以下の表は、さまざまなコンデンサの種類とその相対的な利点を簡単にまとめたもので、各種類が提供する静電容量の値が大きい順(または品質の低い順)におおよそ並べています。
コンデンサのタイプ | サブタイプ/バリエーション | おおよその容量値 | おおよその電圧範囲 | CV積の範囲 | メリット | デメリット/注意すべき点 | 適した用途 | 適さない用途 |
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C | V | |||||||
電気二重層、スーパーキャパシタ | 6.8mF~4000F | 2.1~75V | .03~10,000 | 極めて高いC/V(C/Volume)比を実現。 二次(充電用)電池の代替が可能で、 低電力(メモリやRTCのバックアップ電源)用と高電力(電池交換、自動車、牽引)用のバリエーションがある。 | 極性があり、セルあたりの電圧が低い。 エネルギー貯蔵デバイスとして使用するには、通常、電力管理回路が必要である。 リーク電流はしばしばかなり大きい。 寿命は温度に大きく依存し、電解液の配合によっては毒性問題が発生する可能性がある。 | エネルギーハーベスティング用途のストレージ、バッテリの補完/代替 | 信号アプリケーション、高温アプリケーション | |
アルミニウム | 標準電解タイプ | 0.1u~2.2F | 4~550V | 5E-6~22 | 安価で、C/V比が高く、大きな容量値も可能。 自己修復が可能である。 | 極性があり、寿命やデバイスのパラメータは温度に強く依存する。 高ESRで、線形性が悪く、長期間放電して保存すると誘電性が劣化する。 電解液の配合によっては、毒性を持つ可能性がある。 | 10 - 20kHzまでの周波数のバルクフィルタリング | 精密フィルタリング、RF、信号アプリケーション |
バイポーラ | .22u~6.8mF | 6.3~50V | 1E-5~0.05 | 標準的なアルミ電解と似ているが、逆極性に耐えることができる。 | 無極性であるが、標準的な電解タイプに似ている。ESRが高く、電力損失が大きいため、連続的なACアプリケーションには推奨しない。 | 極性が不確かであったり、または極性が逆転することがあるDCアプリケーション | 精密フィルタリング、RF、信号アプリケーション、連続ACアプリケーション | |
ポリマー | 22n~4.7mF | 2~100V | 2E-6~0.016 | 液体ではなく固体電解質を使用することで、一般的な電解タイプに比べ、ESRとデバイスの寿命を向上している。 | コストが高い、使用可能なデバイスの値の範囲が狭い、自己修復能力に限界がある。 | 100kHz台前半までの周波数でバルクフィルタリングが可能 | 精密フィルタリング、RF、信号アプリケーション | |
タンタル | Ta/MnO2 | 100nF~2.2mF | 2.5~125V | 2E-6~0.12 | 電解タイプの中では良好なC/V比と損失特性があり、蒸発/漏出する液体がないため長寿命が期待できる。 広い温度範囲で使用でき、適切に適用すれば自己修復する。 | デバイスの構造/化学的性質は多くの火工品と類似しており、故障時に発火する可能性があるため、慎重な設計が必要である。 経験則として、電圧を定格の50%以下にし、アプリケーションが試験値を超えるサージ電流を印加しないようにする。 | スペースに制約のあるアプリケーション、極端な温度、または長寿命のアプリケーションで、100kHz台前半までの低い周波数のバルクフィルタリング | 精密フィルタリング、RF、信号アプリケーション、その他あらゆるアプリケーションの開発において、十分な注意と配慮が必要 |
湿式 | 1.7uF~24mF | 10~125V | 2E-4~1.2 | 液体電解タイプの中で良好なC/V比、低ESR、優れた信頼性と安定性を有す。 優れた自己修復特性があり、発火故障の心配がほとんどまたはまったくなく、電圧ディレーティングが低減され、固体タンタルデバイスと比較してより高い静電容量/電圧値が利用可能である。 | コストが高く、固定が不適切な場合、機械的に振動に弱い。 密閉された電解液は一般に腐食性が高い。 | 10kHzまでのバルクフィルタリング、旧来の高信頼性アプリケーション | コスト重視のアプリケーション、信号およびRFアプリケーション | |
