スイッチングデバイスをオフする際、電流の流れる方向が変わる交流回路では、電流がゼロになった瞬間にアークが消滅します。技術的な工夫を加えなくても、比較的容易に遮断が可能です。
しかし、直流回路では、電流が流れる方向は一定であり、アークは継続的に発生するため、強制的にアークを遮断させなければなりません。そのため、直流回路向けの高容量パワーリレーでは、電圧や電流が大きくなればなるほど、アークを遮断することは難しくなります。
直流のアークを遮断する方法は、大きく3つがあります。
接点間隔を大きくしてアークを引き延ばし遮断する方法 磁石でアークを引き延ばして遮断する方法 封入されたガスでアークを冷却し遮断する方法
電圧・電流が大きくなるほど、アーク(放電)エネルギーが大きくなり、遮断が難しくなります。
そのため、電圧・電流の大きさに応じてアーク遮断方法を組み合わせて対応します。
アークを遮断する最もシンプルな方法として、接点間隔(コンタクトギャップ)で遮断する方法があります。この方法は、一般的にリレーサイズが大きくなるので、他の遮断技術と組み合わせて適用されますが、負荷の条件によっては、コンタクトギャップのみでアークを遮断する領域が生まれます。
オムロンのPCBパワーリレーで主に活用されているのは、磁石でアークを引き延ばして遮断する方法です。アークを引き延ばす手段としては、フレミングの左手の法則が応用されています。磁石の位置や種類でアークを引っ張る距離や角度を調節して、限られたスペースの中で最大限にアークの距離を稼げるように設計に展開しています。
接点間に発生するアークが力の方向に引っ張られることでアークが湾曲し、遮断に必要な距離を稼ぐことができる。
アークを引き延ばせる長さはローレンツ力に依存し、ローレンツ力は電流値と磁場により決定されるため、電流が小さい場合、アークを引き延ばしにくくなります。
このため、電流が小さい場合においては、遮断に必要なアーク長に対してアークが十分に引き延ばせず、遮断できなくなるケースがあります。
オムロンのDCパワーリレーでは、主に封入されたガスでアークを冷却し遮断する方法が採用されています。ガス封止タイプのリレーでは、接点部分に加圧された熱伝導率の高いガスが封入されています。
通常、直流高電圧の遮断時に、接点間にアークが発生し、そのアークは、フレミングの左手の法則により、磁界の力で接点の両端に引き伸ばされます。このアークの流れを、空間内に封入されたガスが阻害し、熱伝導率の高いガスが、アークエネルギーを効率的に外部に放熱します。その結果、アーク延伸により、アーク電圧が急激に上昇し、ガスの効果により、アークが気密筐体内で素早く遮断されます。
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高容量パワーリレー使用時の不明点をわかりやすく解説
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高容量パワーリレー使用時の「わからない」に技術のプロがわかりやすく解説
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