補助接点を使用し、PLCによる回路ブレーカの状態を監視する


APDahlen Applications Engineer

記事の概要

この技術概要では、従来の回路ブレーカに補助接点ブロックを追加する方法を示します。次に、PLCを使用して回路ブレーカシステムを監視する方法について説明します。

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回路ブレーカの補助接点ブロックの紹介

回路ブレーカは、産業用制御盤で見られる重要な安全装置です。このデバイスは、負荷に電力を供給しているか、あるいは過電流トリップによる遮断や技術者によって意図的に停止している状態にある、バイナリデバイスです。

回路ブレーカの状態を把握する必要のあるアプリケーションがあります。例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)は、トリップ状態を識別し、適切な対応を取る必要があります。

簡単な例として、回路ブレーカがトリップしたポンプシステムを考えてみましょう。PLCは故障を特定し、時間を記録し、技術者に警告を発し、プライマリシステムが危険にさらされていることを認識し、そして適切なバックアップ措置を取ることができます。

大型の回路ブレーカは、多くの場合、オンボード補助接点を備えています。図1および図2に示す Phoenix Contactの 2907558 TMC81C01A のような小型の回路ブレーカには、側面に補助接点を取り付けるための機構が備わっています。

図1: Phoenix Contactの TMC 81C 回路ブレーカに結合された側面取り付け補助接点の画像

筆者の個人的な経験: 補助接点には、図1に示すようなテストスライド機構が装備されています。このスイッチを初めて見たとき、回路ブレーカをトリップさせるために使用されるものと思っていました。スライドスイッチは単極単投スイッチを独立して作動させるのに使用されるため、この推測は間違っていました。メンテナンスの観点からは、これによって技術者は回路ブレーカを作動させることなくPLC回路を確認できます。

図2: Phoenix Contactの UL489 回路ブレーカと関連する補助接点の取り付け前の画像

技術的なヒント: UL489 TMC 81C 回路ブレーカには、入出力電源ケーブルを囲むクリップ式のサイドピースが装備されています。これらは、電気アークの伝播距離を延長するため、電気安全に不可欠です。端子から端子までの距離が短い代わりに、発生しうるアークは、障害物を迂回する長い経路を辿らざるを得なくなります。一般に、距離が長いとアークが発生しにくくなります。

PLCによる回路ブレーカの監視

分岐回路遮断装置がトリップしたのにPLCが動作したままという状況に遭遇することがよくあります。これは、産業用制御装置には分岐回路用の複数の回路ブレーカが含まれていることが多いためです。PLC自体は、独立しながらも関連する制御回路から給電されます。例えば、208Y/120制御盤には複数の三相分岐がある場合があります。PLCは、同じ給電装置から供給される電源から駆動される場合もあれば、UPSを経由して駆動される場合もあります。どちらの場合でも、1つ以上の回路ブレーカがトリップしていても、PLCが動作している場合があります。

PLCは補助接点を介して回路ブレーカの状態を検出できます。それにより、以下のような適切な対応を取ることが可能です。

  • 現場にアラームを発生

  • 監視制御とデータ収集(SCADA:Supervisory Control and Data Acquisition)システムにアラーム信号を送信

  • イベントをログに記録

  • サービス技術者に警告メールを送信

  • 系統的なシステムシャットダウンを実行

  • 冗長系システムを起動

  • 化学的処理や熱処理の時間依存性復旧プロセスの調整

おわりに

制御システムの動作はアプリケーションに大きく依存します。しかし、補助接点による回路ブレーカの監視は、すべての設計者が備えておくべきツールです。

ご健闘をお祈りします。

APDahlen

著者による関連情報

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要約

  • 補助接点により回路ブレーカの状態を遠隔監視が可能です。
  • 実際のハードウェア TCM81C01A を例に挙げて説明しています。
  • 回路ブレーカとは独立して補助接点をテストするためのスライドスイッチを備えています。
  • プラントの安定性を向上させるためのPLC応答戦略の推奨事項を示しています。

著者について

Aaron Dahlen氏、LCDR USCG(退役)は、DigiKeyでアプリケーションエンジニアを務めています。彼は、技術者およびエンジニアとしての27年間の軍役を通じて構築されたユニークなエレクトロニクスおよびオートメーションのベースを持っており、これは12年間教壇に立ったことによってさらに強化されました(経験と知識の融合)。ミネソタ州立大学Mankato校でMSEEの学位を取得したDahlen氏は、ABET認定EEプログラムで教鞭をとり、EETプログラムのプログラムコーディネーターを務め、軍の電子技術者にコンポーネントレベルの修理を教えてきました。彼はミネソタ州北部の自宅に戻り、このような記事のリサーチや執筆を楽しんでいます。




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