周波数フィルタの説明

先日、 無線周波数用語 についての投稿をしたのですが、特定の項目について例示することにしました。「帯域幅」です。複雑なオシロスコープの設定をし、波形を見てその効果を確認しないと意味がないので、このトピックをオンラインで勉強した場合、特に混乱する可能性があります。この記事では、基本的な周波数フィルタがどのように動作するかを説明し、複雑な数学を使わずに、そのフィルタをより複雑な設計に拡張することを目的としています。

ここでは、任意のオーディオ入力を受け取り、ユーザーがスイッチを介して出力で聞きたいオーディオ周波数範囲を選択する回路の製作について Maker.io へ投稿しましたのでご紹介します。これは、最後に述べますバターワースフィルタを使用しています: Audio Frequency Separator。 実際の例があると、それについて読むよりも理解しやすいので、これをリンクしました。

一次フィルタ:ローパス、ハイパス、およびバンドパス

トランスポンダ/トランシーバによって生成される周波数は、特定のアプリケーションで役に立たない場合や、不要なノイズとなる場合があります。 これが、多くのデバイスがさまざまなフィルタを介して特定の周波数を除去する理由です。 一次という用語は、数学的には、使用される変数の指数が1つしかないことを意味します。

エレクトロニクスの製作においては、それは単に抵抗 - コンデンサネットワークまたは抵抗 - インダクタネットワークを使用する非アクティブなフィルタを意味します。 「非アクティブ」という用語は、システムに余分な電力が追加されていないことを意味します。したがって、 電圧は、熱やその他の形のエネルギーなどの物理的損失 によってのみ低下します。 これらのフィルタは通常、フィルタの全体的な効果を向上させるために、より高次の(アクティブな)フィルタと組み合わせて使用されます。

抵抗 - コンデンサ構成のローパスおよびハイパスフィルタ

通常フィルタリングにRLネットワークを使用しないので、RCネットワークのみを説明する予定ですが、フルデザインは通常、アプリケーションが必要とするものに応じてさまざまな組み合わせがあります。以下はRCローパスフィルタがどのようなものかを示しています:

RCLP

抵抗器は低い周波数を一定の損失で通過させることができますが、コンデンサは低い周波数に影響を与えるのに十分な充電時間を持つことができない場合があります。R と C の値がいくらであるかは重要ですが、ほとんどの場合、より大きい電圧が必要かどうか、より多くの電流が必要かどうかに応じて R が適切に選択されます。Rはまた、Cが一般的な静電容量値に近づくように選択されます。そして、Cの値は、「カットオフ」を開始したい周波数を指定して計算されます。計算に使用される式はつぎの通りです。

image


したがって、1500Hzのカットオフが必要で、100オームの抵抗を使用したいとすると、つぎの静電容量が使用されます:

image


LTSpiceを使用して、[実行]をクリックし、[ACスイープ]を選択して周波数応答をシミュレートしました。 1000個のデータポイントを使用し、1Hzから5000Hz(5kHz)までスイープし、Linearスイープを使用して次のグラフを取得しました。

bodePlotRep

見やすくするために、X軸を対数目盛に変更しました。 青線で表示されるAC電圧は14dBVと読むことができます。緑線は、フィルタがどのように反応するかを示しています。また、-3dBロールオフポイントと呼ばれる1500Hz付近に垂直線を表示しています。 つまり、ここが周波数が増加するにつれて電圧が大きく低下し始めるカットオフ点です。

ハイパスフィルタはつぎのようになります:

RCHPVals

計算式は上記ローパスフィルタの場合と同じですが、コンデンサと抵抗の位置が変わります。コンデンサの動作は、通常、低周波を "遮断 "し、高周波数を "通過 "するように記述されています。電気的には、実際には交互に充放電をしていますが、簡単に可視化するために、通常はしばしば初心者のために他の方法で記述されています。これは1500Hzより低い周波数をブロックし、それ以上の周波数を通過させます。
hpBodeView

ここでも、1000データポイントのACスイープを1kHzで開始し、10kHzで終了しました。 1500Hz未満で振幅が大幅に低下し、ゆっくりと14dB近くまで戻ります(これには多少の損失があります)。 これら2つのフィルタを組み合わせると、バンドパスフィルタが得られます。 常にそうであるとは限りませんが、通常ハイパスフィルタが最初に来て、そのあとにローパスフィルタを接続します。 1500Hzから5000Hzの信号が必要だとしましょう。 カットオフコンデンサはハイパスフィルタでも同じままですが、ローパスフィルタには0.32uFのコンデンサが必要です。 これが回路です:
BandPassCirc

これが周波数応答です。
BnadpassBode

これは最初の14dBポイントの近くには行かないことに注意してください。アクティブな回路ではないため、多くの損失が発生しています。 フィルタの両端に正しくカットオフポイントをマークしました。これにより、実際には出力で約9.1〜9.9dBVまたは2.8〜3.1Vしか出力されません。

