FETがオフにならないのはなぜですか?

もし、NチャンネルFETがオフにならない、あるいはオフになるまでに時間がかかりすぎるという、「FETがオンにならないのはなぜですか?」の真逆の問題に遭遇している場合、FETのゲートにグランドへの十分低い抵抗経路が確保されていない可能性があります。

例として、ボタン(S1)を押すとDC5VのモータがONになるように、ローサイドのNチャンネルFETを使った簡単な回路を考えてみましょう。

low-side-NFET_no_pull-down

ボタンを押すとモータは動きますが、問題は、ボタンを押すのをやめてもモータが止まらない(あるいは、非常にゆっくりと止まっていく)可能性が高いことです。では、なぜなのでしょうか?

まず、ゲート端子とソース端子の間に目に見えない(FET内部では物理的に避けられない)コンデンサが接続されていることをイメージしておくとよいでしょう。簡単に言えば、FETのオン/オフを切り替えるのは、このコンデンサに電荷を充填/除去することだと考えればいいのです。さて、ボタンを押してスイッチ(S1)を閉じると、このコンデンサに一気に電流が流れてFETがオンになりますが、ボタンを押すのをやめてスイッチ(S1)を開くと、このコンデンサの電流はどこに行くのでしょう?ここには非常に大きな抵抗値の寄生抵抗が存在しており、このコンデンサをゆっくり放電させるのですが、その大きさによっては、人間が観測しても長く感じる時間(電子の時間では永遠のような時間)を要する可能性があります。では、どうすればいいのでしょうか?プルダウン抵抗を追加して、目に見えないコンデンサの放電を早めればいいのです。

low-side-NFET

もう一つの重要な考慮点は、マイクロコントローラのGPIOピンなど、他のドライブ回路からFETゲートを駆動する場合です。 ドライブ回路によっては、上記のボタンスイッチのように、見えないコンデンサがあるFETに電流を供給(充電)することはできても、電流を引き込む(放電)ことができない場合があります。かりに両方ともできるとしても、別の電源でモータが動作している場合は、電源のパワーレールを突然オフまたは切り離したりすると電流を引き込む能力がなくなり、同じ問題に直面する可能性があります。一般に、FETのゲートには、明確な理由がない限り、必ずプルダウン抵抗を入れるのが設計の基本です。




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