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エンジニアとして、ヒューズの選択に直面した際、高速遮断型か低速遮断型のどちらを選ぶべきかという問題によく遭遇します。
以下、この問題に対する具体的な判断方法と実際の例をいくつか挙げます。
1. 判断の基準:
特性 | 高速遮断ヒューズ | 低速遮断ヒューズ |
---|---|---|
遮断速度 | 過電流時の高速遮断 (ミリ秒レベル) |
短時間の突入電流は通過させる (数十ミリ秒~数秒) |
該当するシナリオ | サージのない敏感な回路 (IC、LEDなど) |
サージまたは突入電流が流れる回路 (モータ、電源など) |
鍵となるパラメータ | 低いI²t値 (低い遮断エネルギー) |
高いI²t値 (高いサージエネルギー耐性) |
代表的な負荷特性 | 定常状態の電流は、瞬間的な スパイクがなく安定 |
始動時や切り替え時に電流が 大幅に上昇 |
遮断速度の比較例:低速遮断型ヒューズと高速遮断型ヒューズ
2. 選択の手順:
-
回路の負荷特性、突入電流があるかどうか?などを分析してください。
例えば、モータの起動、コンデンサの充電、電源の電源投入などのシナリオでは、定格電流の数倍の電流が瞬間的に流れます。 -
負荷は敏感ですか?
例えば、半導体デバイス(MOSFET、IC)は、損傷を防ぐために過電流から素早く遮断する必要があります。 -
遮断特性を一致させてください。
サージあり → 低速遮断型を選択:ヒューズが誤ってとぶ原因となるサージを回避します。
サージなし → オプションの高速遮断型:故障電流を素早く遮断し、高感度部品を保護し
ます。
- I²t値を確認してください。
ヒューズのI²t値(遮断エネルギー)は、突入電流のI²t値よりも大きい必要があります
(サージの間にヒューズがとばないようにするため)。
3. 具体的な例:
例1:LEDドライバ回路の選択
想定動作電流:1A(安定、サージなし)
LEDは敏感な部品であるため、過電流やショート回路に素早く対応する必要があります。
定格電流1.5A(動作電流の1.25~1.5倍)の高速遮断ヒューズ(C1Fなど)を選択してください。
LEDを保護するために、ミリ秒単位でヒューズが切れます。
例2:モータ制御回路
想定動作電流:2A(定常状態)
突入電流:モータ起動時15A(150ミリ秒継続)
突入電流は定常状態の電流よりもはるかに大きいため、ヒューズは短時間の過電流に耐える必要があります。
定格電流が3A(動作電流の1.5倍)の低速遮断型ヒューズ(C1Tなど)を選択してください。
モータが起動すると、15Aの電流が150ミリ秒の間流れますが、ヒューズは切れません。
故障により電流が3A以上流れ続けると、数秒以内にヒューズが切れます。
4. まとめ
高速遮断型:サージがなく、高速保護が必要な場合に使用します(電子基板やバッテリの保護など)。
低速遮断型:サージがあり、短時間の過電流を許容する必要がある場合に使用します(モータ、電源、インバータなど)。