Arduino Optaトレーナの配線:DigiKeyラボ


APDahlen Applications Engineer

はじめに

このハンズオンラボは、図1に示すさまざまなDigiKeyのフィールドデバイスを使用したArduino Optaプログラマブルロジックコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)の配線ガイドとなります。これには、産業用22mmスイッチ、押ボタン、静電容量式近接センサ、赤/緑パネルインジケータ、制御リレー、および24V DCファンが含まれます。ラボの最後には、より知識のある人(MKO:More Knowledgeable Other)が回路の配線にさまざまな欠陥を加え、トラブルシューティングセッションが行われます。受講者は、トラブルシューティングを行い、トレーナを完全な動作に復旧させることにより、自立性と回路に対する理解を深めることができます。

図1: Arduino Opta PLCと、それがサポートするフィールドデバイスを紹介するための、完成したPLCトレーナの写真

完成したトレーナは、ラダーロジック、ファンクションブロック、ストラクチャードテキスト、シーケンシャルファンクションブロック、インストラクションリストなどのIEC61131言語や、Arduino IDEでサポートされる従来のC++言語を使用してPLCプログラミングを学習するために使用できます。プログラミング学習中、トレーナとそれに関連する配線は固定であるため、プログラミングは簡素化されます。

技術的なヒント: 配線の重要性はいくら強調しても、しすぎることはありません。
現実の問題のほとんどは、配線の断線や緩みです。技術者はこれらの問題を素早く修理しなければなりません。設計者は、トラブルシューティングが容易で堅牢なシステムを設計する必要があります。

前提条件

受講者は、産業用スイッチおよびリレーにある程度精通している必要があります。以下はDigiKeyラボの前提条件と見なします。

技術的なヒント: このラボを通して、MKO(より知識のある人)という呼称が使われていますが、これは受講者と、インストラクター、メンター、監督者、コーチ、もしくは技術的に精通した上級者としての役割を果たす他者との間の協力関係を示すものです。優れたMKOは、いつ支援を提供すべきか、いつ受講者に自主学習で奮闘させるべきかを心得ており、トピックをより大きな学習の枠組みに組み込みます。

学習の目的

ラボの学習の目的は以下の通りです。

  • 手工具を使った物理的なアセンブリの構築
  • 様々なプログラミング演習のベースとなるPLCトレーナの配線
  • 省スペースの端子台を使用したPLCベースシステムの配線
  • 産業用制御盤の配線をより深く理解するためのPLCベースのシステムのトラブルシューティング

技術的なヒント: PLC システムを物理的に配線することは、学習プロセスの重要な部分です。これは、いろいろな物がどのように接続され、なぜそのように接続されるのかを直感的に理解するための筋肉記憶を発達させるのに役立ちます。これは、トラブルシューティングだけでなく、PLCベースのシステムを規定して設計する能力にも不可欠です。

同時に、PLCのプログラミング学習は安定したハードウェアプラットフォームによって容易になることも認識しています。その結果、このラボは妥協の産物であり、IEC61131プログラミング言語に集中できる安定した学習プラットフォームを提供します。

トラブルシューティングのセクションを読み飛ばさないでください!MKOは、PLCの配線をより深く理解するために、あなたに挑戦をうながします。

測定可能なアセスメント

受講者は、これらの測定可能なアセスメントを通じて、ラボの習熟度を実証します。

  • アセスメント1: トレーナの配線は、図3の配線図とそれに関連する写真に従って行ってください。
  • アセスメント2: トレーナを分解します。それぞれの受講生は配線図に従って15分以内にエラーがないように、配線し直してください。
  • アセスメント3: 受講者は、MKOによって回路に加えられた、少なくとも3つの複雑さを増す配線の問題をトラブルシュートします。この重要なタスクは、支援なしで単独で行います。

必要な材料

必要な材料を図3に示しています。各部品の詳細については、Guide to Selecting Components for Industrial Educationを ご覧ください。この部分の部品チェックリストには以下のものが含まれます。

  • 以前のラボの説明のように構成された、DC電源供給機能付きDigiKeyトレーナ
  • ドライバー、ナットドライバー、ワイヤカッタなどの一般的な手工具
  • さまざまなプリカットワイヤとフェルール付きワイヤ
  • 定電圧モードと定電流モードを自動的に切り替える機能を備えた、最大2Aで24V DCに対応するDC電源
  • 22mmオン/オフセレクタスイッチ × 1個
  • 22mm産業用スイッチボディ、赤色押ボタンアセンブリ x 1個
  • 22mm産業用スイッチボディ、緑色押ボタンアセンブリ x 1個
  • ノーマリクローズスイッチブロック × 1個
  • ノーマリオープンスイッチブロック × 2個
  • NPN静電容量式近接センサ x 1個
  • センサ接続用3段端子台 × 1セット
  • 22mmデュアルカラー赤/緑インジケータ × 1個
  • DPDT制御リレー x 1個
  • 60mm 24V DCファン x 1個

図2: 外部DC電源を含む実験に使用されたコンポーネントのイメージ

安全ブリーフィング/ツールボックスミーティング

このラボを開始する前に、受講者とより知識のある人(MKO)は、ラボの安全性、目的、手順を確認するための安全ブリーフィングを実施する必要があります。以下のチェックリストに従うことを推奨します。

  • 実験には、絶縁タイプのDC24V DCで電流制限機能のあるベンチ電源を必ず使用してください。これは一般的に安全と考えられていますが、回路調整を行う際には必ず電源を切ってください。
  • 電源、入力ブロック、出力ブロックを含むPLCの接続を確認してください。
  • PLC負荷に適用されるシンクとソースの概念を再確認してください。
  • PCとPLCの接続を確立することに重点を置いて、Arduino Opta PLC IDE を確認してください。
  • この記事で説明しているように、I/Oステータスを表示するための高度なプログラムを含むデモプログラムを紹介してください。
  • 産業用制御機器およびオートメーション機器のトラブルシューティングガイドを再確認してください。

