産業用制御および産業オートメーションを学ぶ学生のためのデジタル論理教育


APDahlen Applications Engineer

産業用制御および産業オートメーションを学ぶ学生にデジタル論理を教える

産業用オートメーションを学ぶ学生は、実際の機械を模した例題を用いると、デジタル論理の概念をより速く学習できます。そのための簡単な解決策は、PLC自体をロジックトレーナーとして使用し、グラフィカルなファンクションブロックプログラミングをシーケンシャルファンクションチャート(SFC)で補完することです。このようにすることで、授業内容を産業現場で使用されている言語や技法により即したものとなります。さらに重要なことは、おそらく、この手法によってステートマシン設計を学び始める際のハードルが下がることです。本質的には、これは授業時間の配分に関する問題です。カリキュラムの順序を変更することにより、ステートマシンの概念をより早い段階で導入でき、その後の理解を深めるための期間も長く確保できます。

重要なポイント

  • CrouzetのMillenium SlimなどのPLCは、ゲートレベルの論理表現とシーケンシャルファンクションチャート(SFC)の両方を使用してグラフィカルにプログラムされます。

  • Dフリップフロップの例は、PLC内で個々のゲートを組み合わせて複雑な回路を構成できることを示しています。導入時の学習内容は、74シリーズのロジックやFPGAにおけるゲートレベル設計で学ぶ内容と概念的に類似しています。

  • 2進数の暗証番号を備えた金庫の例は、ゲートレベルの論理とSFCを組み合わせることにより、複雑な順序回路を構成できることを示しています。

  • 同じ教育パターンは、Crouzet以外のPLCでも適用できます。簡単にするため、ここでは1つのツールチェーンだけを示します。


この記事は、DigiKey Field Guide for Industrial Automationの一部です。

分類: Teach It → Digital Logic
難易度: :gear: Engineer — 難易度レベルの説明
著者: Aaron Dahlen | MSEE | Senior Applications Engineer, DigiKey
最終更新日: 2026年6月16日


デジタル論理のカリキュラムをどのような順序で構成するか

ゲートレベルの論理は、技術者にとって欠かせない共通言語です。

組み合わせ論理

組み合わせ論理に関する従来の学習順序は変わりません。引き続き、以下の内容を扱います。

  • AND、NAND、OR、NOR、XOR、およびNOTゲート
  • 積和形
  • 2進数表記法

これに加えて、インターロックやパーミッシブ(許可条件)といった産業現場で用いられる用語を取り入れます。また、その考え方を産業システムに結び付けるため、センサやアクチュエータも取り上げます。例えば、「F = A AND B_Not」という味気ない表現よりも、「タンクが空のときは、ポンプはインターロックによって起動できない」と説明する方が適しています。ブール論理としては同じですが、学生はその論理がなぜ重要なのかを理解しやすくなります。

順序回路

ここで、ゲートの簡略化、カルノー図、クワインマクラスキー法、74シリーズのブレッドボード、および FPGAツールを重視する従来の教育方針から離れます。これらはすべて有益な学習内容ですが、カリキュラムをコンピュータアーキテクチャ寄りへと引き寄せてしまい、産業用制御を学ぶ学生にとっては最優先で学ぶべき内容ではありません。学生に必要なのは、ステートマシンの表現を実際に扱う学習時間をより多く確保することです。これは、CrouzetのSFC表現と、それを支えるグラフィカルなゲートレベルツールによって実現されます。

技術的なヒント: 個々の配線に名前を付けることは、状態を理解するために重要です。Crouzetでは、この記事で説明しているように、回路図のように信号を配線できるだけでなく、接続に名前をつけることもできます。選択した配線に状態名を付けることにより、ステートマシンが可視化され、状態の理解を助ける強力な手掛かりとなります。これにより、状態についての議論がより具体的になり、学習者はデバッグウィンドウ内の特定の配線を指しながら、「現在はアイドル状態です」と説明できるようになります。

例1:論理ゲートで構成したDフリップフロップ

個々のゲートから構成したDフリップフロップは、組み合わせ論理と順序回路をつなぐ橋渡しです。このデモは、CrouzetのPLCを論理ゲートのトレーナーとして活用できることを最もよく示す実例です。

  • 図1に、Dフリップフロップのマクロを使用して構成した5ステートのシフトレジスタを示します。オペレータは、物理的な押ボタンを使用してデータをクロック入力できます。PLCはデバッグ状態を表示しており、シフトレジスタには2進数の値10011が保持されています。

  • 図2に、個々のゲートを使用して構成したCrouzetベースのDフリップフロップを示します。これは、マスタースレーブ構成の2つのDラッチで構成されており、 CLKの立ち上がりエッジで入力Dが出力Qへ転送されます。

これらの画面は、Crouzetのゲートレベル論理を使用して複雑な組み合わせ回路を構成できることを示しています。また、マクロによるカプセル化にも対応しているため、学生は個々の論理ゲートではなく、より高い抽象レベルで回路を捉え、考えることができます。

