APDahlen Applications Engineer
電源トランスは、常により大きなシステムの一部として組み込まれます。そのため、交流主電源(フィーダ)と負荷の両方の観点から仕様を検討する必要があります。また、電源トランスの二次側負荷は変動することが多いため、負荷変動時の動作についても考慮しなければなりません。その代表的な例が、オーディオアンプに使用される電源トランスです。静かな演奏部分(パッセージ)と重低音が響く部分(ベースライン)とでは、負荷に大きな差が生じます。どちらの負荷条件にも適した高効率の電源トランスを選定することは、容易ではありません。
電源トランスを整流およびコンデンサフィルタを備えた電源に組み込む場合、電源トランスの選定プロセスは著しく複雑になります。この一般的な用途では、電流波形が正弦波ではなくパルス状となるため、定常状態の交流仕様はあくまでも目安となります。
この記事は、DigiKey Field Guide for Industrial Automationの一部です。
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著者: Aaron Dahlen | MSEE | Senior Applications Engineer, DigiKey
最終更新日: 2026年3月9日
電源トランスについて知っておくべきこと
電源トランスについては、知っておくべきことがいくつかあります。
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整流:電源トランスは、直流電源の一部として使用されることがよくあります。この用途では、降圧用電源トランスの後段にハーフブリッジ整流回路またはフルブリッジ整流回路が接続されます。さらに、その後段には大容量のエネルギー蓄積用コンデンサが接続されます。これにより、交流電源ラインの変動を除去するローパスフィルタが構成されます。これは非線形システムです。電流波形は、交流波形のピークに対応した一連のスパイクで構成されます。そのため、パルス電流は後述する仕様で前提となっている正弦波条件とは直接対応せず、電源トランスの選定は大幅に難しくなります。この影響を軽減するには、必要電力から通常算出される値よりも一回り大きな電源トランスを選定してください。これにより、巻き線抵抗が低くなることで、電流スパイクに余裕をもって対応できるため、過熱を最小限に抑えることができます。
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デュアル一次巻線:多くの電源トランスには、デュアル一次巻線が備わっています。これは、異なる入力電圧で電源トランスを使用できるようにする便利な機能です。一般的な米国の降圧用電源トランスには、2つの120V ACの巻線が備わっています。電源トランスの定格出力を得るには、両方の巻線を使用する必要があります。120V ACのシステムで使用する場合、巻線は並列に接続されます。240V ACシステムに設置する場合は、直列に接続されます。いずれの場合も、適切な構成をとることで、巻線における過度のI²R損失を防ぐことができます。
技術的なヒント: 巻線を並列接続する際は、巻線の極性(回路図の位相のドットマーク)に注意してください。極性を逆に接続すると短絡状態となり、電源トランスが破損する原因になります。
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サイズと重量:電源トランスは、商用電源で動作するように設計されています。北米では60Hz系統が使用されていますが、世界の他の地域では50Hz系統が使用されています。400Hz仕様は航空機システム向けのものです。原則として、電源トランスのサイズと重量は周波数に反比例します。そのため、飛行においてサイズと重量が極めて重要な要素となることから、航空機用の発電機、電源トランス、および交流モータは400Hz向けに設計されています。これに関連して、ノートパソコンなどに使用される多くの最新の電源装置には高周波トランスが採用されています。100Wの高周波トランスは、同等出力の60Hzトランスと比較すると非常に小型です。
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過電圧:電気機械装置は、効率を徹底的に追求して設計されていることを認識してください。設計者は、けい素鋼や銅の使用量を最小限に抑えることで、装置をできるだけ小型かつ低コストにするためにあらゆる工夫を行います。その結果、電気機械装置は磁気飽和点(ニー点)近傍で動作することになります。誘導磁界は電流と巻数の積によって決まることを思い出してください。最適化された電源トランスの設計では、過電圧によって磁気コアが飽和します。したがって、各巻線に印加できる電圧は厳密に定められています。例えば、120V AC動作用に設計された10対1の降圧トランスは12V ACを出力します。これを逆に使用して120V ACを1200V ACへ昇圧することはできません。コアが飽和し、巻線の溶融や絶縁破壊を伴う致命的な故障を招くことになるからです。
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ボルトアンペア(VA)とワット(W): 電源トランスの電力は、ワット(W)ではなくボルトアンペア(VA)で表されます。この概念は、電子工学の中級レベルの入門課程をまだ修了していない方にとっては、やや理解しにくいかもしれません。まず、電源トランスが純抵抗負荷を駆動している場合、VAとWの値は同じであることを認識してください。容量性負荷や誘導性負荷が加わると、この関係は変化します。この場合、Wで表される有効電力は、VAで表される皮相電力よりも小さくなります。前述のとおり、電源トランスが整流回路を駆動するために使用される場合はさらに複雑になります。ここでも経験則として、定格電力から算出される値よりも大きな容量の電源トランスを選定してください。
このフォーラムで引き続き議論できることを楽しみにしています。
ご健闘をお祈りします。
Aaron Dahlen
Aaron Dahlen
元米国沿岸警備隊(USCG)少佐(LCDR)、電気工学修士号(MSEE)
DigiKeyのアプリケーションエンジニア
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著者について
Aaron Dahlen氏、LCDR USCG(退役)は、DigiKeyでアプリケーションエンジニアを務めています。彼は、技術者およびエンジニアとしての27年間の軍役を通じて構築されたユニークなエレクトロニクスおよびオートメーションのベースを持っており、これは12年間教壇に立ったことによってさらに強化されました(経験と知識の融合)。ミネソタ州立大学Mankato校でMSEEの学位を取得したDahlen氏は、ABET認定EEプログラムで教鞭をとり、EETプログラムのプログラムコーディネーターを務め、軍の電子技術者にコンポーネントレベルの修理を教えてきました。彼はミネソタ州北部の自宅に戻り、このような記事のリサーチや執筆を楽しんでいます。