技術的なヒント: PLCトレーナは少しずつ組み立てて下さい。時間をかけて各セクションをテストしながら進めてください。これにより、時間を大幅に節約し、プロセスの理解を深めることができます。

手順

  1. PLC電源、2つの緑の押ボタン、デュアルインジケータ、および関連する接続を行います。24V DCの給電、およびスイッチとArduinoの相互接続など、24V DCを伝送する可能性のあるすべてのワイヤには、青色のワイヤを使用します。24V DCのリターンラインに直接関連する接続には、青色ストライプの白色ワイヤを使用してください。原則として、青色ストライプの白色ワイヤは配電ブロックのリターンセクションに直接接続します。

技術的なヒント: ワイヤの色は、設計者と、将来パネルで作業するすべての担当者との間のコミュニケーションの1つの方法です。ワイヤの色は、電圧レベルと信号の目的に関する情報を伝えます。この例では、青色はDC制御信号に関連しています。これとは対照的に、黒色のワイヤは潜在的に危険なAC信号を示します。このトレーナでは使用しないでください。

  1. MKOと共に、このラダーロジックプログラムをダウンロードし、Arduino PLCにインストールします。これは比較的高度なArduino Optaプログラムであり、ここに説明されているようにLEDでI/Oの状態を表示できることに注意してください。このプログラムは、この配線ラボで使用するには効果的ですが、出発点としてはお勧めしません。

InitialWire.plcprj(246.8 KB)

  1. MKOと共に、セレクタスイッチがオンの状態で、赤の 押ボタンと緑の押ボタンがそれぞれ押された時に、赤と 緑のインジケータランプが点灯することを確認してください。

  2. 残りの回路を配線してください。

  3. MKOと共に次の検証を行なってください。

  • スイッチをオンにし、赤色の押ボタンを押すと、赤色のインジケータランプと制御リレーが作動します。
  • スイッチをオンにし、緑色の押ボタンを押すと、緑色のインジケータランプが点灯します。
  • スイッチをオンにし、誘導性近接センサを作動させるとファンが作動します。
  1. MKOと共に、測定可能なアセスメントを完了してください。

図3: PLCトレーナの簡略化された配線図

関連する情報

関連する有益な情報については、以下のリンクをご覧ください。

フォローアップ

このDigiKeyラボまたはこのラボで使用されているコンポーネントについてご質問がある場合は、以下のボタンから返信してください。

問題

以下の問題は、記事の内容の理解を深めるのに役に立つでしょう。

  1. 正/誤:Arduino Optaは、ソリッドステート出力を備えています。

  2. 正/誤:Arduino Optaの出力は互いに独立しています。

  3. 正/誤:デイジーチェーンを使用して、パネルに取り付けたセ レクタスイッチと押ボタンに24V DCを供給することができます。デイジーチェーンが断線すると、すべてのコントロールが失われます。

  4. 正/誤:Arduino Optaの出力は、120V ACシステムと適合性があります。

  5. Arduino Optaについて調べ、入力数、出力数、ポイント数について説明してください。

  6. ノーマリオープンの押ボタンより、ノーマリクローズの押ボタンの方が好ましい場合について調べ、説明してください。 ヒント:フェールセーフスタートとフェールセーフストップ。

  7. このトラブルシューティングガイドを見てください。直感的に理解できた手順を2つ挙げてください。また、難しいと感じた手順を2つ記述してください。

  8. Arduino Optaの電源仕様と、静電容量式近接センサとデュアルカラーインジケータランプの仕様を調べてください。複合システムの電源電圧要件は何でしょうか?

批判的思考を使う問題

これらの批判的思考の問題は、記事の内容を発展させ、その内容や隣接するトピックとの関係を全体像として理解することができます。このような問題は、自由回答形式であることが多く、リサーチが必要であり、エッセイ形式で答えるのが最適です。

  1. ここで紹介されている制御リレーのコイルの抵抗値はいくらでしょうか?

  2. このトレーナは比較的安全な24V DCシステムで設計されています。このトレーナを電源ラインの120V ACまたは208V ACシステムで動作させるには、どのようなハードウェアの変更が必要でしょうか?ヒント:安全アースに注目してください。

  3. MKOからの有益な支援から始まり、自立に至るまでの学習の道のりを書き表し、自らの学習を振り返ってください。

  4. 学習したことを振り返り、あなたがトレーナに加えるトラブルシューティングエラーを、少なくとも3つ挙げて下さい。ヒント:透明テープで接点を絶縁することができますか?

  5. いつかMKOの役割を引き受けると仮定して、このラボをどのように紹介しますか?

著者について

Aaron Dahlen氏、LCDR USCG(退役)は、DigiKeyのアプリケーションエンジニアです。彼は、技術者およびエンジニアとしての27年間の軍役を通じて構築されたユニークなエレクトロニクスおよびオートメーションのベースを持っており、これに12年間の教育経験が織り込まれ、さらに強化されました。ミネソタ州立大学Mankato校でMSEEの学位を取得したDahlen氏は、ABET認定EEプログラムで教鞭をとり、EETプログラムのプログラムコーディネーターを務め、軍の電子技術者に機器の修理技術をコンポーネントレベルで教えてきました。彼はミネソタ州北部の自宅に戻り、応用と理論のギャップを埋めることを心から楽しんでいます。




オリジナル・ソース(English)