空間距離、沿面距離、および電圧定格

人体やシステムを保護するための電気的な動作電圧に関する情報を見つけようとすると、混乱してしまうことがあります。一般に、機器の最小絶縁距離は機器の保護、特に機器の誤動作に対して最良の情報を提供します。空間距離と沿面距離の適切な寸法は、電圧定格の決定に役立ちます。

空間距離
空間距離は2つの導体素子間の空間最短距離として定義されます。

Clearlance

例としてHARTINGの品番09031966921を用いて、数字で確認してみましょう。

空間距離を特定するには、

  • 実装のカテゴリーを決める。

  • 想定される汚染度を決める。

  • 表1より定格のインパルス耐圧を選ぶ。

  • 表2より必要となる最小の空間距離を選ぶ。

沿面距離

沿面距離は2つの導体素子間の絶縁体表面に沿った最短距離として定義されます。

Creepage

沿面距離を特定するには、

  • 実装のカテゴリーを決める。

  • 想定される汚染度を決める。

  • 公称電圧と電源のタイプから、下表3より定格電圧を選ぶ。

沿面距離の寸法については、絶縁材料のトラッキング形成を考慮する必要があります。もし、とくにそれが示されていない場合、絶縁材料のCTI値は400未満で絶縁グループはⅢ a/b にします。

CTI(比較トラッキング指数)

この指数は絶縁材料の導電性を示すもので、特定の沿面距離に影響を及ぼします。沿面距離に及ぼすCTI値の影響は次の通りです。

  • 数値が高ければ高いほど、沿面距離は短くなります。
    CTIは可塑性材料を絶縁グループに分けるのに使用されます。
絶縁グループのCTI CTI
I 600≤CTI
II 400≤CTI<600
IIIa 175≤CTI≤400
IIIb 100≤CTI≤175

計算例
沿面距離、絶縁カテゴリー、汚染度が分かっているとき、何ボルトで使用できるか ;

表

定格電圧の決め方

  1. 実装のカテゴリーを決める。

  2. 想定される汚染度を決める。

  3. 表2より定格のインパルス耐圧kVを選ぶ。

  4. 表1より定格のシステム電圧から対地電圧を選ぶ。

  5. 表4より定格電圧を選ぶ。

  6. 電源の相数と、表3がアプリケーションに関係するかどうかを決める。

  7. 表3より電源システムの公称電圧を選ぶ。

  8. 上記ステップ4から7の中で低いほうの電圧を選ぶ。

表1

table1

表2

表2

表3
表4

例:HARTINGの品番09031966921のコネクタの定格電圧はいくらでしょうか?

品番09031966921の通常の使用環境での定格は、次の条件から、50Vになります。

  1. 沿面距離 1.2mm

  2. 実装カテゴリー Ⅱ

  3. 汚染度 2

  4. 絶縁グループ Ⅲ a/b

  5. CTI値 < 400

沿面距離と空間距離についてもっと知りたいときは、HARTINGのアプリケーションノートを参照してください。
電圧 - 沿面距離と空間距離(002)(英語).pdf (274.2 キロバイト)







オリジナル・ソース(英語)