列接続(7s2p)のような直並列構成を使用することが有益な場合もあります。

  • 電流: 各LiCには設計上の最大連続電流とピークサージ電流があります。このアプリケーションの場合、7s1pの接続には1Aの連続電流のコンデンサが必要ですが、7s2pの接続の場合0.5Aで構いません。

  • 温度: LiCテクノロジは高温に弱いとされています。適切に手入れをすれば、数十年の寿命があります。しかし極端な温度で使用された場合、寿命は数ヶ月単位に短縮されます。

  • セルバランス: リチウムイオンバッテリと同様に、LiCもセルバランスの手段が含まれている必要があります。7s1pは、最も弱い部分と同じ強さしかないと言えます。したがって、すべてのセルに均等に電圧がかかるようにするのが望ましいです。これは、過大な電圧によって1つのセルに負担がかかり、ダメージを受けるという自然な傾向も説明しています。このトピックは短い記事の範囲を超えています。しかし、セルバランス集積回路は数多くあります。ここにいくつかのデモボードがあります。これらのシステムがどのように組み立てられるか、設計について研究してください。

とはいえ、7s1pシステムの計算を見てみましょう。ここでは、セル電圧が3.8~3.3V DCに変動することを許容する保守的なアプローチを想定します。これは、システム電圧の合計が26.6~23.1V DCに相当します。

7s1pシステムの場合、電圧が3.8V DCから3.3V DCへと低下する過程で2900 W \cdot s を放出するコンデンサを見つける必要があります。

この重要な違いを再確認しましょう。

燃料タンクに蓄えられたエネルギーは計算していません!

代わりに、私たちは電圧が3.8V DCから3.3V DCに低下する際に消費される燃料を探しています。3.3V DC以下の残りの燃料は、必要なシステム電圧を下回っているため使用できません。

まず、冒頭の写真にある220Fのコンデンサを選んでみましょう。

Energy = \dfrac{1}{2}CV^2

Energy_{26.6 VDC} = 7 * \dfrac{1}{2}220\ C\ 3.8^2 = 11,100\ W \cdot s

Energy_{23.1 VDC} = 7 * \dfrac{1}{2}220\ C\ 3.3^2 = 8,390\ W \cdot s

26.6V DCと23.1V DCのコンデンサ蓄電量の差2,700 W \cdot s が使用可能エネルギーです。2700の値は公称値2900 W \cdot s に近いので、ここで止めておきます。このコンデンサのデータシートをざっと見ると、公称電流1Aを扱い、15Aまでのサージに対応できることがわかります。

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技術的なヒント: エネルギーは電圧の2乗に比例します。その結果、電圧のわずかな変化がエネルギーに大きな影響を与える可能性があります。この例では、0.5V DCの電圧低下により、蓄積エネルギーが約25%減少しています。

現在の価格では、1000台の生産を想定した場合、各ユニットに220Fを7個装着するのに47.55米ドルが必要と見積もられます。これはあくまでも概算であることをご理解ください。正確な見積りについてはDigiKey営業部門までお問い合わせください。

終わりに

この記事へのご意見をお待ちしています。例えば、3.3Vが使用電圧の限界であるという仮定に同意しますか?エネルギー貯蔵の式をLiCに正しく適用していますか?

あなたのプロジェクトでスーパーキャパシタをどのように使用されたでしょうか。

ご意見、ご感想は下記までお寄せください。

ご健闘をお祈りします。

APDahlen




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