ポリマー | 4.7nF~1.5mF | 2.5~75V | 3E-5~1E-2 | 電解タイプの中ではC/V比が良く、低ESRで、発火故障の心配がほとんどない。 他のタンタルタイプに比べ、高周波特性が向上している。 | 他のタンタルタイプに比べ、温度耐性が低く、自己修復効果が低く、リーク量が多い。 | 特に高密度で温度制限のあるアプリケーションで、100kHz台前半までのバルクフィルタリング | 精密フィルタリング、RF、信号アプリケーション | |
酸化ニオブ | 2.2uF~1mF | 1.8~10V | 2E-5~4E-3 | 電解タイプの中では良好なC/V比、低ESRの特性を有し、タンタルの代替品で、発火故障のリスクが低減され、ディレーティングは少なくてよい。 タンタルと比較して、材料の入手性に差があるため、サプライチェーンの面で有利になる可能性がある。 | 使用できる電圧範囲が限定されている。 | 特に高密度なアプリケーションにおいて、10kHz台後半から100kHz台前半の周波数でのバルクフィルタリング。 多くのアプリケーションでタンタルの代替 | 精密フィルタリング、RF、信号アプリケーション | |
フィルム | ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート(PET) | 270pF~220uF | 50V~1kV | 3E-8~0.07 | 一般的なフィルムタイプの中で最も低コストで、最も高いC/Vを実現。 リフローに対応していないデバイスが多いが、適度な温度耐性がある。 構造によっては、自己修復性が高い。 | 他の一般的なフィルムタイプと比較して、損失が比較的大きく、温度と周波数によるパラメータの変動が大きい。 | ACラインフィルタリングアプリケーション、コストが重視される100kHz未満の信号アプリケーション | RFアプリケーション、低電圧電源フィルタリング |
ポリエチレンナフタレート | 1nF~1uF | 16~630V | 1E-7~3E-4 | ポリエステル/PETと似ているが、温度特性を改善し、リフローはんだプロセスに対応できるようにしている。 | ポリエステル/PETに比べ、コストが高く、誘電性能がやや劣る。 | ポリエステルに近い性能を要求される用途で、より高温に対応し、リフロープロセスが可能 | 低電圧電源フィルタリング | |
ポリプロピレン | 100pF~3mF | 50V~3 kV | 6E-9~2 | 他のフィルムタイプに比べ、時間、温度、および周波数に対するパラメータの安定性が高く、損失が少ないが吸湿しやすい。 比較的安価で、ある種の構造では自己修復性が良好である。 | 一般的なフィルムタイプの中で最も耐熱性が悪い。 | 比較的高いC値が要求される精密フィルタリング、誘導加熱やインバータドライブなどのハイパワー中周波(103〜106Hz)アプリケーション | 高温アプリケーション、RFアプリケーション、および低電圧用フィルタリング | |
硫化ポリフェニレン | 100pF~0.39uF | 10~250V | 2E-9~4E-5 | ポリプロピレンタイプと似ているが、温度特性を改善し、リフローはんだプロセスへの対応を可能にしている。 | ポリプロピレンタイプに比べ、コストが高く、誘電性能がやや劣る。 | ポリプロピレンタイプに近い性能を要求されるアプリケーションで、より高温対応で、リフロープロセスが可能 | 低電圧電源フィルタリング | |
他のタイプ | 470pF~22uF | 16V~1.5kV | 誘電体の種類によって性能が異なり、他のフィルムコンデンサに比べて一般的でない。 紙、ポリスチレン、ポリカーボネートなどがある。 | |||||
セラミック | クラス1誘電体(例:C0G) | 0.1pF~0.1uF | 16V~3 kV | 3E-12~4E-5 | 温度、電圧、周波数に対して安定したデバイスパラメータを実現している。優れた直線性で、タイミングや信号のアプリケーションによく使用される。 温度係数が制御されたデバイスは、温度補償アプリケーションに利用可能で、圧電/マイクロフォニック効果がほとんどなく、他の温度安定性デバイスタイプと比較して低コストである。 | 比較的小さな容量値しか入手できず、使用する材料が脆いため、機械的な破壊が起こりやすい。 | 精密フィルタリング、タイミング、信号アプリケーション、一部のRFアプリケーション | バルクフィルタリング、数100kHz以下の周波数帯のデカップリング |
