デバイスの構造と特徴
シリコンコンデンサと薄膜コンデンサは、半導体産業から導入したツール、方法、材料で製造された比較的新しいデバイスです。これらの技術により、構造および材料を正確に制御することで、優れたパラメータ安定性、最小のESRとESL、広い使用温度範囲、そして最も直接的に競合するクラスIセラミックタイプのデバイスと比較して体積あたり同等以上の容量を持つ、ほぼ理想的なコンデンサの製造が可能になります。その主な欠点としてはコストが高く、関連する問題として、使用できる静電容量値の範囲が比較的限られているということがあります。
通常、シリコン酸化物/窒化物誘電体をベースとした「薄膜」コンデンサと「シリコン」コンデンサの区別はマーケティング上の譲歩のようなものですが、目的とする用途によって両者の間に大きな違いがあります。RFチューニングおよびマッチングアプリケーションを対象とするデバイスは、パラメータの安定性と一貫性を最適化した低容量の単層デバイスが多く、標準のJEDECパッケージサイズで提供されているのが一般的です。一方、電源デカップリングや広帯域DCブロッキングなどの用途では、より高い比容量を得るために許容差が大きくなり、ワイヤボンディングやプリント基板への埋め込みなどの高度なアセンブリ方法に対応したパッケージが多く見られます。しかし、用途にかかわらず、薄膜コンデンサやシリコンコンデンサは高級品であるため、価格もそれなりに高く、現在では同程度の容量と電圧を持つセラミックコンデンサの5~5000倍の価格で取り引きされています。
高精度なデバイスとして設計された部品の多くは、C0G(NPO)誘電体をベースとしたセラミックコンデンサと競合し、RFやマイクロ波用途でより高性能な代替品として使用されています。 これらのクラスIセラミックデバイスは、数十年の改良を経て非常に優れたものとなり、それ自体が理想に近づいていますが、特徴的な製造上の違いにより、デバイスや製造ロット間の一貫性という点では、薄膜/シリコンデバイスが少し優れているのです。
大容量の薄膜/シリコンコンデンサは、デカップリングや広帯域DCブロッキング用途で、X7RやX8R誘電体を用いたクラスIIセラミックスとより直接的に競合します。このような用途では、薄膜/シリコンデバイスは、損失係数が著しく低く、温度や電圧に対する静電容量の安定性が非常に優れているという特筆すべき利点があります。