図1: 5つのDフリップフロップマクロで構成したシフトレジスタと、PLCトレーナーの画像

図2: CrouzetのPLCによるDフリップフロップのゲートレベル表現

技術的なヒント: 74シリーズ、PLCのグラフィカル、およびFPGAベースのアプローチを二者択一の関係として捉えるのは誤りです。いずれも有効ですが、それぞれに固有の重点があります。74シリーズでは、ゲート数の最小化、回路レイアウト、および接点チャタリングなどの問題を排除することに重点が置かれます。FPGAでは抽象化が求められ、設計は自然にデータパスやレジスタ転送を中心としたものとなり、回路はマイクロコントローラに近い構成となっていきます。一方、PLCでは、これらの学習内容よりも、ステートマシンのステート制御を重視します。

例2:SFCを使用した2進数の金庫の暗証番号

図3は、ダイヤル式金庫をシミュレートしたステートマシンのコードを示しています。3個の押ボタンを使用して、オペレータは暗証番号として7、5、1、4を入力します。このステートマシンのコーディング方法は非常に有効です。SFCによって、アクティブな状態と状態遷移の両方が可視化されるためです。例えば、図3では、トークンが第3の状態にあり、Key_3_as_1ボタンが押されるのを待っています。

以下を確認してください。

  • ステートマシンはSFCに基づいています。

  • 上部付近には、リセット可能な初期スタートブロックがあり、ここでトークンが生成されます。D2押ボタンを5秒間押すと、ステートマシンはリセットされます。

  • ステートは、Key_N_as_X変数に基づいて遷移します。これは、3つの入力とNewComboストローブとのAND条件に基づいています。

  • NewComboストローブは、オペレーターが最初にボタンを押してから250ms後にセットされます。

  • 金庫のステートマシンは、内部状態に関する情報を外部に漏らしません。ユーザーが確認できるのは、リセット後の初期スタートのステートと、最後に時間制御で開く金庫のソレノイドだけです。それ以外のステートはすべて隠されています。

技術的なヒント: SFCは、トークンがステート間を順に移動する仕組みとして視覚化できます。各ブロックには、左側から有効化されるゲート記号があります。ゲートが開くと、トークンは次の状態へ移動します。例外は、二重四角形の記号を持つ初期スタートブロックです。リセットされると、トークンは現在アクティブなステートから初期状態へ移動します。

図3: ステートマシンのデバッグ表示。暗証番号の3番目のキー入力を待機しています。

PLCを主要なロジックトレーナーとして使用すべきでない場合

この手法は、メタステーブル、ファンアウト、ブレッドボードを適切に配線する難しさ、あるいはHDLの洗練された設計手法といった有益な学習内容に取って代わるものではありません。しかし、これらの内容は、一般に産業技術者やテクノロジストに要求されるものではありません。その代わりに、インターロック、パーミッシブ(許可条件)、リセット、および機械を制御するフォールト処理技術などの概念に重点を置きます。また、PLCによるアプローチでは、学生自身が機械に適したセンサ、表示灯などのパイロットデバイス、およびアクチュエータを配線するため、ハードウェアと結び付けて理解できます。これにより、産業用システムのトラブルシューティングを継続的に行う機会が自然に得られます。

学生はデジタル論理を学べるのでしょうか?

はい。PLCを中心としたアプローチは、組み合わせ論理に関する基礎的な学習内容を省くものではありません。ゲートレベルの考え方はそのまま維持され、積和形のようなパターンも維持されます。このアプローチが行うことは、ステートベースの考え方を促す方法によって、順序回路の学習を中心に据え直すことです。時間に余裕があれば、学生はDフリップフロップを使用してステートマシンを構成することもできます。

実践能力(コンピテンシー)に基づく教育の観点から見ると、高度なデジタル論理は、デジタル回路の基礎学習の上に重ねられる、数ある学習モジュールの1つにすぎません。これには、FPGA、マイクロコントローラ、または高速デジタル回路を使用したPCB設計などが含まれます。

おわりに

産業用オートメーションを学ぶ学生には、デジタル論理という言語が絶対に必要です。基本的なゲートは、これからも技術者やエンジニアの言語の一部であり続けます。これらの基本概念は、ゲートレベル表現だけで終わるものではありません。ブール演算子が学習者の思考の中に定着していることを前提とするラダーロジックやストラクチャードテキストへと引き継がれます。

学生がデジタル論理を学ぶべきかどうかは、そもそも議論の対象ではありません。私たちが取り組んでいるのは、産業用オートメーションという枠組みの中で、基礎を教えるための最適な学習順序をどのように構成するかということです。PLCベースの手法は、デジタル論理の基礎を維持しながら、学生がその知識を実際に活用する可能性が高い環境の中で、学習を進めることができます。

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著者について

Aaron Dahlen氏、元米国沿岸警備隊(USCG)少佐(LCDR)は、シーフリバーフォールズにあるDigiKeyのシニアアプリケーションエンジニアを務めています。エレクトロニクスおよび産業オートメーションに関する彼の知識と経験は、技術者およびエンジニアとして従事した27年間の軍歴と、その後10年以上にわたる教育経験を通じて培われました。

Dahlen氏は、ミネソタ州立大学マンケート校で電気工学修士号(MSEE)を取得しています。また、ABET認定を受けた電気工学プログラムで教鞭を執ったほか、電子工学技術プログラムのコーディネーターを務め、軍の技術者に対して部品レベルの修理技術を指導してきました

現在は、ミネソタ州北部の故郷へ戻り、コンデンサ探しから始まった数十年にわたる旅を終えました。彼の物語はこちらからお読みください。




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