APDahlen Applications Engineer
テクノロジは時代とともに変化します。シングルパッケージのBJTは20世紀テクノロジの頂点でした。信号増幅、高周波無線、デジタルロジック、電源など、幅広いアプリケーションに対応する専用トランジスタが数多くありました。テクノロジと製造工程の進歩に伴い、これらのアプリケーションの多くは、高度に進歩したMOSFET、IGBT、および高度に特化された集積回路へと移行しました。しかしBJTは、汎用の作業やオーディオ増幅などのニッチな用途において依然として重要です。
ただ残念なことに、BJTの代替品を見つけるのが難しいことがあります。例えば、古典的なMarantzの2270受信機の修理を考えているとします。この受信機は、出力トランジスタにMotorolaの相補型ペアのSJ2517(NPN)とSJ2518(PNP)を使用していました。受信機が製造されてから50年が経過し、これらのトランジスタは現在ではもう入手できません。したがって、DigiKeyのパラメトリック検索エンジンなどのツールを使用して適切な代替品を見つける必要があります。この例ではMJ21194G(NPN)とMJ21193G(PNP)のペアが適切な代替品として考えられます。
バイポーラトランジスタについて知っておくべき事実
考慮すべきBJTの重要なポイントがいくつかあります。
最終機器でトランジスタをテストするまで、交換は完了しない
DigiKeyのお客様から最も多く寄せられる質問の1つが、適切な交換用トランジスタの選択です。候補となるものと元の仕様とを慎重に比較するには時間がかかるので、これは些細な質問ではありません。ランク順に、次の項目を検証しなければなりません。
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パッケージ
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ピン配列
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設計最大パラメータ(VCE、IC、PD)
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ゲインや飽和電圧などのパラメータの詳細
最終製品が、古く、そしておそらく性能の劣るトランジスタの特定の特性に依存している可能性があるため、プロセスはさらに複雑になります。したがって、完成品でテストを行わなければ、代替品の特定は完了しません。最終的には、ユーザーが機器に適切なトランジスタを選択する責任があります。
相補型トランジスタペアの使用
多くのトランジスタは、NPNとPNPのデバイスで、特性が一致する相補型ペアの形で設計されています。典型的な例としては、前述したMJ21194G(NPN)とMJ21193G(PNP)などのアンプのオーディオ出力部が挙げられます。しかし、相補型デバイスとしては、KSC1845FTA(NPN)とKSA992FBTA(PNP)などの小信号用デバイスもあります。
パワートランジスタにはヒートシンクが極めて重要な部品
ヒートシンクの概念を探く検討せずに、トランジスタについて語ることはできません。私は初めて2N3055トランジスタを使用して、55Wの自動車用ヘッドライトの明るさを調整しようとした実験を覚えています。トランジスタは電流を十分に処理できる能力がありましたが、非常に熱くなりました。そのため大きなアルミニウムの板で状況を改善しました。今日、私はスイッチング電源をお勧めします。私たちは皆、ある時点でこういった検討を始める必要があるのです。
ダーリントントランジスタの使用
学生がトランジスタと初めて出会うのは、通常、マイクロコントローラとの関連においてです。ここでは、トランジスタはマイクロコントローラとリレーやモータなど負荷との間のバッファとして使用されています。この「単純な」用途には、ほとんどの人が認識していない点があります。トランジスタは、コレクタ電流の約1/10のベース電流で完全にオンにする必要がある(強制ベータ条件)という点です。同時に、マイクロコントローラのI/Oピンに過負荷がかからないよう注意する必要があります。ダーリントントランジスタは高ゲインのデバイスであり駆動が容易なため、この状況を改善することができます。マイクロコントローラがコレクタ電流の1/10のベース電流を供給するのに対して、ダーリントントランジスタでは1/100で済みます。
トランジスタ回路設計のヒント
トランジスタのオーディオアンプは依然として人気があり、満足感が得られる趣味にもなります。さらに詳しく知りたい方は、Douglas Selfの著書「Audio Power Amplifier Design Handbook」や「Small Signal Audio Design」をご覧ください。私は資料を読むたびに何か新しいことを学んでいます。Elliott Sound ProductsとPassDiyのホームページは必ずご一読ください。またコメント欄に他のリソースがありましたらご紹介ください。
今後も、このフォーラムで語り合えることを楽しみにしています。
ご健闘をお祈りします。
APDahlen
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著者について
Aaron Dahlen氏、LCDR USCG(退役)は、DigiKeyでアプリケーションエンジニアを務めています。彼は、技術者およびエンジニアとしての27年間の軍役を通じて構築されたユニークなエレクトロニクスおよびオートメーションのベースを持っており、これは12年間教壇に立ったことによってさらに強化されました(経験と知識の融合)。ミネソタ州立大学Mankato校でMSEEの学位を取得したDahlen氏は、ABET認定EEプログラムで教鞭をとり、EETプログラムのプログラムコーディネーターを務め、軍の電子技術者にコンポーネントレベルの修理を教えてきました。彼はミネソタ州北部の自宅に戻り、このような記事のリサーチや執筆を楽しんでいます。