仕様を超えて:適切なPLCを選択するためのソフト要件


APDahlen Applications Engineer

概要

この記事では、見落とされがちな重要なプログラマブルロジックコントローラ(PLC)を紹介します。ハード仕様に焦点を当てるのではなく、工場全体での一貫した使用方法、ソフトウェア、作業員のトレーニング、将来の改造、および陳腐化などのソフト仕様(人的要因)を考慮する必要があります。

PLCのライフサイクル全体を通して、誰がPLCの選定に関わりますか?

PLCと関連ハードウェア/ソフトウェアを扱う人は、以下のように多数います。

  • システムインテグレーターと機械設計者がPLCを選定します。
  • エンジニア、プログラマーまたは技術者がPLCのコーディングを行います。
  • 技術者とエンジニアがPLCベース機器を稼働させます。
  • 技術者がPLC ベース機器のメンテナンスを行います。
  • エンジニア、プログラマー、または技術者が機器とソフトウェアを修正します。
  • エンジニア、プログラマー、または技術者は、リモートインターフェースまたはインダストリ4.0データ共有機能を追加するかもしれません。
  • 遠い将来に、エンジニア、プログラマー、または技術者が、PLCを交換する可能性があります。

技術レベルによって関与の度合いが異なる

このプロセスに関わる人の数は、システムの複雑さによって異なります。時には一人の熟練者が工場内のすべての作業を行うこともあります。最も複雑なシステムでは、PLCベースのシステムを設計、実装、保守を行うために、契約チームが社内の担当者と協力することになります。離職や昇進を考慮すると、選択のプロセスはさらに複雑になります。PLCの10年という長いライフサイクルの間、チームが変わらないことはまずありません。

PLC 選定のためのソフト要件(人的要因)とは何でしょうか?

PLCとそれに関連するコンポーネントは、オートメーションプロセスの産業用制御に使用されます。システムのダウンタイムは常に存在する懸念事項であり、そのコストは、停止中の労働力、製品の廃棄、信用の失墜、および増産のための時間外労働など、1分あたり数百ドルから数千ドルに及びます。言い換えれば、関連するライフサイクルコストに比べれば、PLCの初期コストは取るに足らないものです。

最適なPLCを選択することは、PLCのハード要件に加え、社内で考慮すべき多くの事項を含む包括的なプロセスです。ここでは、以下のようにソフト要件をいくつか紹介します。

工場全体における一貫性

一部の工場では、工場現場で使用する単一のPLC、もしくは1つのPLCファミリを選択します。技術者が単一のPLCと関連ソフトウェアパッケージに集中できるため、これは有益です。また、PLCファミリは、プラグインや拡張モジュールなど多くのアクセサリを共有できるため、物流も簡素化されます。

設計者から技術者までのソフトウェアの一貫性

PLCの環境および選択をめぐる議論の中で、ソフトウェアは最も論争を呼ぶものの1つです。一方では、すべてのプログラムをラダーロジックで記述することを主張する純粋主義者がいます。もう一方には、最新のpython、C++、Node-RED、MATLABなどで記述し、Dockerを使用して変更を生産システムに押し込む人たちがいます。長いライフサイクルと高コストのシステムのダウンタイムを理解した上で、チームのスキルと知識レベルを考慮すれば、どちらも正しいと言えます。DigiKeyは、どちらの立場にも対応できるソリューションを用意しています。

将来への拡張性

将来への拡張性はPLC選定の重要な考慮事項です。PLCを拡張して、高度な制御モード、センサ/アクチュエータを追加したり、またはネットワークリモート制御とデータモニタリング機能を追加することは珍しくありません。このソフト要件は、PLCが計算能力とメモリの点でオーバスペックであることを意味します。また、ハードウェアとネットワーク機能を拡張するための十分なリソースも必要です。

高額な改造費用

当初のプログラマーが引退してから10年後、機器の改造が必要になった場合はどうなるのでしょうか?

PLCベースの機器の変更は高いコストをもたらします。プログラマーは PLCのソフトウェアと制御されるプロセス/機械を理解する必要があります。これには、スタートアップ、シャットダウン、エラー処理などのすべてのコーナーケースが含まれます。その結果、オペレーターは運用機器のPLCを変更することを躊躇します。数年ごとにワークステーションを変更することについては何とも思わないかもしれませんが、PLCは機械の数十年という長い寿命の間、変更されない可能性が高いのです。

技術者教育体系と長期的な存続のためのサポート

最終的なソフト要件は、メーカー、専門学校、工学系大学、教科書出版社、そしてより大きなコミュニティによるサポートが存在するという認知度です。これには、ハウツー動画の形でのソーシャルメディアへの投稿も含まれます。サポート体制が充実しているPLCは、人気が高くなる可能性があります。

まとめ

結論: PLCは、将来の陳腐化に対する備えとして、人気で選ばれる傾向があります。

  • これには、PLCとそれに関連する部品が次の10年まで利用できるという期待も含まれています。
  • また、PLCの修理を行う活況なPLC修理業界が存在するだろうとの期待も含まれます。

PLCの長寿命化の実例

PLCが古くなってきています。今あるPLCをあと何年使い続けられますか?

Rockwell Automation(現在、DigiKeyでは取り扱っていません)は、30年以上前にSLC500を発売し、約10年前に販売を終了しました。由緒ある1746-0V16(16個の半導体出力)のような中古品または修理済みのモジュールは、現在も使用されている多くの SLC500 PLC をサポートするため、さらに数十年間入手可能であると思われます。

:backhand_index_pointing_right: DigiKeyで最新のPLCをご覧ください。

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著者による関連情報

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著者について

Aaron Dahlen氏、LCDR USCG(退役)は、DigiKeyでアプリケーションエンジニアを務めています。彼は、技術者およびエンジニアとしての27年間の軍役を通じて構築されたユニークなエレクトロニクスおよびオートメーションのベースを持っており、これは12年間教壇に立ったことによってさらに強化されました(経験と知識の融合)。ミネソタ州立大学Mankato校でMSEEの学位を取得したDahlen氏は、ABET認定EEプログラムで教鞭をとり、EETプログラムのプログラムコーディネーターを務め、軍の電子技術者にコンポーネントレベルの修理を教えてきました。著者プロフィール

Dahlen氏は、ミネソタ州北部の故郷に戻り、コンデンサ探しから始まった数十年にわたる旅を終えました。こちらをお読みください。

(2025年8月1日改訂版の翻訳)



オリジナル・ソース(English)