APDahlen Applications Engineer
まず、私は人間工学の専門家ではないことをお断りしておきます。しかし、男性の約8%、女性の約0.5%が色覚異常であることを考慮すると、専門家を探し出して、産業オートメーションおよび制御システムのヒューマンマシンインターフェース(HMI:Human Machine Interface)について、色覚異常の十分な情報を得た上で決定をすることは、私たちの義務です。
最近、図1のようなSchneider ElectricのハンディボックスZBRM222Bを取り上げた技術記事を投稿しました。これは機器のリモート(Zigbee)制御用の2個の押ボタン装置です。赤、黄、緑、青、白、および黒の6色のスイッチキャップが付属されて販売されています。当然のことながら、あまり考えずに赤と緑のプッシュボタンのスイッチキャップをはめ込んでしまいました(左下)。今思えば、これが最良の選択だっただろうかと考えます。
図1: Schneider ElectricのHarmony ZBRRAレシーバとZBRM22B0デュアルリモートワイヤレス押ボタンのテスト用セットアップ
色覚異常とは何でしょうか?
色覚異常には個人差があり、一概には言えません。私たちの押ボタンのスイッチキャップの選択に関して注意すべきは、色覚異常には一般的に以下の3つのタイプがあるということです。
-
最も多いのは赤と緑
-
青と黄はまれ
-
全ての色もまれ
工場現場において、色覚異常者に対応するにはどのような選択肢があるでしょうか?
この非常に単純な分析によれば、赤と緑を選択するよりも良い選択ができます。コントラストの高い白と黒、あるいは黒と黄色の方がいいかもしれません。そしてまた、色覚異常のないオペレーターは、見慣れた緑と赤のコントロールやインジケータを探すように暗黙のうちに訓練されているので、バランスを見つける必要があります。
幸いなことに、選択肢があります。産業用制御機器は、ほとんどの場合、より大きなファミリの製品として販売されていることを理解してください。セレクタスイッチは特にそうです。そのため、特定のニーズに合わせてデバイスを構成するための多くのアクセサリや選択肢が用意されています。
ここまでは、スイッチキャップの色について考えてきました。赤と緑の色はそのままにして、赤に「O」、白に「SILENCE」という文字などのマークが付いたスイッチキャップを追加することもできます。
Schneiderのハンディボックスに必ずしもあてはまるわけではありませんが、スイッチのベゼルに文字を入れたり、スイッチの近くにラベルや陰影をつけたり、スイッチキャップにさまざまな触感を持たせたりする方法もあります。詳細については、オペレーター用ワークステーション構築に関するSchneiderの資料をご覧ください。また、HMIの複雑さを考えると、人間工学の専門家(エルゴノミスト)に相談するのもよいでしょう。彼らは鋭い目を持っており、しばしば気づかないことを見抜くことができます。
技術的なヒント: プッシュボタンのスイッチキャップなどの関連アクセサリを決定するために、Schneiderの製品ガイドを必ず確認してください。また、オンやオフなどのコントロールのためのISO規格のシンボル規約に従うようにしてください。
おわりに
産業用機器の設計は芸術だと思いますか?
検討すべきことはたくさんあります。機器を機能させるだけでは決して十分ではありません。オペレーターや技術者が、正常な状況でも異常な状況であっても機器とやりとりするあらゆる方法を考慮する必要があります。この記事で示したように、作業員のニーズに対応できるよう、わかりやすい操作系を備えたHMIを設計しなければなりません。
ご健闘をお祈りします。
APDahlen
著者について
Aaron Dahlen 氏、LCDR USCG(退役)は、DigiKeyでアプリケーションエンジニアを務めています。彼は、技術者およびエンジニアとしての27年間の軍役を通じて構築されたユニークなエレクトロニクスおよびオートメーションのベースを持っており、これは12年間教壇に立ったことよってさらに強化されました(経験と知識の融合)。ミネソタ州立大学Mankato校でMSEEの学位を取得したDahlen氏は、ABET認定EEプログラムで教鞭をとり、EETプログラムのプログラムコーディネーターを務め、軍の電子技術者にコンポーネントレベルの修理を教えてきました。彼はミネソタ州北部の自宅に戻り、このような記事のリサーチや執筆を楽しんでいます。LinkedIn | Aaron Dahlen - Application Engineer - DigiKey