クラス2誘電体(例:X5R、X7Rなど) | 10pF~100uF | 4V~5 kV | 4E-10~2E-3 | セラミックタイプの中では低ESRで、C/V比が良く、電源レールのデカップリングや低精度のフィルタリングによく使われる。 | 時間、電圧、温度によってパラメータが大きく変化する、機械的な故障(圧電/マイクロフォニック効果)を起こしやすい。 | IC電源レールデカップリング、10kHz台前半~数MHzのパワーフィルタリング、低精度信号フィルタリング。 | 低周波バルクフィルタリング、精密フィルタリング/タイミング/信号アプリケーション | |
クラス3誘電体(例:Z5U、Y5V) | 100pF~470uF | 6.3V~50 kV | 1E-8~1E-2 | セラミックタイプの中で最も高いC/V比を持ち、ACラインのフィルタリング用途によく使用される。 | 時間、電圧、温度に極端に依存するため、多くのアプリケーションで高C/V比の利点が損なわれる。 材料が脆いため、機械的な故障が発生しやすい。 圧電効果/マイクロフォニック効果が大きい。 | ACラインのEMIフィルタリングなど、低コストが要求されるが、パラメータの変動に対して許容性のあるアプリケーション | パラメータの安定性や直線性を必要とするアプリケーション | |
マイカ/PTFE | 1pF~15nF | 50V~30kV | 1E-10~5E-5 | 優れたパラメータ安定性、非常に低い損失、広い温度範囲 | 高コスト、低い容量値のみ | RFアプリケーション(フィルタリング、チューニング、放送用送信機)タイミング回路、精密テスト&計測 | バルクフィルタリング | |
シリコン | 0.2pF~3.3uF | 10~100V | 1E-11~4E-5 | 電気的特性が良く、超小型パッケージもあり、プリント基板への埋め込みに適している場合が多い。 | 部品コスト、組立コストが高い。 | スペースにきわめて制約のあるアプリケーションで、 RF周波数までのフィルタリング、デカップリング | コスト重視のアプリケーション | |
薄膜 | 50fF~0.1uF | 10~50V | 8E-13~5E-6 | 優れた電気的特性、非常に厳しいパラメータ公差が得られ、業界標準の表面実装パッケージで一般的に販売されている。 | 小さい容量値しかなく、小さい容量値では特にレイアウトに注意する必要がある。 | RFおよびマイクロ波のチューニング、フィルタリングアプリケーション | バルクフィルタリング | |
トリマ、可変コンデンサ | 1pF~.18nF | 25~500V | 3E-11~2E-8 | 静電容量値の機械的な調整を可能にする。 | 構造と誘電体の種類には多くのバリエーションがあって、性能に大きな違いがある。比較的小さな静電容量値に限定される。 機械的な入力と静電容量値の相関は設計によって異なり、環境要因による変化の影響を受けやすいタイプもある。 _____________ | チューニング、マッチング、およびキャリブレーション回路 | バルクフィルタリング、デカップリング __________ |
こんにちは、Rick。あなたが多大な労力を費やしたこの記事は本当に役に立ちそうです。残念ながら、ウェブサイトでの表示方法は、右側の複数の列が隠されているため、ほとんど使用できない状態です。ページ全体を下までスクロールさせ、横スクロールバーで右側の列を表示させる必要がありますが、そうすると、一番左の列、コンデンサの種類がわからなくなってしまいます。
rick_1976 Applications Engineer
こんにちは、
マウスのカーソルを表の上に合わせると、「表を展開」オプションが表示されるようになり、それをクリックすると、表が単独表記されるので、読みやすさが向上します。
Rickさん、ありがとうございます!今そうしたら、全幅が表示されています。役に立ちました!