電磁気の基礎

モータがどのようにして動くか、不思議に思ったことはありませんか?リレーがどのようにして動作するのか、不思議に思ったことはありませんか?電気設計では電磁気が重要な要素となるアプリケーションが数多くあります。この投稿は、導体の周りにどのようにして磁場が形成されるのかを基本的に理解するためのものです。高度な計算には踏み込みませんが、これらの例は電磁気を利用する技術の動作を理解するための良い出発点となるはずです。

電磁気

導電性材料を通過する電流は「右ねじの法則」に従って、ある方向に流れる電流の向きに垂直な磁場を発生させます。導体の形状には2つの異なった基本形があります。1つは直線状のワイヤで、もう1つはコイル状のワイヤです。

直線状のワイヤ

直線状のワイヤの図解例



右手でワイヤを「握り」親指の方向に電流が流れていると想像してみると、磁場は3次元空間の中で導体のまわりに形成されています。磁場の方向と形状は、ワイヤのまわりの他の4本の指のようになります。これは私が作った短いアニメーションで、さらに参考になるよう、磁場の効果を示しています。
fieldAnimation
磁場はワイヤのまわりを一定の方向に回るだけでなく、強度を減衰させながら中心から「拡大」していきます。グレーの平面上に強磁性体の針を置いたら、その針は、磁場の「N」極よりやや地球のS極(北極)方向に振れるでしょう。

注意:電流がワイヤ全体 に流れている限り、磁場はワイヤの全周に渡って伝わります。

コイル状のワイヤ

コイル状のワイヤは時計回りまたは反時計回りの多数の「ループ」で構成されています。ループは特に電磁石を作るのに有効です。一方向に入る電流は反対方向から出てくるため、逆の回転方向の磁場を発生するからです。磁場が相互に作用すると、両方の磁場が相対的に同じ方向を向くため、中央における磁場の強さは増加します。ここに、この現象を説明するイラストを示します。
LoopField
磁場を示す矢印は中央で合流し、グレー平面で相対的に同じ方向を向いていることにご注意ください。これらの磁場は十分近接しているので、中央部における磁場は結果として、より大きくなります。この挙動はインダクタ、機械式リレー、トランスのような技術に見られるコイル状のワイヤのように幾つものループを持った場合、ずっと強力になります。

コイル状のワイヤの図解例



コイル状のワイヤは通常、強磁性体のコアまたは高透磁率の素材に巻き付けられています。今回、ワイヤが巻かれている固体材料を持っているかのように描写しています。「ロッド」のまわりの4本の指は、コイルと電流の流れる方向を表します。親指はN極の位置と、親指に近い方の端から出ている電界の方向を表します。ここではより詳細な例として、時計回りのコイルと反時計回りのコイルを示しています。

青い線は、コイルのそれぞれの湾曲部のまわりの小さな磁場です。時計回りの磁場は上から下に向かってコイルの中央部にすべて「集中」していることに注意してください。反時計回りのコイルでは逆に、磁場は下から上に向かい、中央部に集中します。繰り返しますが、現実には磁場はコイル全体を360度取り囲んでいます。また強度を減衰させながら外部に放射状に広がっていきます。ここに別のアニメーションで挙動を示します。
CoilAnimation

電流方向を逆転させると、磁場の極性が反転します。

ここでは電磁気を含む4つの技術例を紹介します。

トランス

トランスは特に、一方の側で発生した磁場と、異なるループ数(巻数比)の組み合わせを利用します。交流電流は正負極性を1秒間に60回(米国)または1秒間に50回(欧州)反転させるので、一方で発生した磁界は常に極性を変化させ、強度を増加したり減少させたりします。変化する磁場はもう一方のコイルに到達し、コイルの巻数に応じた異なるレベルの電圧を「誘導」します。

メカニカルリレー

メカニカルリレー では、電磁石を用いて直接的に接点をオン・オフします。接点は電磁石のコイルとは絶縁され、コイルに流す電流よりもはるかに大きい電流を流すことができます。DC駆動リレーで電磁石の部分に永久磁石を使用したリレー(有極リレー)にはコイルに極性があり、図面に極性が表示されています。そのほか、リレー内部に保護用ダイオードや動作表示灯などが実装されている場合にもコイルの極性が指定されます。

インダクタ

インダクタの挙動の1つに、重要なキックバックがあります。インダクタ内部や周囲で発生する磁場はエネルギーを保持し、急に電源を切ると、接続された回路上に非常に高い電圧の形でエネルギーが放出されます。詳細については、こちらの投稿をご覧ください。 インダクタの動作:方向性が問題にならない理由

モータ

汎用の(ACおよびDC)モータは、生成された磁場を利用して動作します。ブラシ付きDCモータでは、固定子(動かない部分)にブラシと呼ばれる接点があり、コイルを持つ回転子(動く部分)に電流を供給します。電気により発生した磁界は内部の永久磁石に反発して運動を起こします。 ACモータにはいくつかの方式がありますが、一般的に、電気で発生する磁界と他の磁石が反発するという点で考え方は同じです。




オリジナル・ソース(英語)