内蔵MOSFETを用いた電流制限

電流制限回路において、ホットスワップコントローラ、サージプロテクタ、電子回路保護、および理想的なダイオードなどのような保護段をよく目にすることがあります。これらの部品は、主に外付けのMOSFETをスイッチとして使い、電流の流れのオン/オフを切り替えますが、電流を制限することもでき、この場合、スイッチはリニアレギュレータのように動作します。しかし、このようなスイッチでは、MOSFETが常に安全動作領域(SOA)内で動作するようにしなければなりません。そうしないと、半導体、さらには回路にダメージを与えてしまいます。

しかし、適切なMOSFETを選択し、SOAから出ないように動作させることは、必ずしも容易ではありません。動作温度、電圧、電流、特に時間などすべての要因が影響します。安全な動作を確保するためには、それらがすべて適正でなければならないのです。下記の図1は、一般的なNチャンネルMOSFETのSOA図です。MOSFETの動作は図示のライン以下で動作可能です。

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図1.MOSFETの一般的なSOA

一例として、2つのMOSFETを搭載し、150mA~1A間の値に電流を制限することができるAnalog DevicesMAX17523を取り上げます。それは、電流が制限値に達すると、電流を遮断して一定の待ち時間をおいて再開するか、次のスイッチオンまで継続して電流を遮断するか、あるいは電圧の低下により電流を制限しています。そして、内蔵のMOSFETをオーミック領域で動作させます。これは、一種のリニアレギュレータ機能です。これらの調整可能な各制限モードでは、内蔵MOSFETは常にそのSOA内にあり、ダメージを受けることはありません。また、精緻な計算や評価も必要ありません。

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図2.電流リミッタICの簡略回路図

回路内の電流を制限することは、適切な高集積ICを使用すれば問題ありません。また、DC/DCコンバータに調整可能な電流リミッタがない場合、このような回路を組み合わせることも有効です。



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