APDahlen Applications Engineer
目視検査によって電子機器の年代を判断できることは、有用なスキルです。多くの場合、集積回路やトランジスタのような大きな内部部品は、直接デートコードを読み取ることができます。ところが皮肉なことに、年代を計算することよりも、何が品番で何が品番でないかを見分けることの方が重要です。
まず、図1に示すAMFのストップウォッチを調べてみましょう。ICM7205IPGと7638の2つの品番の候補があります。デートコードを理解していないと、両方を調べたくなりますが、これは間違いです。7638はデートコードで、ICM7205IPGが本当の品番です。
図1: デートコード7638のICM7205IPGを搭載したAMFのストップウォッチの回路基板
4桁のデートコードの読み取り
図1に示すICのICM7205IPGの7638コードは、4桁のデートコードの典型です。このコードはYYWWを表しており、最初の2桁が年、後半の2桁が週を示しています。このICは1976年の第38週(9月中旬)に製造されたと判断できます。
機器の年式の判断
7638のようなデートコードは1つのデータです。このストップウォッチが7638以降に製造されたことは断定できますが、正確な時期はわかりません。サプライチェーンがしっかりしていると仮定すれば、ストップウォッチは1年以内に製造されたと推測できます。したがって、このストップウォッチは約47年前のものとなります。
デートコードは現在も使用
4桁のデートコードは、ソリッドステートだけでなく真空管機器にもよく見られます。正確な開始日はわかりませんが、1930年代後半までさかのぼるコンポーネントのデートコードを見たことがあります。
一般的な見解として、この慣習はかつてほど目立ちはしないようです。しかし、図2に示すように、まだ使用されています。このMicrochip(Atmel)のマイクロコントローラAVR32DD28のデートコードは2333で、2023年の第33週に製造されたことを示しています。
図2: デートコードが2333の新しいMicrochip(Atmel)のAVR32DD28の画像
図3は、別の例で、Sinclair(Timex)のパーソナルコンピュータZX81のプリント基板です。以下のように多くのデートコードが見られます。
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8309:大きな銀色のTVモジュレータ
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8239:ロジックアレイULA 2C21
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8342:マイクロコントローラuPD780 (z80互換品)
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8304:プリント基板の左上に表示
この数字からすると、このコンピュータは1983年のクリスマスプレゼントだった可能性があります。
データコードの使用には注意が必要
図3の右下隅にあるTO-220レギュレータに刻印された7805のコードにお気づきでしょうか。これは品番がデートコードのように見える例外の1つです。この例では、NECのレギュレータ7805はDC9V電源を入力とし、コンピュータの残りの部分にDC5Vを供給します。450Hのマーキングには、デートコードが含まれている可能性があります。残念ながら、オリジナルのドキュメントを見つけることができませんでした。
この注意書きで取り上げていない例外が他にも確実にあります。従って、品番を誤読しないように常に注意を払う必要があります。
図3: さまざまなデートコードが記載されたSinclair(Timex)のXZ81マイクロコンピュータのプリント基板の写真
おわりに
デートコードは、電子部品の年代を判断する便利な方法です。さらに重要なことは、デートコードの知識があると、調査対象からデートコードをすばやく除外できるため、交換部品の特定に役立つということです。
ご健闘をお祈りします。
APDahlen
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著者について
Aaron Dahlen氏、LCDR USCG(退役)は、DigiKeyでアプリケーションエンジニアを務めています。彼は、技術者およびエンジニアとしての27年間の軍役を通じて構築されたユニークなエレクトロニクスおよびオートメーションのベースを持っており、これは12年間教壇に立ったことによってさらに強化されました(経験と知識の融合)。ミネソタ州立大学Mankato校でMSEEの学位を取得したDahlen氏は、ABET認定EEプログラムで教鞭をとり、EETプログラムのプログラムコーディネーターを務め、軍の電子技術者にコンポーネントレベルの修理を教えてきました。彼はミネソタ州北部の自宅に戻り、このような記事のリサーチや執筆を楽しんでいます。