高次フィルタ

外部電源がこの構成に追加されるため、2次以上のフィルタはより効果的で効率的です。増幅の可能性があるだけでなく、アクティブフィルタは、カットオフポイントまで信号が一定の電圧スレッショルドを超えるように信号の振幅を維持します。また、-3dB のロールオフポイントの後、信号をより大きく減衰させる能力もあります。ここでは、私が何を言いたいのかを示すための図を示します:

low_passorders

色のついた線は、同じ位置に重ならないようにすべて5dBから始まっています。エレクトロニクスの世界では、黄色の線で示されているような完璧なフィルタリングを実現することは不可能です。しかし、高次のフィルタでカットオフ周波数以上の減衰を急峻にすることで、これにほぼ近づけることは可能です。このようなグラフは、通常、カットオフがどれだけ急峻であるかを表すために、「1ディケードあたりのデシベル(dB/decade)低下」を表しています。それが実際に意味するのは、-3dBのカットオフポイント以降の線の傾きです。通常、より高い傾きを達成することが良いフィルタの目標です。これは計算が難しいということかと言えば、回路解析をしたいのであれば答えはイエスです。しかし、単に回路を作りたいのであれば、周波数の計算は実際には従来のフィルタと変わりません。三次ローパスフィルタは次のようになります。これは、非反転バターワースフィルタ設計と呼ばれます:
ThirdOrderLP

わかりやすいように回路の「セクション」にラベルを付けました。各ローパスRCネットワークでは、値は従来のフィルタと同じ計算を使用しています。

image


これは、すべてのコンデンサが同じ値を持ち、対応する抵抗も同じ値を持つことを意味します(ゲイン設定用の抵抗は別です)。研究によると、ゲイン設定用のRaとRbは通常2倍のゲインを得るために同じになります。 また、異なるローパスネットワークで使用される他の抵抗は、一次フィルタと同じ方法で選択され、その後、コンデンサの値は所望のカットオフ周波数を与えられて計算されます。結果を示すために、カットオフ周波数を10kHzに設定してシミュレーションを行ってみました。電圧を同じレベルに保つため、私は通常10kΩの抵抗を選択しています。これらの値に基づいて、コンデンサは1.59nFにする必要があります。RaとRbは値として1kΩを選びました。スタートが1kHzでストップが50kHzの範囲で、Decadeごとに5000ポイントのDecadeスイープに設定して、再びACスイープを実行しました。値を入れた回路がこちらです:

valuesEntered

画面外では、V +とV-で示される-5VDCおよび5VDCソースを使用します。
これは、ACスイープを実行した後の通常の非アクティブフィルタと三次フィルタを比較したグラフです:
lpComp

青い線はアクティブフィルタで、緑の線は同じカットオフ周波数に設定された非アクティブフィルタです。 青い線は、10kHzのカットオフポイントに近づいても振幅が高く一定に保たれることに注意してください(これは良いことです)。 次に、10kHzポイント以降のスロープの大きな違いに注意してください。青い線のフィルタのパフォーマンスのほうが、はるかに優れています。 ハイパスフィルタの構成は、10kΩの抵抗とコンデンサが入れ替わっている以外は全く同じです。
hpActive

バンドパスフィルタを作成するには、片方のフィルタの出力信号をもう片方のフィルタに供給して、両方のフィルタを組み合わせるだけです。唯一の推奨される変更点は、ステージ間と出力と負荷の間にユニティゲインバッファ(ゲインが1のアンプ)と呼ばれるものを追加することです。これは、最初のオペアンプの出力と 2 番目のオペアンプの入力の間の「インピーダンスブリッジ」の役割を果たします。ユニティゲインバッファは、入力から出力への電流の通過能力をより効率的に高めます。数学的な理由は、1次フィルタが次のステージのインピーダンスを変えるからです。ここに10kHzの低周波カットオフと50kHzの高周波カットオフのバンドパスフィルタの最終的な回路を示します。
bandpassActive

最後に、スタートが8kHzでストップが80kHzの範囲で、Decadeごとに5000データポイントのDecadeスイープを設定してACスイープを実行したシミュレーション結果をつぎに示します。 青い線は、フィルタリングされていないベース信号です。 赤い線は非アクティブフィルタの応答です。 緑の線はアクティブフィルタの応答です。
bandpassActiveGraph

ローパスフィルタ部のオペアンプが実際に信号をはるかに高い電圧レベルに増幅するため、最後段に分圧器を追加しました(2つのフィルタがゲインを合成します)。 ご覧のとおり、ハイパスフィルタとローパスフィルタの間、およびローパスフィルタと分圧器の出力をブリッジするための2つのユニティゲインバッファがあります。

グラフは、非アクティブフィルタと比較して、アクティブフィルタのパフォーマンスの優位性を示しています。 フィルタにとって、安定性と帯域外の減衰能力は重要です。 利用できるフィルタはこれらだけではありませんが(さらに優れた性能を持つはるかに高度なフィルタがあります)、技術的にはすべて同じように機能します。 結果は、私が示したグラフと非常によく似ています。 また、極超短波では、共振周波数によって理想的なコンポーネントの動作が実際に異なってくるため、事態はさらに複雑になります。




オリジナル・ソース(英語)