リレーのコイル電圧遮断時に発生する逆起電圧は、回路中の様々な素子に過電圧を発生させ、故障や破壊などが発生するため、逆起電圧抑制の対策が必要です。
DCコイルの場合には一般的にダイオードが使用されることが多いですが、一部の高容量パワーリレーについては接点開離スピードの低下につながり、電気的耐久性への影響が大きいため、ダイオードだけでなく、ツェナーダイオードと組合わせた適用を推奨しています。
ダイオードは順方向電圧降下が小さいため、電力の消費スピードが遅く、コイル電流の継続時間が長くなります。コイルの磁力はコイル電流に依存するため、コイル電流の減衰時間が長いとリレーの接点が開離するスピードが遅くなり、接点の早期の溶着故障を誘発します。
ツェナーダイオードを下図のようにダイオードと直列に接続した場合、ツェナーダイオードの大きな電圧降下によりコイル電流の減衰時間が短くなるため、リレー接点の開離スピードが速くなり、接点の早期溶着による故障を防ぐことができます。
ツェナー電圧が低すぎると接点開離スピードを速くする効果が低くなります。
このため、機種毎に最適なツェナー電圧を選定してください。
ツェナーダイオードを上図のようにダイオードと直列に接続した場合、ツェナーダイオードの大きな電圧降下によりコイル電流の減衰時間が短くなるため、リレー接点の開離スピードが速くなり、接点の早期溶着による故障を防ぐことができます。一方で、ツェナー電圧が低すぎると接点開離スピードが遅くなってしまいます。また、ツェナーダイオードの電圧が高すぎると周辺素子に悪影響を及ぼす場合があります。このため、機種毎に最適なツェナー電圧を設定しています。
機種 | 推奨ツェナー電圧 * コイル定格電圧比 |
||
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G9KA | 2~3倍 | ||
G7EB | 3倍 | ||
G9KB | 3倍 | ||
G7L-X | 1~2倍 | ||
G2RG-X | 3倍 | ||
G5PZ-X | 1~3倍 |
ツェナーダイオードとの併用の場合、ダイオードはツェナー電圧以上で、かつ、順方向電流はコイル定格電流以上のものをご使用ください。
各機種の推奨ツェナー電圧については、左表をご確認ください。
ダイオード+ツェナーダイオードの組み合わせの代わりに、バリスタを使用することもできます。
この場合も、ダイオード+ツェナーダイオードと同様のコイル電流波形となります。
推奨バリスタ電圧は、基本的に推奨ツェナー電圧と同様となりますが、電源電圧の最大値よりも小さい場合、コイルへ正しく電圧が印加されなくなる恐れがあるため、 必ず電源電圧の最大値よりも大きくなるように選定ください。
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高容量パワーリレー使用時の不明点をわかりやすく解説
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高容量パワーリレー使用時の「わからない」に技術のプロがわかりやすく解説
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