多くの電子設計では、一つのシステムのさまざまな部分に複数の電圧が必要です。 たとえば、低電圧の電子機器によって制御される高電圧モーターを使用する場合があります。 このようなシステムでは、システム全体に必要な最大電圧を供給し、その電圧を制御電子機器用の低電圧に降圧するのが最も便利です。
このようなシステムを設計する多くの人々にとって頼りになるデバイスは、リニア電圧レギュレータです。 リニアレギュレータは概念的にシンプルなデバイスであり、通常は問題なく機能します。 しかし、現実はいつもうまくいくとは限りません。 概念上理にかなっていること、およびプロトタイプの作業台で機能するものが、必ずしも実際の世界では機能するとは限りません。
Digi-Keyでよく受ける苦情は、リニアレギュレータを購入た人々からのもので、「不良のレギュレータを受領した」と電話で訴えてきます。 症状は、部品がシャットダウンする(出力電圧なし)か、場合によっては実際に過熱して破壊することです。
南阿弥陀、、、。
リニアレギュレータで人々が抱える問題のほとんどは、それらがどのように機能するかを理解していないことが原因です。 彼らは、レギュレータであまりにも多くの電力を落とそうとするため、放散できる以上の熱が発生します。 適切なサイズのヒートシンクを使用しても、出力電流が規定範囲の上限に近づき、入力電圧と出力電圧の差が大きすぎると、デバイスが過熱する場合があります。
たとえば、5Vと1Aの出力電圧と電流が必要で、24Vの供給電圧がある場合、MC7805BTG のような実績のある78xxファミリーのレギュレータで十分だと考えられます。 結局のところ、その仕様によると、最大35Vの入力電圧を処理する定格であり、最大1Aの定常状態で、安定化された5Vを出力できます。
問題は、最大内部チップ温度(多くの場合、「最大動作接合温度」と呼ばれる)を超えない場合にだけ、デバイスがこれらの個々の仕様を満たすことができるということです。 レギュレータの本体に尋常では考えられないレベルの冷却が適用されない限り(冷凍や液体冷却を考えてください)、一般に部品のすべての最大仕様に同時に到達することはできません。 機能する設計をするためには、次のいずれかが必要です。
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負荷電流の削減
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入力電圧と出力電圧の差を縮小
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ヒートシンクの増加
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上記対策の組み合わせ
通常、負荷電流と電圧の要件は固定されているため、これらについてあまり多くのことはできません。 時には入力電圧を下げることも可能な場合があり、下げることができる場合、内部消費電力に最大の影響を及ぼします。 最後に、パッケージから熱をより効果的に除去するために、より大きなヒートシンクを追加するか、ファンで強制送風することができます。
特定のアプリケーションに必要なヒートシンクの大きさを計算するには、部品の最大内部チップ温度、最終製品が動作しているときの回路基板周辺の最大予想温度(「最大周囲温度」と呼ばれる )、および内部チップと周囲空気との間のインターフェースの熱抵抗を考慮に入れる必要があります。
熱抵抗は°C / Wで規定され、デバイスパッケージと適用されたヒートシンクの両方に熱抵抗特性があります。 たとえば、MC7805BTGの一般的なTO-220ケースの熱抵抗は約5°C / Wで、最大接合温度は150°Cです。 典型的なTO-220のヒートシンクの熱抵抗は約15℃/ Wです。 この組み合わせにより、内部チップと周囲空気との間の熱抵抗は、合計20°C / Wになります。
MC7805のデータシートから:
訳注:
Maximum Rating = 最大定格, Input Voltage = 入力電圧, Power Dissipation = 消費電力, Thermal Resistance = 熱抵抗, Storage Junction Temperature Range = 保存温度レンジ, Thermal Resistance = 熱抵抗, Operating Junction Temperature = ジャンクション温度
最大定格の表にリストされているものを超えるストレスは、デバイスを損傷する可能性があります。 これらの制限のいずれかを超えた場合、デバイスが機能することを想定すべきではなく、損傷が発生し、信頼性が影響を受ける可能性があります。
前述の例を用いると、システムの入力電力と出力電力の差を見つけることで、リニアレギュレータによって消費される電力の概算レベルを計算できます。 リニア電圧レギュレータでは、入力電流は出力電流とほぼ同じであることに注意してください(入力電流は実際にはわずかに大きくなりますが、この検討にはそれほど重要ではありません)。
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入力電力: P(in) = V(in) x I(in) = 24V x 1A = 24W
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出力電力: P(out) = V(out) x I(out) = 5V x 1A = 5W
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レギュレータの電力損失: P(reg) = P(in) - P(out) = 24W - 5W = 19W
それでは、上記の条件を与えられた場合、チップの温度はどのくらい上昇しますか?
- チップの接合温度 = (ケースの熱抵抗 + ヒートシンクの熱抵抗) x内部消費電力 = (5°C/W + 15°C/W) x 19W = 380°C 周囲温度より上昇!
熱抵抗が5°C / Wの非常に効率的なヒートシンクを使用しても、それはとても熱くなります。 チップの接合温度は周囲温度よりも190°C高くなります。 周囲空気温度が25°Cの場合、チップ温度は215°Cになり、レギュレータの最大定格150°Cを大きく上回ります。
ここでのポイントは、リニア電圧レギュレータは魔法のコンポーネントではないということです。 システムの電圧と電流の要件だけでなく、レギュレータの電力処理要件も考慮する必要があります。 レギュレータの消費電力要件が増加するにつれて、ヒートシンクを改善するか、入出力間の電圧差を低くして、予想されるすべての負荷および周囲温度条件下でチップ接合温度が規定された最大温度を超えないようにする必要があります。
上記で説明したように、リニアレギュレータではシステムの要件を満足できない場合があり、代替案を検討する必要があります。 取るべき最も有用な代替手段の1つは、典型的なTO-220スタイルのリニア電圧レギュレータと同じ設置面積に収まるように設計された特別なフォームファクターのスイッチングDC-DCコンバータです。 Digi-Keyはこれらを「リニアレギュレータ代替」DC-DCコンバータと呼んでいます。
これらのデバイスは、一般的な78xxタイプのリニアレギュレータと同じ設置面積に収まり、通常はヒートシンクをまったく必要としません。 リニアレギュレータよりもはるかに効率が良い(通常80%以上)ため、発熱量がはるかに少ないだけでなく、バッテリ駆動のアプリケーションではバッテリ寿命を大幅に延ばすことができます。