コンフォーマルコーティングの不具合を特定して解決する方法

多くの電子部品および回路基板には、湿度、腐食、熱、真菌の増殖、ほこりなどに対する保護のため施されるコンフォーマルコーティングがあります。これらのコーティングは、回路の傷を防ぎコンポーネントの特性を維持するのにも役立ちます。 「コンフォーマル」とは、コーティングが基板の全体の見栄えとコンポーネントの形状に適合していることを意味します。

ただし、コンフォーマルコーティングには不具合がある可能性があり、これらが回路機能に影響を与えるほど致命的であるかどうかを認識することが重要です。言い換えれば、それは実際に不具合なのか、それともコーティングプロセスパラメータ(プロセスインジケータ)内にあるのかということです。サプライヤから多くの製品を受け取っている顧客は、継続的な生産または販売に関する決定を下すためにコーティングについてある程度理解する必要があり、特定の業界標準を満たす必要があることがあります。単一製品の顧客は、将来部品が故障するのを心配するというよりも、保証目的で不具合を認識したい場合があります。

ほとんどのコーティングの不具合は、事前の洗浄工程-洗浄の最終結果または完全な洗浄の欠如ーまたは塗布工程中の状態に起因します。誤ったコーティングの選択など、他の理由で発生するケースは少ないですが、実際には発生します。不具合およびプロセス指標の例には、ひび割れ、剥離、ボイドおよび気泡、トラップされた材料、接着力の欠如、および変色が含まれます。これらのいくつかについてここで説明します。

気泡

気泡は、あらゆるタイプのコーティング(例えば壁の塗装など)で非常に一般的です。これらがPCBの決定的に重要でない領域で発生すれば、ボードには機能上の問題がないかもしれません。ただし、これらは時間の経過とともにコンフォーマルコーティングの劣化につながるかもしれず、コーティングまたは洗浄工程に問題があることを示している可能性があります。これらの気泡が重要な領域にある場合、期待された保護にはならない可能性があります。

CoatingAirBubble.PNG

平らにならず、表面に付着しないコーティングは、単に空気をトラップする可能性があり、硬化表面を通って逃げようとするときに気泡が埋め込まれます。ブラシでコーティングを施すと、コーティング表面に気泡が発生することがあります。ただし、トラップされたガスの最も一般的な発生源は、コーティングが乾燥する前に気化して逃げなかった溶剤または汚染物質です。これらは、コーティングが施される前にボード上にある可能性がありますが、コーティングが硬化する前に消散しなかったコーティングコンパウンド内の溶剤であることがしばしばあります。気泡のトラップにつながる可能性のある他の要因は、コーティングの厚さと硬化の速度です。

デウェッティングとビーディング

濡れ(ウェッティング)とは、液体が表面に広がり浸透することを説明するために使用される用語であり、コンフォーマルコーティングの最も重要な特性です。デウェッティング、または一般的にビーディングは、表面に広がりにくい領域でコーティング材料がビーズのように玉になる状態です。

CoatingDewetting.PNG

デウェッティングの原因として一番考えられるのは、PCBやコンポーネントの表面の汚染です。これらの汚染物質には、プロセスオイル、フラックス残留物、指紋が含まれます。これらの多くは、組み立て中にすでにコンポーネントに付着しているか、あるいははんだ付け中に入ってきますが、コーティング前の洗浄工程の一環としてすべて除去すべきです。

デウェッティングのあまり知られていない発生理由の1つは、コーティングの特性に関連するコンポーネントまたはPCBの表面エネルギーです。これは大まかに「表面張力」と言い換えることができます。液体の表面エネルギーは通常、「ダイン」(力の単位)で表されます。基本的に、適切な濡れを可能にし、ビーディングを回避するために、ターゲット表面は、適用されたコーティングよりも高い表面エネルギーを持たなければなりません。電子機器以外の例は、車のワックスがけです。車両の表面エネルギーは、ワックスを塗ると変化するため、水が広がるのではなく、ビーズ状になります(デウェッティングとウェッティング)。このことを以下に図示します。

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しわ、波、オレンジピール

コンフォーマルコーティング内のざらざらした表面は通常、プロセスの不具合を示します。これらの表面パターンの理由には、適切に一様レベル化されない厚いコーティング、フラッシュ(散逸)が速すぎる溶剤、不適切なスプレー角度、不適切なコーティングのタイミングなどがあります。これらは単なる表面的な(致命的でない)不具合であることが判明する場合がありますが、不合格品とならない場合であっても、コーティングプロセスを修正しなければならないことを示唆しています。例を以下に示します。

CoatingOrangePeel.PNG

CoatingWavyIC.PNG

他の2つの一般的なコーティングの不具合は、層間剥離と「魚眼」です。層間剥離は、基材から分離(浮き上がり)し始めるコーティングの領域であり、部品が使用されてはじめて、目立つようになります。デウェッティングと同様に、層間剥離は表面の汚染によって引き起こされる可能性がありますが、不適切な乾燥時間やコーティングの厚さによっても引き起こされます。

魚眼は一般的な気泡に似ていますが、その領域はクレーター状になったり、それが壊れて魚眼に似た特定の形状になります。これらは多くの場合、一点での汚染物質によって引き起こされ、空圧式スプレーアプリケーション内のろ過が不十分な場合によく見られます。

CoatingDelamination.PNG

CoatingFishEye.PNG

これまでに述べたこれらの例は、コンフォーマルコーティングの最も一般的な異常のほんの一部であり、ここにリストした理由は、表面に触れているだけです。個々のコーティング製品に関して、またコンフォーマルコーティング応用に関する完全なガイドラインについては、メーカーからより多くのリソースを利用することができます。

コンフォーマルコーティング製品は、コーティング、グリース、修理カテゴリ[ コンフォーマルコーティング ]で見つけるか、Digi-keyホームページからキーワード「コンフォーマル」:[ ここをクリックhttps://www.digikey.com/ ]で関連カテゴリを検索して見つけることができます。



その他の参考資料:

Chemtronics: CH_PCB cleaning-coating booklet (3).pdf PCB Cleaning + Conformal Coating Guide
Chemtronics Chemtronics Coating Webinar_082020 (3).pdf Conformal Coating Defects: When Things Go Horribly Wrong
Chemtronics: (YouTube ビデオ) [ Chemtronics Conformal Coating Defects Webinar ]
HumiSeal: PCB Surface Energy(ブログ)[ HumiSeal Conformal Coating ]
Digi-key Forum Post [ Conformal Coating Processing Tips for Samtec Connectors ]





便宜上、下記にフルURLを掲載しております。

Coating, Grease, Repair ‘Conformal’ Keyword
https://www.digikey.com/short/z1z2b3

Chemtronics Conformal Coating Defects Webinar
https://www.youtube.com/watch?v=qm1aVeMJYhU&feature=youtu.be

HumiSeal PCB Surface Energy(ブログ)
https://blog.humiseal.com/what-is-pcb-surface-energy-and-how-does-it-affect-conformal-coating

Conformal Coating Processing Tips for Samtec Connectors
Conformal Coating Processing Tips for Samtec Connectors




オリジナル・ソース(英語)